(写真:矢野のホームランで一気に盛り上がるベンチ。一体感も持ち味だ)

 2018年の日本女子ソフトボールリーグ。今季も1部リーグを戦う伊予銀行VERTZはナゴヤドームで行われた開幕戦を勝利で飾った。1部昇格後、5年連続で開幕戦勝利。チーム初の4強入りを目指す伊予銀行は上々のスタートを切った。

 

 

 今季は開幕節を3月31日、4月1日に行い、例年より早い幕開けとなった。昨季10位の伊予銀行は1日の第1試合に登場。同9位のHonda Revertaと対戦した。

 

(写真:就任4シーズン目の秋元監督。開幕戦との相性は良い)

 Hondaとは勝敗(8勝14敗)で並んでいるが、直接対決で0勝2敗と負け越している。そのうちの1戦(7-10)は昨年、秋元理紗監督が「負けた試合でも勝ちゲームはありました。そこを1つ2つと取れていれば……」と悔いていた。

 

 とはいえ相性の良い開幕戦。まずは昨季の借りを返すかたちで、勢いをつけたい。矢野輝美によれば、前日のミーティングで秋元監督から「私が来てから開幕戦は負けていない。勝つイメージしかしていないので、みんなもそのつもりでいて」と言われたという。指揮官から背中を押された選手たちは躍動した。

 

 開幕投手を任されたのは内海花菜だ。2年ぶりの大役だが、大抜擢の2016年とはわけが違う。彼女は昨季チーム最多の5勝を挙げた。防御率1.48はリーグ4位である。秋元監督は「エースとして修羅場をくぐってきた。どのピッチャーでも緊張すると思うので、一番そういう舞台を踏んでいる内海に任せました」と語った。内海も「早い段階で言われたので、自分の中で相手を見る時間、気持ちを整理する時間に結構余裕があった」と準備は万端だった。

 

(写真:2年ぶりの開幕投手を任された内海。勝ち星は付かなかったが、試合はつくった)

 初回から試合は動いた。後攻の伊予銀行は内海が先頭の胡子路代にショートへゴロを打たせた。ところが、である。ここでショートの對馬弥子がスローインの際にボールを握り損ねた。幸先よく1アウトと思われたが、まさかのノーアウト一塁となった。

 

 キャプテン、そして守備の要によるエラー。内海は「普段、對馬の守備にはすごく信頼を置いているので、想像していなかった」と振り返ったように動揺は少なくなかった。続く2番は森山遥菜。昨季のホームラン王だ。Hondaの鈴木幸司監督は「ひとつでも多く打席を回すため」と起用理由を説明した。内海は森山を追い込むと、空振り三振に切って取る。しかし、今度は20秒ルール(ピッチャーがボールを受けて20秒が経過するとボール)でボール扱いに変わる。結局、森山を歩かせて無死一、二塁のピンチを迎えたのだ。

 

 この窮地にも内海は落ち着いていた。「目の前のバッターだけを見ていこう」。Hondaのクリーンアップを打ち取り、0点で抑えた。これには秋元監督も「ミスがある中でも粘った。ウチが点を取る前に失点すると相手のペースになってしまう。粘り強く頑張ってくれた」とエースを称えた。

 

(写真:日本リーグ10年目の池田は4番起用に2安打2打点で応えた)

 その裏の1番・對馬。制球の定まらないHondaの先発ジェイリン・フォードから四球を選ぶ。続く2番は樋口菜美。バッティングが魅力の強打者を指揮官はあえて2番に据えた。「自分が左ピッチャーだったら、どの打順が嫌かで決めました」。この攻撃的なオーダーが早速、機能する。「もし初回に先制されていたら送っていたかもしれないですが、ピンチを凌いだところだったのでちょっと強気にいきました」(秋元監督)という強攻策は見事にハマった。樋口がセンター前に弾き返すと無死一、二塁のチャンスをつくった。

 

 続く二宮はなが進塁打で二、三塁とチャンスを広げる。4番の池田千沙が内野安打で塁を埋めた。5番の矢野は空振り三振。6番の正木朝貴はフルカウントから3球ファウルで粘り、押し出し四球を選んだ。正木は「点を取ることが大事」と甘い球だけを逃さぬようボールを見極めた。先制点を奪った伊予銀行は続く金澤美優も押し出しのフォアボールで初回に2点を得た。

 

(写真:庄司は3回3分の2をパーフェクトに抑える好投。昨季に続き開幕戦勝利)

 援護をもらった内海が2、3回もゼロで抑えると、3回裏に追加点が生まれる。デッドボールで出塁した矢野を一塁に置いて、正木が左中間を破るタイムリーツーベースを放った。リードを広げた伊予銀行だったが、内海がHonda打線に2点を返された。なおも1死二塁。ここで秋元監督はマウンドに庄司奈々を送った。庄司は昨季3勝を挙げ、防御率2.83をマークした。昨季の開幕投手を務めた“右のエース”が仕事をこなす。Hondaに追加点を許さなかった。

 

 3-2と1点差に迫られた伊予銀行。すぐに突き放すことができたのは大きかった。1番の對馬から始まる好打順。ヒットで出塁すると1死後、二宮がバントで繋ぐと相手ピッチャーがエラーした。1死一、三塁で代走の吉田愛純が二盗を仕掛ける。二、三塁とすると池田の打球は詰まりながらもセンター前に落ちた。2人が還り、再び3点のリードを手にする。矢野がヒットでチャンスを広げると、正木がきっちり犠牲フライを放った。

 

 効果的な得点でゲームを楽にした伊予銀行は6回に矢野のホームランが生まれ、7-2とリードを広げた。守っては庄司がパーフェクトリリーフ。打たせて取るピッチングで、1人のランナーも許すことなく試合を締めた。庄司は「投打がかみ合って、良い流れで試合を運べた。そのおかげで自分も目の前のバッターに集中して投げることができました」と胸を張った。

 

(写真:甲斐<前列左>、柴<前列右>とルーキーは声を出して盛り上げ役も担った)

 秋元監督は「ウチにスーパーな選手はいない。どの選手にも出場機会を与えていきたい」と語っていたように、野手は新人の柴三奈以外は開幕戦のグラウンドに立たせた。今後も総力戦で臨む。開幕戦のヒロイン正木は「今シーズンは全員プレーでベスト4を目指したい」と試合後のインタビューで答えた。

 

「どことやるときも、とにかく必死に目の前に1勝を」

 伊予銀行は決勝トーナメント進出圏内のベスト4を狙う。決して低くない目標だ。昨季の4位豊田自動織機シャイニングベガの数字を基準にするならば、伊予銀行は昨季から5勝の上積みが必要となる。中断期間を経てリーグは28日から再開。伊予銀行は地元・松山の坊っちゃんスタジアムでSGホールディングス ギャラクシースターズ、日立サンディーバと対戦する。

 

iyobanner3


◎バックナンバーはこちらから