3月7日からの明治安田生命Jリーグ開幕を約2週間後に控えた19日、都内ホテルで「2015Jリーグキックオフカンファレンス」が行なわれ、J1・J2・J3全52クラブの監督と代表選手が集結した。今季はJ1で11年ぶりに2ステージ制を採用。両ステージの優勝クラブと年間勝ち点の上位3クラブによるチャンピオンシップが行われる。冒頭で挨拶に立ったJリーグの村井満チェアマンは「タイトルを賭けたヤマ場が多く設けられている。サッカーに興味、関心のない方でも熾烈な戦いの感動と興奮をお届けしたい」と新方式への意気込みを示した。
(写真:今季のJ1リーグを戦う18クラブの代表選手たち)
「2015年はJリーグにとって大きな変革にチャレンジする年」
 村井チェアマンがそう位置づけるシーズンが幕を開ける。何と言っても目玉はJ1の新しいリーグ戦のシステムだ。6月までのファーストステージ、7月〜11月のセカンドステージで各1回戦の総当たり方式により、各優勝チームを決定する。これに年間トータルの勝ち点1位〜3位を加え、最大5クラブが参加するチャンピオンシップが11月25日から実施される。

「ファーストステージ、セカンドステージ、チャンピオンシップ。いずれも短期決戦になる。1勝の重み、勝ち点1の重み、1つの得点の重みが極めて増す。試合終了の笛がなるまで集中を切らさず、戦う選手たちの姿が見られると思う」
 村井チェアマンは、そう新たな方式に期待を寄せる。

 J1は今季、松本山雅FCが初昇格。湘南ベルマーレ、モンテディオ山形がJ1の舞台に戻ってくる。初のJ1となる松本山雅を代表して、MF田中隼磨は「相手どうこうではなく、自分たちのタフでクリーンなサッカー、最後まで諦めずに戦う姿勢を選手みんなで助け合いながら見せていきたい」と抱負を語った。

 昨季はJ2から復帰を果たしたばかりのガンバ大阪がリーグ戦、ナビスコ杯、天皇杯の3冠に輝いた。一転、王者として追われる立場となったが、FW宇佐美貴史は「周りに期待してもらっている中で1試合1試合、勝利に対して全力で突っ走ることだけを考えていきたい」と重圧をはねのけるつもりだ。

 3月7日の開幕戦、ホームに迎え撃つのはFC東京だ。磐田から元日本代表のストライカー前田遼一を獲得。売り出し中のFW武藤嘉紀もいる。MF東慶悟は「首都・東京のチームが優勝することでJリーグも盛り上がる。今年の東京を楽しみにしてほしい」と打倒ガンバへ静かに闘志を燃やしていた。

 村井チェアマンは「アジアの覇者はJリーグだと示したい」と今季、AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の覇権奪回も大きな目標に掲げる。ACLは08年にG大阪が制して以降、Jリーグ勢は優勝から遠ざかっている。今季はG大阪、浦和レッズ、鹿島アントラーズ、柏レイソルの4クラブが出場する。Jリーグでは日本サッカー協会と連携して日程調整や遠征費の補助、対戦相手のスカウティングなどを通じてサポートを行ってきた。
(写真:ACL出場クラブから、(左より)鹿島・昌子、G大阪・宇佐美、浦和・阿部、柏・茨田)

「Jをあげてタイトルを獲りに行く戦い」と村井チェアマンは総力戦を強調する。07年のACL制覇に貢献した浦和の阿部勇樹は「他の14チームの協力を得て戦えるということなので、(出場する)4チームはライバルだが、Jリーグの代表としてともに頑張っていきたい」と決意を述べた。

 今季のJ1では新しい試みとして全試合でトラッキングシステムが導入される。各選手の走行距離、走行スピード、プレー位置などのデータが収集され、競技力向上に活用されるだけでなく、ファン・サポーターにも開示され、観戦のおともとなる。

 J2ではツエーゲン金沢が昇格し、J3にはレノファ山口FCが加わる。これでJクラブのある都道府県は37に拡大した。「Jリーグは100年構想というテーマでスタートした。まだ23年目。完成したとは思っていない」と村井チェアマンは語る。各クラブや選手のみならず、リーグ自体も新たな領域に挑む1年がキックオフする。