グラクソ・スミスクライン株式会社が運営する喘息情報ウェブサイト「Zensoku.jp」にて、当HP編集長・二宮清純がナビゲーターを務める対談シリーズ「二宮清純のゼンソク人間学」が好評配信中です。このシリーズでは幼い頃から喘息に悩まされてきた二宮が、病気を克服して活躍しているスポーツ選手、元選手と対談。喘息をいかに乗り越えるかというテーマで話を進める中で、この病気への理解を深め、患者さんを勇気づけることを目指しています。今回は昨年のデフリンピック、陸上男子400メートルハードルで日本人初の決勝進出(7位入賞)を果たした高田裕士選手と、喘息の専門医で琉球大学大学院感染症・呼吸器・消化器内科学(第一内科)教授の藤田次郎先生との対談を実施。その前編を公開しました!

 当サイトでは対談の一部を特別にご紹介します。
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 大学4年、猫で発症

二宮: 高田さんは成人してから喘息の症状が出始めたそうですね。
高田: 大学4年の秋、10月頃に発症しました。猫を飼っている友人の家に遊びに行った翌日から、のどの調子がおかしくなったんです。最初は風邪かなと思ったのですが、ずっと症状が改善せず、翌年の1月に病院に行ったところ喘息の診断を受けました。お医者さんからは「なぜ、もっと早く病院に来なかったのですか。そうすれば、こんなにひどくならなかったのに」と言われてしまいました……。

二宮: 私も猫の毛が舞っているような環境だと息苦しくなって症状が出ます。高田さんのケースも発症していなかっただけで、もともと喘息の因子を持っていたのではないでしょうか。
藤田: 今のお話ですと、高田さんはアレルギー体質だと思われます。ただ、アレルギーの症状が出るまでには人それぞれ違いがあるんです。たとえるなら、アレルギー症状は、コップから水があふれるように、体内のアレルギー物質が一定の許容範囲を超えると引き起こされます。コップの大きさは人によって異なるので、水があふれ出る状態になるまでには個人差があるのです。高田さんの場合は、おそらく子どもの頃からアレルギー体質で、最終的には猫の毛か、猫についていたダニなどが引き金となって症状として現われたのでしょう。

二宮: それまでに何か異変を感じたことは?
高田: 今、振り返ると、子どもの頃から、のどがゼーゼーすることは多かったように思います。走った後に息切れしたり、痰がからんだりすることがありました。ただ、咳が止まらなくなるようなことはありませんでした。実は母には喘息の症状があって、その要因がハムスターを飼っていたことにあったようです。

藤田: ゼーゼーすることがあったのなら、やはり子ども時代から喘息の症状があったのでしょう。喘息の遺伝については、母親が喘息の場合、子どもも喘息になりやすいとも言われておりますが、この点はまだ解明されていません。高田さんの場合もお母さんと似たようなかたちで、動物と接して喘息の症状が出てきているので遺伝的要素があったのかもしれません。それにしても喘息の症状を抱えながらトップアスリートにまでなれたのですから、ものすごい身体能力を持っていると言えます。
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 後編は5月7日に更新予定です。どうぞお楽しみに!
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