2日、明治安田生命J1リーグ第9節が各地で行われた。東京・味の素スタジアムでは3位のFC東京と、5位の川崎フロンターレが対戦。FC東京は先制を許したものの、試合終盤に2得点をあげ、逆転した。これでリーグ戦3連勝、2位に浮上した。首位の浦和レッズは、ガンバ大阪を1−0で破り、開幕から9戦負けなしをキープ。G大阪の宇佐美貴史の連続試合ゴールは6でストップした。
 太田、得意のFKで逆転劇演出(味スタ)
FC東京 2−1 川崎フロンターレ
【得点】
[FC東京] 太田宏介(71分)、武藤嘉紀(87分)
[川崎F] 大久保嘉人(21分)

 味の素スタジアムに今季最多の4万2604人が詰めかけた白熱の多摩川クラシコは、FC東京に軍配が上がった。勝敗を分けたのは、左サイドバックの太田宏介の左足。試合後のヒーローインタビューは決勝点をあげたFW武藤嘉紀に譲ったが、立役者は間違いなく青赤の背番号6だった。

 第8節終了時点で、FC東京は6試合を無失点。鉄壁の守備陣はリーグ最少タイの4失点だ。対する川崎Fはリーグ最多の17得点からも分かるように破壊力抜群の攻撃陣が売りである。単純計算でも1試合平均1失点以下のFC東京、平均1試合2得点以上の川崎F。対極のサッカーがぶつかり合う好ゲームが予想された。

 主導権を握り、先制点を奪ったのは川崎Fだった。高い位置からプレスを仕掛けてくるFC東京に対し、パスでかわした。前半21分、セットプレーから大久保嘉人のヘディングシュートが決まった。

 リードを許したFC東京だが、後半に入り、太田が高い位置を取るようになる。左サイドから好クロスを供給し、川崎F守備陣にプレッシャーをかける。前半から何度も突破を試み、脅威となっていた武藤も相手のファウルを誘発する。

 すると19分にDF車屋紳太郎が武藤を倒し、この試合2枚目のイエローカードを受け、ピッチを去った。

 数的優位に立ったFC東京はなおも攻勢を仕掛ける。25分には絶好の位置でFKのチャンスを得た。キッカーはレフティー太田。ここ2試合の2得点は、太田のセットプレーから生まれている。相手守護神の西部洋平とは、清水エスパルス時代の先輩である。「西部さんの特徴はわかっていた」。太田は西部がニアに読むと予想し、ファーサイドへの速いシュートを選択した。

 左足から放たれたボールはゴールネットを揺らす。太田の読み通り、西部はニアに反応。完全に逆を突かれたかたちとなった。セットプレーの名手が、実力を存分に発揮した。

 俄然、勢いに乗るFC東京は終了間際、武藤が左サイドでボールをチェイスし、相手につぶされFKを獲得した。攻守に走り回り、何度もファウルを受けた武藤。献身的に働いたストライカーへ最後に褒美が待っていた。キッカーの太田からニアサイドへの速いクロスをヘディングで叩き込む。駆け引きでうまくマークを外すと、「合わせるだけでよかった」と絶好のボールを呼び込んだ。FC東京は逆転に成功し、勝ち点3をもぎとった。

 これでFC東京は3連勝。勝ち点を20に伸ばし、首位浦和と勝ち点差3の2位に浮上した。ファーストステージは残り8試合。ナビスコカップは2度、天皇杯は1度制しているFC東京だが、J1のリーグ戦のタイトルには縁がない。武藤という活きのいいストライカー、太田というセットプレーの名手。2つの大きな武器を手に、初タイトルへ邁進する。