4日、日本アイスホッケー連盟は都内で会見を開き、来年2月のソチ五輪日本代表候補を発表した。メンバーは先月の5カ国対抗戦の24名から21名に絞られた。エースのFW久保英恵(SEIBUプリンセスラビッツ)やキャプテンを務めたFW大澤ちほ(三星ダイトーペリグリン)らは順当に選出された。唯一、長野五輪を経験しているベテランDF近藤陽子(SEIBUプリンセスラビッツ)が選ばれた一方で、若手のFW青木亜優子(Daishin)、床秦留可(SEIBUプリンセスラピッツ)2名は補欠に回った。今後は12月に1回、1月に2回と計3回の国内合宿の後、1月下旬にチェコ入り。練習試合などを経て、2月上旬にロシアに入る予定だ。
(写真:新ユニホームに袖を通し笑顔見せる<左から近藤、久保、鈴木、大澤>)


 目標のメダル獲得へ向けて、スマイルジャパンの陣容が固まった。2月の最終予選を勝ち上がり、日本で最初にソチ行きの切符を手にした。5月からは最終予選のメンバーを中心に、36名で構成された。国内外の合宿を経て、5カ国対抗戦を踏まて、ソチ五輪を戦う21名が決まった。

 飯塚祐司監督が「ギリギリまで悩んだ」という選手選考は、先週決定し、週末には24名に伝えられた。「課題である1対1の強さ、スコアリングにおいて、しっかりパフォーマンスできる」ことを加味して選んだという21名はGKが3名、DFが7名、FWが11名という編成になった。また飯塚監督はGKに関して「直前まで決めず、パフォーマンスの良い順番に起用したい」と現状は横一線であることを明かした。
(写真:飯塚監督も選手選考は苦渋の決断だったという)

 最年長は長野五輪を経験した34歳の近藤。最終予選はケガ明けのため、出場しなかったが、その後、調子を戻し代表へ復帰した。飯塚監督は「チームの中で五輪とはどういうものか、アドバイスできる役割を求めたい」と、プレーヤーとしてだけではなく精神的な支柱としても期待を寄せる。近藤本人は長野五輪で力を発揮できなかった悔しい記憶がある。「(その後)16年間の経験したことをしっかり出せるように準備したい」と意気込んだ。若いチームにおいて、数少ない30代の久保は長野五輪当時は15歳ながら代表候補だった。その後、中心選手となるも五輪への舞台へは立てなかった久保。「長い道のりだった。一時は引退もしたが、諦めきれずにここまで来ました。メンバーに入ってホッとしている」と語った。

 ソチ五輪ではスウェーデン、ロシア、ドイツと同組。この組で2位に入れば、決勝トーナメントに進出し、メダル獲得へとチャレンジできる。そのためには初戦のスウェーデン戦で60分間で勝利を収め、勝ち点3を奪いたい。勢いに乗った状態で、地元ロシアと試合巧者のドイツを迎えたい。スマイルジャパンは、ソチ五輪まで今月に北海道苫小牧で合宿を行い、男子高校生との練習試合2試合とスペシャルマッチ(スペシャルプレーなどを想定した変則マッチ)1試合を行う。1月には2つの国内合宿(苫小牧と新横浜)を経て、チェコで事前合宿をし、チェコ代表とも手を合わせる。2月にソチ入りして、ロシア代表とテストマッチをする予定だ。

 選手たちも一様にメダル獲得の目標を口にし、指揮官も「メダル圏内には来ている」と手応えを見せる。飯塚監督は「スピードを生かしたホッケーで、感動を与えるゲームをして勝利したい」と抱負を語った。このチームの代名詞であり、愛称でもある笑顔。2カ月後、ソチの氷上で、笑顔の花が咲かすためにも、残り少ない時間でのレベルアップは必須だ。「チームが成功するために、自分たちが何をすべきに重点を置く」という強化で、万全な状態で戦場に臨みたい。

 メンバーは以下の通り。

GK
中奥梓(Toyota Cygnus)
小西あかね(釧路ベアーズ)
藤本那菜(ボルテックス札幌)
DF
小池詩織(三星ダイトーペリグリン)
近藤陽子(SEIBUプリンセスラピッツ)
床亜矢可(SEIBUプリンセスラピッツ)
青木香奈枝(三星ダイトーペリグリン)
鈴木世奈(SEIBUプリンセスラピッツ)
堀珠花(Toyota Cygnus)
竹内愛奈(Daishin)
FW
山根朋恵(Daishin)
米山知奈(三星ダイトーペリグリン)
足立友里恵(SEIBUプリンセスラピッツ)
大澤ちほ(三星ダイトーペリグリン)
藤本もえこ(三星ダイトーペリグリン)
浮田留衣(Daishin)
平野由佳(三星ダイトーペリグリン)
坂上智子(三星ダイトーペリグリン)
獅子内美帆(Toyota Cygnus)
久保英恵(SEIBUプリンセスラピッツ)
中村亜実(SEIBUプリンセスラピッツ)

(文・写真/杉浦泰介)