7日、バドミントンの全日本総合選手権の各種目の準決勝が東京・代々木第二体育館で行われた。女子シングルス注目の16歳・山口茜(福井・勝山高)は過去5度優勝の廣瀬栄理子(ヨネックス)にストレートで敗れた。勝った廣瀬は3年ぶり6度目の優勝を懸け、日本ランキング1位の三谷美菜津(NTT東日本)と対戦する。男子シングルスでは田児賢一(NTT東日本)が桃田賢斗(同)を2−0で退け、同種目史上初の6連覇に王手をかけた。女子ダブルスは3連覇が懸かる高橋礼華、松友美佐紀組(日本ユニシス)、男子ダブルスは早川賢一、遠藤大由組(日本ユニシス)、混合ダブルスは嘉村健士(トナミ運輸)、米元小春(北都銀行)組と昨年の王者がそれぞれ決勝へとコマを進めた。また早川と松友は混合ダブルスでも決勝に残っており、2冠獲得を目指す。
(写真:12歳下の相手を下し、安堵の表情を見せた廣瀬)


 16歳の快進撃も、ここでストップとなった。女子シングルス準決勝で高校1年生の山口は、第一人者の廣瀬に屈した。今年は全国高校選手権(インターハイ)を制すると、9月にヨネックスジャパンオープンを優勝。五輪、世界選手権に次ぐBWFスーパーシリーズを初制覇。一躍、ニューヒロインへと躍り出た。11月の世界ジュニア選手権でも頂点に立ち、今大会でも全日本社会人選手権女王の高橋沙也加(日本ユニシス)を下した。

 破竹の勢いを見せる山口がこの日、対戦したのは全日本総合5度の優勝を誇る廣瀬だった。山口は立ち上がりにポンポン得点を奪い、主導権を握るかと思われた。だが、廣瀬の巧みなショットなど9連続得点を許し、逆転されると、一気にペースを奪われた。

 山口は持ち前の粘りでラリー戦に持ち込みたかったが、廣瀬の巧みなラケットワークに翻弄され、「攻めさせられているイメージ」とリズムを掴めない。第1ゲームを12−21で落とすと、そのまま第2ゲームも流れを変えられず14−21で失い、ゲームカウント0−2で完敗に終わった。「自分のタイミングに持っていけなかった。廣瀬さんはミスが少なく、攻撃のタイミングも難しかった」

 一方、対戦相手の廣瀬は第一人者としての面目を保ったかたちとなった。プレッシャーも少し感じたというが、「自分らしい思い切ったプレーができた」と終始、試合をリードした。ストレート勝ちも「差があったとは考えていない」と山口を評価。「スピードも速いし、色んなショットを持っている。とても高校生とは思えない」と、その能力の高さにも舌を巻いた。

 大会史上最年少優勝は叶わなかった山口。「日本のトップ選手ばかりの中でベスト4は自信になった。昨年は2回戦負けだったので成長を実感できた」と今大会で日本のシニアともやれると、大きな手応えを掴んだようだ。「今までは挑戦者だった。来年は勝ちに行って、勝てるような実力をつけたい」。今年、彗星の如く現れた16歳は、来年はどんな輝きを見せるのか。これからが楽しみである。

(文・写真/杉浦泰介)