26日、「一般社団法人 地域活性化・健康事業コンソーシアム」の発起法人であるbjリーグ(株式会社日本プロバスケットボールリーグ)が都内で会見を開き、今年11月から新潟県長岡市で本格的に始動する「『多世代健康まちづくり』プロジェクト」への参画ならびにその概要を発表した。同プロジェクトの第1弾として、bjリーグ、株式会社タニタ、慶応義塾大学大学院健康マネジメント研究科、システムデザイン・マネジメント研究科の教授がアドバイスしながら、新しい視点で長岡市がこれまで“健康”をテーマに推進してきた中心市街地の整備を進めていく。bjリーグはスポーツ関連のコンテンツ、スキル、ノウハウを市民の健康生活に活用できるように提供。タニタは健康づくりのリソースを活用し、医療費削減効果が期待できる「タニタ健康プログラム」を長岡市の環境に適応した形にリファインする。またタニタは中心市街地の飲食店でタニタ食堂のヘルシー定食を提供し、回遊運動と健康的な食習慣を同時に可能とする「まちなかまるごとタニタ食堂」を展開。そして同社が開発してきた新業態の健康カフェ「TANITA CAFE」を街中に出店し、様々なサービスや情報を発信する。
(写真:左から長岡市長・森氏、bjリーグ・中野氏、タニタ・谷田氏)
 産学官が一体となったプロジェクトだ。会見では地域活性化・健康事業コンソーシアム代表理事でもある中野秀光・bjリーグ代表取締役社長、森民夫・長岡市長、谷田千里・タニタ代表取締役社長らが、同プロジェクトにかける意気込みを語った。

 NPB、Jリーグに次ぐ「日本第3のプロスポーツ」と自負するbjリーグのクラブ数は、発足当時(2005年)の6から現在の22に激増している。その上で選手たちのセカンドキャリア問題は早急に取り組まなくてはならない課題だった。中野氏は次のように、プロジェクトへの関わり方を述べた。
「我々には社会・地域貢献とバスケットボールのプロ選手のセカンドキャリアを考えるという宿題があった。選手は運動能力、生活能力、休む能力に優れている。この能力をまちづくりに活かし、スポーツを通したまちづくりに着手したい」

 これに賛同したのが同じく地域活性化・健康事業コンソーシアムに参加するタニタであり、健康をテーマにしたまちづくりに取り組んでいた長岡市だった。

「大きなチャレンジ」
 谷田氏はこのようにプロジェクトを位置づける。タニタは家庭用計量器メーカーとしての事業のみならず、タニタ食堂で健康をテーマにした食事提供などのサービスも展開。そんな同社が「多世代健康まちづくり」プロジェクトで実践するのはタニタ健康プログラムをベースとした「ウェルネス・アクティビティー」だ。これは健康増進への取り組み自体に「メリット、楽しさ、お得」を付随させる新しいソリューションである。

 市民は長岡市のさいわいプラザ、長岡市民体育館などに設置されたタニタのプロフェッショナル仕様の体組成計と血圧計を備えた健康チェック施設、エンターテイメント性を持った体感型の健康増進コンテンツを利用できる。からだの変化と運動の状況は通信機能を持った活動量計(写真)で把握。またそうした活動を行うことでポイントを獲得でき、日常生活で使えるインセンティブを得られる健康ポイントサービスも実施される。

 他にもタニタは2つの大きな試みを展開する。「まちなかまるごとタニタ食堂」と「TANITA CAFE」だ。
「まちなかまるごとタニタ食堂」は長岡市内にある飲食店でタニタ食堂のメニューを提供し、長岡市全体をタニタ食堂にするというコンセプトの下で行われる。各協力店が異なるタニタ食堂メニューを提供することで、市民の食事サポートと異なる店舗を訪れる動機づけをし、市街地の回遊と活性化をはかる。またタニタが新たに店舗を展開するのではなく、既存の飲食店をサポートすることで、不必要な競争も生じない。

「TANITA CAFE」では「五感で感じる癒しの空間」をコンセプトに掲げ、同カフェに滞在することでリラックスできる時間とサービスを提供する。座席はハンモックや足湯を楽しめる席なども用意し、よりリラックス効果を高める。そして管理栄養士が健康アドバイスを行うカウンセリングルームも設置され、市民は同カフェを訪れることで多種多様な健康情報に触れられる。肝心のメニューはタニタが監修した「タニタプレミアムブレンドコーヒー」(脂肪を燃焼する効果が高いといわれるクロロゲン酸を多く含む)、低カロリーのケーキやヨナナスなど、どれも「TANITA CAFE」でしか味わえない特別メニューが提供される。

 長岡市は昨年度に産学官が連係した「多世代健康モデル研究会」を立ち上げ、誰もが健康に暮らせるまちづくりについて検討してきた。その上で森市長は自治体には真面目さばかりでなく「ある種の“緩さ”も大事」と語り、こう続けた。
「民間企業のノウハウで楽しく、お得。そういうところに可能性がある。(「多世代健康まちづくり」プロジェクトは)歩きながら考える、そういった取り組み」

 最後に森市長は同様の施策が「長岡市から全国に広がってもらいたい」と期待した。果たして、全国初の試みはどのような果実をもたらすのか。