日本ラグビー協会は15日、2016年のリオデジャネイロ五輪に向けた7人制の強化プランを発表した。男女ともリオ五輪でのメダル獲得を目指し、今年は国際大会のワールドシリーズ全戦に出場可能な「コアチーム」入りを目標とする。また選手のフィジカル強化のため、セブンスのストレングス&コンディショニングコーディネーターとしてオーストラリア人のディーン・ベントン氏が就任する。協会の代表委員会に設置されているオリンピック・セブンズ部門の本城和彦部門長は「代表チームを取り巻く環境を整えていくことが重要だが、まだまだ手をつけられていない。そのシステムをつくっていくのが私のミッション」と抱負を語った。
(写真:「リオ五輪まで時間はないが、しっかりとプランを推進したい」と話す本城部門長)
 2年後のリオ五輪で正式競技となる7人制ラグビーは、各国とも強化に力を入れている。日本はメダル獲得を旗印として掲げているものの、現状は決して甘くない。

 五輪の出場枠に関する詳細はまだ決定していないが、国際ラグビー評議会の案では男女12チームが参加。その内訳はセブンズワールドシリーズ2014-2015のの上位4チームに、各大陸予選を勝ち抜いた6チーム、そして世界最終予選を突破したチームと開催国のブラジルとなる見込みだ。

 セブンズワールドシリーズは年間で男子は9大会、女子は5大会開かれている。しかし、日本はそのうち男子は1大会、女子は2大会のみの参加にとどまる。全戦に出場し、世界の強豪相手に腕を磨くには、男子で15枠、女子で8枠あるコアチームに入らなくてはならない。

 2014年は五輪出場にも直結する2014-2015シリーズのコアチーム入りをかけた戦いに臨む1年となる。男子は3月17日からのワールドシリーズ東京セブンズを経て、同24日からのコアチーム昇格決定大会を優勝することが最大の使命だ。女子はコアチームが2014-2015シーズンから4枠増え、9月〜10月に予定されている昇格決定大会ではチャンスが広がる。

 コアチーム入りという当面の目標をクリアする上で、男女それぞれの課題は異なる。男子の場合は「ベストメンバーを揃えること」だ。これには15人制代表との協調や、各所属チームの協力が不可欠となる。本城本部長は「スコッド発表のタイミングや、代表の拘束期間、トップリーグ期間中に代表選手をリリースした場合の対応などを各チームと協議している」と語り、「すべての代表活動に参加してもらうコアメンバーに、いくつかの代表キャンプや大会に参加するサブメンバーで代表スコッドを構成したい」と今後のシナリオを明かした。

 女子は国内の選手数、チーム数も少ないため、「代表を徹底して集中強化する」方針だ。大会はもちろん、平日夜や週末にトレーニングを実施し、年間の3分の2に当たる240日を代表の活動期間とし、そのための強化拠点を確保する。また社会人選手が競技に打ち込めるよう雇用面などの環境も整備する。さらには実戦機会を増やすため、12チーム程度で争う国内シリーズを早期に創設する構想だ。

 2020年には五輪が東京で開かれ、セブンスの強化は6年後を見据えていることは言うまでもない。だからこそ「リオが大事」と本城部門長は強調する。
「五輪のラグビーは選手も関係者も誰も経験していないこと。そこに日本がまず出ることで世の中の関心も高まるだろうし、選手のモチベーションも上がる」

 コアメンバー入り、五輪出場、メダル獲得……日本が世界のトップレベルになるために、越えるべきハードルは決して少なくない。だが、「すべてのベクトルを代表強化に向けていきたい」と本城部門長は2年後のリオで“金星”を狙っている。