27日、Jリーグは富士ゼロックススーパーカップの前日記者会見を神奈川・日産スタジアムで行った。昨季3冠を達成したガンバ大阪は、5年ぶり4度目の出場。昨季J1で2位の浦和は7年ぶりの3度目の出場となる。会見にはG大阪の長谷川健太監督と遠藤保仁、浦和のミハイロ・ペトロビッチ監督と阿部勇樹が出席した。昨季、リーグの覇権を争った両クラブが、いずれも2度目となる今季初タイトルを目指す。
(写真:いずれもチームの“心臓”である遠藤<左>と阿部)
 シーズンを占う前哨戦となるスーパーカップ。昨季、J史上2クラブ目の3冠を達成したG大阪と6季連続で無冠に終わった浦和がぶつかり合う。過去にスーパーカップで2度対戦し、1勝1敗。リーグでの対戦成績はほぼ五分である。近年はJリーグの主役の座を奪い合うライバル。白熱した試合展開が予想される。

 G大阪は昨季の優勝メンバーはほぼ残留。新たにFW赤嶺真吾(前仙台)やMF小椋祥平(前横浜FM)が加わるなど、戦力は厚みを増した。日本代表のMF今野泰幸が左太腿裏の肉離れのため、スーパーカップには出場できない。代わりに入る小椋が、ボランチとして、その穴を生めらるかがカギを握るだろう。小椋も今野同様にボール奪取能力には長けているが、攻撃面で若干の不安が残る。

 そうなると、もうひとりのボランチ遠藤にかかる負担は大きい。3日前のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)では中国の広州富力に0−2の敗戦を喫した。遠藤は「(敗戦の)ショックはない」としながらも、「プロである以上、負けは許されない。持っているものチームのために全力を尽くしたい」と闘志に燃やす。まずはスーパーカップで今季公式戦初勝利を掴みたい。

 遠藤は鹿児島実業からプロ入りし、18年目を迎える。「チームにも自分にも非常に期待しています」。G大阪はリーグ2位の得点力誇り、FWパトリック、宇佐美貴史など攻撃陣にタレントが揃っている。昨季MVP遠藤の円熟のゲームメイクで、チームに勝利をもたらせるのか。

 一方の浦和も、2日前にACLで韓国の水原に逆転負け。最初の公式戦で黒星スタートとなっている。3季連続無冠から12年にペトロビッチ政権に切り替わってからも、変わらずタイトルを手にできていない。覇権奪還への意欲は、オフの積極的な補強からもうかがえる。FWズラタン(前大宮)、FW石原直樹(前広島)、FW高木俊幸(前清水)、DF橋本和(前柏)、DF加賀健一(前F東京)ら各クラブの主力クラスを引き抜いた。敵将の長谷川監督からも「選手層が厚くなっている。今年にかける思いを感じます」というチーム編成をした。
(写真:互いのチームカラーのリボンに結ばれた優勝カップ)

 その新戦力について、ペトロビッチ監督は「まずはこれまで率いたチームがベース。昨年のようなプレーをすることが第一である。(新戦力の)彼らには同じくらいのプレーをしてくれればいい」と語った。優勝争いをしたメンバーにプラスアルファが加われば、自ずとタイトルも見えてくるという考えなのだろう。

 浦和とすれば、G大阪に去年の借りを少しでも返してシーズンを迎えたい。リーグの対戦成績こそ1勝1敗だったが、浦和は第32節を終えるまで首位だった。そこから逆転で優勝をさらわれた屈辱は忘れていないはずだ。阿部は「ガンバとはこの先、何回もやる。何とか勝って、次のACLにもつなげていきたい」と雪辱を誓った。

 国立競技場改修のため、4年ぶりの日産スタジアム開催となったスーパーカップ。横浜を舞台に、ACLでの敗戦を払拭し、いい船出を切るのはどちらのクラブか。

(文・写真/杉浦泰介)