6日、全日本総合バドミントン選手権の各種目準決勝が行われた。男子ダブルスは2連覇中の早川賢一&遠藤大由組(日本ユニシス)が数野健太&山田和司組(日本ユニシス)を下し、決勝へ進出した。3連覇をかけて、7日の決勝で平田典靖&橋本博且組(トナミ運輸)と対戦する。早川は松友美佐紀(日本ユニシス)と組む混合ダブルスでも決勝に進み、2年連続でダブルス2冠を狙う。女子シングルスは三谷美菜津(NTT東日本)と山口茜(福井・勝山高)が、男子シングルスは佐々木翔(トナミ運輸)と桃田賢斗(NTT東日本)が決勝へとコマを進めた。
(写真:4年連続の決勝進出を決めた早川<右>&遠藤組)


 BWF世界ランキング4位の早川&遠藤組が難敵を下し、4年連続の決勝進出を果たした。対戦相手の数野とは早川が、山田とは遠藤が過去にペアを組んでおり、現在も同じチームに属している。「手の内はわかっている」(早川)「お互いに何をやるかを知っている」(遠藤)というやりにくい相手だった。

「相手の方がスマッシュが速い。簡単にやられることもある。僕らはずる賢くやるしかない」。そう考えた遠藤は連続得点で相手が勢いに乗りそうになれば、シャトルを変えるなど意図的に間を作った。作戦は奏功し、数野と山田にはミスが目立った。第1ゲームは早川&遠藤組が5連続得点を2度奪うなど、リズムに乗ったのに対し、相手の連続得点は3に抑え、流れを掴ませなかった。

 スコア20−18でゲームポイントを迎えると、遠藤はコートに落ちそうなシャトルに飛びついた。連続できわどいシャトルを拾い続けた結果、相手がミスし、第1ゲームの先取に成功した。「泥臭く貪欲に求めたから、とれた1点」と遠藤を胸を張った。
(写真:遠藤が「助けられた」というレシーブは早川の武器)

 プレーが切れる度に声を掛け合う場面が見受けられた。「僕らはメンタルが強いとは言えない。黙り込んでやっていてもあまりいい成績を残した記憶がないので、かたちだけでも話していけばプラスに働くかなと思った」と遠藤。第2ゲームも相手に流れを許すことなく、早川&遠藤は得点を積み重ねた。第2ゲームも21−12で取り、ストレート勝ちを収めた。

 世界でも上位にいる早川&遠藤組にとっては、ランキング的に言えば格下の相手が続いている。準決勝までの3試合全てをストレート勝ちし、順当に上がってきたようにも見える。だが2人は内容に満足していない。「負けられないイメージが強すぎた」(遠藤)「どこかでリスクを抑えてやっていたのかもしれない」(早川)と硬くなったことを反省した。

 しかし、準決勝は挑戦者の姿勢で戦えた。遠藤は「向かって行けたと思う」と語れば、早川は「リスクを恐れず海外でやっている時と同じようなプレーができた」と振り返る。スコアが動く度に上げる声は、いつも以上に気合いが入っているように見えた。
(写真:「いい流れもあったのにミスをしてしまった」と悔やんだ数野<右>)

 決勝は平田&橋本組と対戦。4年連続同一カードとなった。早川は「代表の合宿や試合で何度もやっている相手。ラリーは長くなる。相手より我慢して、集中力を切らさないようにやっていきたい」と述べた。一方の遠藤は「今年は日本チャンピオンらしい仕事をしていない。もう1回優勝して来年、そのプライドを持って戦いたい」とコメントした。団体世界一を獲得したトマス杯から、早川と遠藤組は思うような結果を残せていない。来週からスーパーシリーズファイナルズ(UAE・ドバイ)を控えるだけに、3連覇で弾みをつけたい。

(文・写真/杉浦泰介)