19日、日本バドミントン協会は東京・岸記念体育館で世界バドミントン連盟(BWF)公認のスーパーシリーズ(SS)ヨネックスオープジャパン開催概要を発表した。五輪、世界選手権に次ぐ権威を誇るSSにおいて、年間12試合のうちのひとつがヨネックスオープンジャパンである。昨年は女子シングルスで16歳の山口茜(勝山高)が史上最年少優勝の快挙を達成し、男子シングルスは田児賢一(NTT東日本)が準優勝だった。第33回目を迎える今回は、9月に開幕するアジア競技大会(韓国・仁川)との兼ね合いもあり、例年より3カ月早い6月に開催される。
(写真:日本人でただひとり連覇に挑む山口)
 あの快挙から約半年が経過した。昨年のヨネックスオープンを制したのは、わずか16歳の高校1年生。山口は大会日本人初制覇を果たし、そしてSS史上最年少優勝のおまけ付きだった。「獲りにいって、獲ったわけじゃなかった」と1年前を振り返る山口。11月の世界ジュニアで金メダルを獲得し、昨年末の全日本総合では3位に入る快進撃を見せた。当然、周囲からは連覇を期待されるが、本人は女王という意識はない。「今年は今年で挑戦」。目標は「ベストのプレーを見せたい」と語る。粘りのバドミントンを身上とする山口が、相手の打球を拾いまくり、世界の強豪たちに打ち勝てるのか。

 高校生に先を越されてしまったが、各種目日本の第一人者たちも黙っていない。男子シングルスには田児がいる。BWF世界ランキングは3位で、全日本総合は6連覇中、国内には敵なしと言っていい。昨年は同種目日本人初の決勝進出したが、BWFランク1位のリー・チョンウェイ(マレーシア)に決勝で敗れ、惜しくも初優勝に届かなかった。10月のフランスオープンで初めてリーを倒したが、通算成績は1勝15敗。田児が「ライバルと言ったら失礼」と言うほど、現状は水をあけられている。頂点を目指す以上は、リーは避けては通れない壁だ。「尊敬の部分が強すぎた」という田児、まずは肩を並べるためにも勲章としてSS初制覇を成し遂げたい。

 女子ダブルスでは日本最高位(BWF3位)の高橋礼華、松友美佐紀組(日本ユニシス)がSS初制覇を目指す。12年のフランスオープン準優勝以降、SSで安定した成績を残している。準決勝、決勝までは進むが、あと一歩のところで栄冠には届いていない。手応えは感じている。「もうすぐ勝てるところまで来ている。今年中にスーパーシリーズを優勝したい」。主に前衛でゲームをつくる松友は言う。彼女が「小さい頃から憧れていた大会」は前回準決勝で敗退(3位)。1歳年上で、後衛から力強いスマッシュを得意とする高橋は「今まで自分たちのプレーができず負けていたんのですが、去年は自分たちのプレーで3位で締めくくれた。今年こそ優勝したい」と意気込んだ。

 そのほかにも、今月に行われた全英オープンで2年連続準優勝を果たし、BWF世界ランクも過去最高の2位にまで上りつめた男子ダブルスの早川賢一、遠藤大由組(日本ユニシス)にも期待が集まる。

 日本が世界を知るためにはじまったこの大会。リオデジャネイロ五輪まで、あと2年だ。世界と伍する力を証明するには、絶好の機会である。

ヨネックスオープンジャパン2014
・6月10日(火) 各種目予選   10時〜
・11日(水)   各種目1回戦  10時〜
・12日(木)   各種目2回戦  10時〜
・13日(金)   各種目準々決勝 12時〜
・14日(土)   各種目準決勝  12時〜
・15日(日)   各種目決勝   14時〜

※会場はすべて東京体育館
(写真:会見でポーズをとる田児、山口、高橋、松友)

(文・写真/杉浦泰介)