(写真:「早く日本の文化に慣れたい」と語ったイニエスタ)

 サッカーJ1のヴィッセル神戸は24日、都内で会見を開き、スペイン代表とFCバルセロナで活躍したMFアンドレス・イニエスタの加入を発表。会見ではイニエスタと神戸の三木谷浩史代表取締役会長が登壇した。

 

 イニエスタは12歳からバルセロナのカンテラ(下部組織)に所属し、18歳でトップチームデビューを果たした。16年間、バルセロナ一筋だった。2010年南アフリカワールドカップではスペイン代表を初優勝に導く決勝ゴールを決めた。17年10月には同クラブと生涯契約を結んだが、今季限りでの退団を発表していた。

 

 新天地は中国リーグの重慶力帆か神戸が有力と言われていたイニエスタは神戸に決めた理由を「提示されたプロジェクトが興味深かった」と語った。

 

 彼の言うプロジェクトについて、三木谷会長が説明した。

「バルセロナはカンテラと呼ばれる下部組織を持ち、若手を手厚く育成してきた伝統がある。イニエスタはカンテラ出身。そこから世界トッププレーヤーになった。まさしくバルセロナの本流と言えるのではないでしょうか。

 

 バルセロナの哲学やDNAをヴィッセル神戸に注入し、大きな刺激を与えてくれるのではと思っている。単にイニエスタがチーム力の向上だけでなく、ユース年代向けのアカデミーへのメソッド導入を含め、次世代の育成に貢献してくれることに大きく期待しています」

 

 つまり、ただ単にプレーヤーとしてだけ期待されているわけではない。それ以外にも求められている。ベテランプレーヤーがチームに所属する若手にアドバイスをするのは当たり前だが、イニエスタがユース年代の育成にも貢献するならば、当然、モデルはバルセロナ。神戸はバルセロナのカンテラに近いものをつくろうとしているのではないか。

 

 イニエスタは「これは私のキャリアにとって、とても重要なチャレンジ。このクラブ、Jリーグがアジア全体に広まるように私も、力を貸したい」と語った。

 

 日本人に合うスタイルはスペインやメキシコのように細かくパスをつなぐサッカーだという声がある。そういう風潮がある中、バルセロナのポゼッションサッカーの中枢を担ったイニエスタの神戸加入は大きな意味を持つ。

 

 イニエスタが興味を持った神戸のプロジェクトが数年後、何十年後に花を咲かせ、神戸のサッカースタイルがどう変化しているのか。今から楽しみである。

 

(文・写真/大木雄貴)