今月20日に開幕する国際バレーボール連盟(FIVB)主催の「FIVBビーチバレーボールワールドツアー資生堂グランドスラム2015横浜大会」に出場する男女日本代表が14日、都内で記者会見を行った。ビーチバレー国際大会の国内開催は女子が6年ぶり、男子が20年ぶりとなる。昨年末に現役復帰を決意した男子の白鳥勝浩は「復帰1年目でグランドスラムが日本であることが、とても楽しみ。ビーチバレーボールを見せられるよう頑張りたい」と抱負を語った。女子でワールドツアーランキング日本勢最上位(33位)の西堀健実&溝江明香組は口を揃えて「表彰台を目指す」と誓った。日本代表は来月にリオデジャネイロ五輪予選となるFIVBコンチネンタルカップ(韓国)を控える。
 強化委員長から異例の現役復帰だ。北京、ロンドンと五輪2大会を経験した白鳥がビーチに帰ってきた。

 1999年にインドアからビーチに転向した白鳥。2012年に現役を退くまでの10数年、日本のトップを突っ走ってきた。その後、日本ビーチバレーボール協会の強化委員長、女子代表監督を務めたが、思うような結果を残せなかった。その間、日本の男子選手が海外勢に負けるのを目にし、「もどかしい気持ちだった」とモヤモヤを抱えていた。

 周囲からの復帰要請の声もあった。自分自身でも選手と、強化担当しての自分を天秤にかけた。「どちらが日本の力になれるか。チャレンジを含めて決断した」。昨年末、白鳥が出した答えはコートに戻ることで、ビーチバレー界に少しでも刺激を与えることだった。

 とはいえ、「不安しかなかった」という現役復帰。1月からボールを触り、体作りを中心にトレーニングを開始した。2年、プレーから離れてブランクは「マイナスからのスタート。ここまで跳べなくなるものか」というものだった。それでも昔の記憶を辿りながら、勘を取り戻していった。

 今大会からペアを組むのは、8歳下の長谷川徳海だ。米国・ロサンゼルス合宿でコンビが決まった。長谷川を評して「ブロックの速さ、形をつくる速さは世界でも通用する」という。結成わずか3週間だが、「周りから見ても、そうは思えないチーム」とフィーリングは上々のようだ。

 来月にはリオ五輪の出場権がかかるコンチネンタルカップを控える。「厳しいのは確かです。それは体がロンドン五輪の時に戻ろうが、出場を決めた当時も奇跡に近かった。ただ今は上に上がるために必死になってやるしかない」

 2020年の東京五輪・パラリンピックが決まり、一時は“若手重視”の流れになっていたが、「サッカーやスキーではベテランの選手が活躍しているので、少し変化が出てきているのかもしれない」と、白鳥は三浦知良、葛西紀明といった40歳を超えても第一線で戦うレジェンドたちからも刺激を受けた。

 白鳥は強化担当を経験し、それまで愚直に突っ走ってきた選手時代からは「だいぶ大人になった」と笑う。一歩引いて見たことで得られた視点。周囲を思いやることも覚えた。「最強の選手になりたい」をテーマに持ち、「ただ強いだけでなく、周囲への気配りを含め、いろいろなことができる」プレーヤーを目指す。

 グランドスラムはビーチバレーボールの最高峰の大会。五輪、世界選手権クラスのトップレベルの選手たちが集う。その中で白鳥&長谷川ペアを含めた日本勢は、9位以上を狙う。「泥臭く勝てれば、綺麗には勝てない」「楽しいなんて言っていられない」。コメントにも力が入る白鳥。38歳のベテランが真夏の砂浜を一層熱くする。

【FIVBビーチバレーワールドツアーグランドスラム横浜大会】
・7月20日(月) 男女カントリークォータ 14時〜
・21日(火) 男女予選 8時〜
・22日(水) 男女プール戦 8時〜
・23日(木) 男女プール戦、男子Round of 24 8時〜
・24日(金) 女子プール戦、Round of 24、男子Round of 16 9時〜
・25日(土) 女子Round of 16、準々決勝、男子準々決勝 9時〜
・26日(日) 男女準決勝、3位決定戦、決勝 9時〜

※場所は全てみなとみらい21地区臨港パーク内特設会場

(文・写真/杉浦泰介)