17日、全日本卓球選手権6日目が東京体育館で行われ、女子ダブルス決勝は平野早矢香(ミキハウス)&石川佳純(全農)組が阿部愛莉&森薗美月組(大阪・四天王寺高)を3−2で下し、2年連続3度目の優勝を果たした。石川は混合ダブルスに続き今大会2冠を達成。男子ダブルス決勝は森薗政崇(明治大)&三部航平(青森山田高)組が岸川聖也(ファースト)&水谷隼(beacon.LAB)組にストレート勝ちし、連覇した。男女シングルス準々決勝は水谷、石川と前年度の優勝者が順当に準決勝へとコマを進めた。15日にジュニアの部を制した伊藤美誠(スターツ)は、石川にストレート負け。ベスト4進出はならなかった。
(写真:連覇を達成し「2」のVサインで喜んだ)


「苦しい試合」。連覇を達成した平野と石川は、決勝戦をこう振り返った。日本を代表する2人に挑戦者の姿勢で思い切りぶつかってきたのは、阿部と森薗の高校3年生のペア。昨年の全国高校総合体育大会(インターハイ)を準優勝した実績を持つ。

 準決勝はともにストレート勝ちで決勝へとコマを進めた2組だが、実績では雲泥の差がある。平野と石川ペアの優勝を会場にいた誰もが疑わなかっただろう。実際、第1ゲームは序盤から、テンポのいい攻撃で相手を圧倒。0−1から5連続ポイントで逆転すると、11−6で取った。このまま一気に突き放すかと思われた。

 しかし、2ゲーム目は競った展開で平野&石川ペアにミスが続き、9−11で落とした。ここから勢いに乗る高校生ペアに流れを持っていかれた。冷静にゲームを組み立てる阿部、思い切りのいい森薗のプレーに押される。3ゲーム目は序盤、中盤に連続ポイントを許した。結局、このゲームも7−11で失う。ゲームカウント1−2と追い込まれる。
(写真:強烈なスマッシュで格上の相手を苦しめた森薗)

 平野と石川にとって、あとがない4ゲーム目は、シーソーゲームとなった。先にゲームポイントを奪ったが、粘る相手になかなかトドメを刺せない。平野と石川は3度のデュースの末、このゲームを14−12でなんとか取った。フルゲームまでもつれる熱戦に会場からは両者を称える拍手が送られた。

「4ゲーム目、すごく苦しい展開で取ることができたので、5ゲーム目を新しくスタートする気持ちで迎えられた。あそこを取れたのがポイントだったと思います」と平野。ファイナルゲームは、中盤で一気に突き放し、10−6とチャンピオンシップポイントを手に入れた。高校生ペアに粘られ、2点を返されたものの、最後は相手の返球は台を外れた。平野と石川は勝利を確信すると、抱き合って3度目の戴冠を喜んだ。
(写真:優勝が決まり、安堵の表情を見せた石川<右>)

 長年ペアを組む2人、コンビネーションは熟成されてきた。石川が「平野さんに引っ張ってもらってなんとか勝つことができた」と8歳上の先輩に感謝を述べれば、平野は「お互い助け合って勝ち取れた1勝だと思います」とチームワークを勝因に挙げた。たとえ流れが悪くとも、声を掛け合って修正できる強みがある。今後も日本のを引っ張っていく2人であることを、改めて証明した。

 これで石川は今大会での2冠を達成した。明日のシングルスを制すれば、史上2人目の3冠の快挙となる。「2種目で優勝できて、すごく自信にもなりました。今日の苦しい試合を乗り越えることができ、明日にもつながると思う。1球1球、声を出して、自分に負けない試合をしたいです」と意気込む。3冠を懸けて、昨年のインターハイ女王の前田美優(福岡・希望が丘高)と準決勝で対戦する。

(文・写真/杉浦泰介)