21日、Jリーグは都内で会見を開き、9月度の月間アワードならびに同日に行われた理事会の決議事項を発表した。月間アワードでは、J1ベストゴールに浦和レッズの柏木陽介が第24節(9月20)柏レイソル戦で決めたゴールを選出。月間MVPはJ1がガンバ大阪の宇佐美貴史、J2は京都サンガF.C.の大黒将志が選ばれた。宇佐美はJ2での2度の月間MVPと合わせて3度目、大黒は初受賞となった。理事会では浦和などで活躍した岡野雅行氏(現鳥取GM)や磐田などでプレーした服部年宏氏ら8名に功労選手賞の授与を決定。また試験的にJの3クラブ(J1=2クラブ、J2=1クラブ)の育成システムを格付けする業務を欧州の会社に依頼する方針であることも発表した。
 育成システムの格付けを行うのはブンデスリーガやプレミアリーグのクラブを請け負っている会社となる見込み。12月中に専門の調査チームがユースなどの育成環境や指導者の哲学・スキルなどを分析し、4つのランクに格付けする。ドイツやイングランドなどの欧州主要リーグのクラブと比較してJクラブの育成システムの水準を確認、充実化へつなげる。村井満Jリーグチェアマンは「様々な角度から第三者の客観的な基準で(Jクラブの育成システムを)調査してもらう」と試験的導入の意図を述べた。調査の妥当性が検証されれば、来年からは格付け対象クラブの増加も検討しているという。なお12月の調査にかかる費用約1000万円はJリーグが負担し、対象となる3クラブはJリーグが指名する。

 宇佐美、代表入りのポイントは守備

 宇佐美が好調のチームの中で月間MVPに輝いた。G大阪は9月の4試合を全勝し、現在、リーグ7連勝中。宇佐美は9月に行われた4試合に出場し、2ゴール4アシストの活躍でチームに貢献した。

 Jリーグ選考委員会は、次のように宇佐美を評した。
「ゴールだけでなくパスの巧さが光り、アシスト数が1位タイとなる4回をマーク。チームの全10得点中6得点に絡む活躍をみせた。特に第24節のC大阪との大阪ダービーでは、相手チームディフェンダーが宇佐美選手のミドルシュートを警戒するなか、意表をつくキラーパスで阿部選手の先制点をお膳立てした。自身にマークが集まる中でチャンスメークの役割を担い、チームの躍進に大きく貢献している」

 宇佐美はタイトル獲得を受けて「素直に嬉しく思う」とコメントを発表し、プレー中に意識していることについても触れた。
「僕自身、攻撃面においてはシュート、ドリブル、パスなどすべてのプレーに自信を持っているし、だからこそ一番自分が点を取れるポジションにいなくなってしまう時があるので、後ろで“作り”に集中してしまったり、得点を取る動きから、得点を取らせるプレーに抜けてしまう時がある。そのため、一番前でプレーできればゴールを取れると思いし、それが一番ゴールの確率が高いポジショニングだと思うので、後ろでボールを回したり、決定機を演出するプレーそれだけに集中しないようにしている。僕の一番の長所はアタッキング・サードでボールを受けてどう仕掛けて、どうシュートを打つかにあるので、ポジショニングについては試合ごとに『今日はどうだったかな?』と監督と話すことももちろんある」

 宇佐美はJ1における9月の4試合での得点数とアシスト数を足したランキングで堂々の1位(2得点、4アシスト)。シュート数は15本に上り、敵陣PA内へのパス成功数も11回を記録した。攻撃面での効果的な活躍が受賞に大きくつながった。 

 ブラジルW杯後は新生日本代表への選出も期待されるが、ここまでの4試合で宇佐美の招集はない。Jリーグ特任理事であり、宇佐美のG大阪の先輩でもある宮本恒靖氏は後輩の代表入りのポイントに「守備面」を挙げた。
「攻撃面での仕事量は十分。守備面でチームを助けることに関する運動量が増えていけば、またコンスタントに90分プレーできれば間違いなく(代表に)呼ばれる選手だと思う」

 代表のハビエル・アギーレ監督も「(求めるのは)守ることも攻めることもできるバランスのとれた選手」と語っている。代表入りへ、宇佐美の課題は明確だ。