今大会、最も波乱が起きないグループと言ってもいいだろう。ベルギー、イングランド、チュニジア、パナマの中で決勝トーナメントに駒を進めるのはベルギーとイングランドだろう。

 

 本命はベルギーだ。史上最強のメンバーでロシアW杯に臨む。3-4-2-1が基本システム。ワントップのロメル・ルカク(マンチェスター・ユナイテッド)、2シャドーの一角を担うエデン・アザール(チェルシー)にセンターハーフのケビン・デ・ブルイネ(マンチェスター・シティ)ら世界屈指のタレントが揃う。2日のポルトガルとの親善試合で負傷交代したセンターバックのヴァンサン・コンパニ(マンチェスター・シティ)も23人の登録メンバーに入った。

 

 ルカクは身長190センチ、体重93キロの恵まれた体格とスピードを生かして相手ゴールを脅かす。ヨーロッパ予選では8試合で11ゴールを記録。本大会でも結果を残せればベルギーの決勝進出も見えてくる。ドリブルで“違い”を生み出せるE・アザールは替えのきかない存在。高次元のドリブルとパス能力を有するクラッキだ。

 

 エデン・アザールと同等に重要なピースがセンターハーフのデ・ブルイネ。かつてはアタッカー色が強かったが、所属クラブでポゼッションサッカー信者のジョゼップ・グアルディオラ監督の薫陶を受け、プレーメーカーとしての才能が開花した。彼が長短を織り交ぜたパスでゲームをコントロールする。今大会のベルギーは決勝まで勝ち上がれるタレントは揃っている。唯一、欠点をあげるとすれば、やや個人能力に頼る傾向があることくらいだろう。戦術家のスペイン人監督ロベルト・マルティネスが本大会まで、どうチームに戦術を落とし込めるかにも注目である。

 

 対抗はイングランドだ。伝統的だった中盤がフラットな4-4-2ではなく、ベルギー同様3-4-2-1が基本布陣となる。軸はプレミアリーグ4年連続20ゴール以上を記録したFWハリー・ケイン(トッテナム)だ。どんな形からでもゴールに結び付けるハンターは24歳にして代表の主将も務める。イングランドはポゼッションサッカーを目指すものの、完成度はイマイチ。シンプルにケインの個人能力を生かすスタイルの方が勝機はありそうだが……。

 

 大穴は3大会ぶりのW杯出場となるチュニジアだが、攻撃のキーマンだったMFユセフ・ムサクニ(アルドゥハイルSC)が膝の負傷により選外となったのは痛手だ。その点を考えてもジャイアント・キリングが起きるとは思いにくい。

 

◎ベルギー

○イングランド

▲チュニジア

 パナマ

 

(文/大木雄貴)

 

 エース成長のベルギーとイングランド、順当に突破か

 

 ベルギーはGKティボー・クルトワ(チェルシー)、MFケビン・デ・ブルイネ(マンチェスター・シティ)、MFエデン・アザール(チェルシー)らワールドクラスのタレントを擁する。199cmの長身を生かし、ハイボールに強いクルトワは反射神経にも優れている世界屈指の守護神だ。中盤の底でタクトを振るう司令塔のデ・ブルイネ、ドリブル突破と得点力が魅力のE・アザール。この2人を軸に攻撃を展開する。

 

 FWロメル・ルカク(マンチェスター・ユナイテッド)は190cm、MFマルアン・フェライニ(マンチェスター・ユナイテッド)は194cm、DFヴァンサン・コンパニ(マンチェスター・シティ)は190cm。どのポジションにも長身選手が揃い、セットプレー、パワープレーでも威力を発揮する。キッカーの精度もカギを握るだろう。

 

 エースのルカクは欧州予選8試合11得点とストライカーとして覚醒した感がある。直近の親善試合で守備の固いコスタリカ相手に4-1で快勝。そのうちの2ゴールをルカクが挙げ、本番に向けて好調を維持している。“赤い悪魔”の異名を持つベルギーが狙うのはグループリーグ(GL)突破ではなく上位進出。過去最高成績の1986年メキシコW杯4位を上回るには、ここで躓いている場合ではない。

 

 サッカーの母国イングランドは近年、国際大会で目立った成績を残せていない。ガレス・サウスゲイトが率いる今大会、メンバーの平均年齢は26歳。30代は3人しかおらず、残りの20人が20代だ。キャプテンを24歳のFWハリー・ケイン(トッテナム)が務める若いチームで挑む。

 

 新生イングランドの象徴ケインは、プレミアリーグで4シーズン連続20得点以上をマークしており、今一番ホットなストライカーだと言っていい。クロスへの対応、抜け出しのタイミングやポジショニングも良くゴールパターンは多彩。何よりゴールへの嗅覚が優れている印象がある。今大会得点王候補の1人だ。

 

 ケインと前線で絡むラヒーム・スターリング(マンチェスター・シティ)は23歳、トッテナムでもケインのアシスト役を担うMFデル・アリは22歳。DFラインから攻撃の組み立てにも参加する守備の要ジョン・ストーンズ(マンチェスター・シティ)は24歳である。若き獅子たちが母国の名誉復権を担う。

 

 チュニジアとパナマはベルギー、イングランドと比べると戦力的に劣る。3大会ぶり5度目出場のチュニジアは過去4大会すべてでGL敗退。初出場のパナマと共に実績も乏しい。このグループはあえて大穴は置かない。

 

◎ベルギー

〇イングランド

 チュニジア

 パナマ

 

(文/杉浦泰介)