(写真:「私は永遠の日本サポーターです」とも語ったハリルホジッチ氏)

 ヴァイッド・ハリルホジッチ日本代表前監督が27日、都内で記者会見を開いた。7日にフランス・パリで日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長から「選手とのコミュニケーションが不足していた」と告げられ、解任に至ったが、前監督は「選手とは常に連絡を取り合っていた」と、それを否定した。

 

 前監督は「こんなことは最悪の悪夢でも考えられない。人生で一番つらい。深く失望した」と冒頭で語った。3月に行われたベルギー遠征でマリ代表に1対1の引き分け、ウクライナ代表には0対1と敗れた。この遠征後、2人の選手が自身に不満を漏らしたことを明らかにした。

 

 事態を重く受け止めた田嶋会長はコーチ陣、選手らに対し、調査を行った。その結果、「選手とのコミュニケーション不足」と「信頼関係が希薄になった」ことを理由に前監督は解任された。

 

 前監督は解任理由のコミュニケーション不足について、こう反論した。

「3年前から誰とも問題はなかった。特に選手とは常に連絡を取り合っていた。国内組、海外組に何度も電話をした。代表合宿や試合の際、オフィスを設けて話す場をつくっていた。メディアの皆さんの前で私が、誰かひとりを批判することはなかった。(結果が出なかった時は)“悪いのは私だ。私を批判してくれ”と言ってきた。選手に何かを言いたい時は面と向かって言っていた。私のストレートな物言いに慣れていない選手もいたかもしれない。だが、選手やこのチームに対する思い入れは強かった」

 

 情熱を持って日本代表に関わってきたが、解任理由にコミュニケーション不足をあげられれば納得がいかないというのは頷ける。「今まで築き上げてきたものがベルギー遠征後に急になかったことになるのか」と不満の面持ちで語った。

 

 率直に「結果が出なかったから解任」と言われれば、前監督も納得したかもしれない。田嶋会長からは昨年12月、E-1選手権で韓国代表に1対4で大敗を喫した時、「解任を考えた」と告げられたという。

「それなら理解できる。W杯より日韓戦は大事だとわかっている」。「ウクライナに負けたから解任、などリザルトのことで解任というのは理解ができる」と前監督。

 

 JFAの対応にも不信感が募った様子。田嶋会長も代表チームをサポートする任にあった西野朗技術委員長も選手が自らに不満を持っていることを報告していなかった、という。前監督は「田嶋会長や西野に“こういう問題が起こっているが、どうするんだ?”と言って欲しかった。西野もインフォメーションをくれれば良かったのに」と言って唇を噛んだ。

 

 この会見ではっきりしたことが1つある。コミュニケーション不足だったのは代表監督とJFAではなかったのか。いつか検証してもらいたい。

 

(文・写真/大木雄貴)