10月27日(土)、J2第48節の愛媛FC対コンサドーレ札幌が、ホームの愛媛県総合運動公園陸上競技場にて行われた。今シーズン(10月26日時点)、札幌との対戦成績は1勝1敗1分と五分。どちらのチームがシーズン勝ち越しを決めるのか、注目の一戦である。
(写真:中盤では激しい攻防が繰り広げられた)
 札幌は激しいJ1昇格争いの中、首位を走っているチーム。一方の愛媛FCはリーグ戦10位と下位に甘んじている。それゆえ、愛媛に失うものは何もないという状況だ。力を存分に発揮し、首位のチームに全力で立ち向かってもらいたい。

 肌寒い風が吹き抜ける中、時刻が19:00をまわり、愛媛FCのボールで試合がスタートした。
 序盤、相手の前線からの素早く激しいチェックに手を焼き、愛媛は攻撃の起点をつくることができない。2トップを狙ったフィードボールを駆使するが、相手の守りを崩すまでには至らない。それでも、前半20分を過ぎる頃には、徐々に自分たちのリズムを取り戻し、中盤でボールを回せるようになってきた。

 31分、愛媛が札幌のファウルから素早いリスタートを行った。MF大山俊輔選手が、センターサークル付近からライン裏のスペースを狙ったフィードボールを供給。タイミングを見計らい、裏へ飛び出したFW内村圭宏選手がボールを受け、ペナルティエリアにドリブルで持ち込む。シュート体勢に入るが、失点の危機を予感したDFに足を削られる。このプレーは明らかにファウルに見えたが、ノーファウルとの判定。サポーターも納得できず、場内に大ブーイングが湧き起こる。本来ならPKのチャンスとも成りえる場面だっただけに、残念だ。激しい攻防が展開された前半は0−0で終了した。

 後半の立ち上がり、愛媛は相手のカウンター攻撃などで押し込まれる。セットプレーから何とか反撃を試みるが、得点を演出するまでにはいたらない。それでも、後半15分を過ぎたあたりから、サイドのスペースを突いた得意の攻撃が見え始めた。

 後半22分、相手陣内の左サイドにてボールを受けた星野選手が、ペナルティエリアにドリブルで持ち込み、ライン裏に抜け出す構えを見せていた内村選手へラストパス。DFと激しく競り合いつつ、ボールをゴールエリアまで運び、シュート体勢に入るが、またしても相手DFに足を削られ、惜しくも得点ならず。

(写真:愛媛がサイドからチャンスメイク) 後半38分、愛媛は相手陣内にて細かくパスをつなぎつつ、攻め上がる。中央でボールをキープしたMF宮原裕司選手が、左サイドでフリーとなっているMF青野大介選手へパス。ボールを受けた青野選手の左足から、ゴール前に向けて絶妙のアーリークロスが供給される。ペナルティエリア内に陣取る江後選手が、このボールを捉え、ジャンピングヘッドでゴールを狙うが、クロスバーのわずか上を越えて、惜しくも得点にはならなかった。

 後半44分、愛媛のコーナーキックによる攻撃から相手DFのクリアボールが、左サイドでフリーの青野選手に渡った。トラップをはさんで、狙い済まして左足を振りぬくとグラウンダーの鋭い弾丸ミドルが、ゴールマウスに襲いかかる。しかし、相手GKによる必死のセービングで、これもまた得点にはいたらなかった。

 試合は後半ロスタイムに突入し、「このまま引き分けか」とも思われたが、最後の最後に自陣へ侵入を許し、J1昇格への執念のような得点を札幌に決められてしまった。愛媛にとって、あまりに痛くて重い1点。この得点を跳ね返すことができず、タイムアップ。0−1で悔しい敗戦となった。

 それでも、首位と10位との対戦とは思えないような、スピーディーで攻守の切り替えが早い、見応え充分のゲームが試合終了まで展開され、最後まで観客を魅了したことは評価に値すると思う。

 首位をとことんまで追い詰めたのだ。決してうつむく必要はない。不可解な判定もあり、ツキがない部分もあったと思われるが、この悔しさをバネに今後の奮起に期待したいところだ。

松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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