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カラダよろこぶ酸素水Life(第2火曜更新) : 第6回 村上幸史(ベルリン世界陸上やり投げ銅メダリスト)「ロンドンで頂点を目指す!」
投稿日時: 2009-10-13 12:50:37

 今年8月、ベルリンで行なわれた世界陸上選手権。女子マラソンで尾崎好美が銀メダルを獲得し、日本全国が盛り上がった大会最終日にさらなるビッグサプライズが起こった。男子やり投げ決勝で村上幸史が2投目に82.97mのビッグスローを披露。強豪選手の記録が伸び悩む中、村上の記録は3番手にランクした。過去にオリンピック、世界選手権と4大会に出場しながら全て予選落ちという結果に終わっていた村上が、いきなり大舞台でメダル獲得となるか。にわかに日本中がテレビにクギ付けとなった。


 最終試技となる6投目、バディムス・バシレキスフ(ラトビア)の記録が82メートル37と表示された瞬間、陸上投てき種目では室伏広治(ハンマー投げ)以来、史上2人目の日本人メダリストが誕生した。「自分でも大会前にこんなことが起こるとは、1%も思ってもいなかった」と語った村上。日本陸上史に残る快挙を成し遂げた彼に当サイト編集長・二宮清純が直撃。今回は世界陸上でのメダル獲得を記念し、特別に村上選手との対談をお送りする。

 手応えを感じた決勝での2投目

二宮: 銅メダル獲得、本当におめでとうございます。
村上: ありがとうございます。

二宮: 決勝での投てきは本当にすごかったですね。低い弾道で「ドォーン」といきました。
村上: 今回はそちらのほうがよかったみたいですね。

二宮: 予選で83メートル10、決勝で82メートル97ですね。やり投げでは投げた瞬間に「これは行った!!」と思うものですか?
村上: はい、うまくいった時には手応えがあります。実をいうと、予選の時はあまり手応えがよくなかったんです。そこまで伸びていかないな、と。決勝の時のほうが行ったという感覚はあったんです。

二宮: しかし、予選での83メートルは自己ベストです。だいたいの距離というのは、投げた瞬間にわかる?
村上: うーん、予選の時は「80メートルは確実に超えた」とは感じたんですけどね。予選突破はできたなと。

二宮: 決勝でもあと3センチで83メートルですよね。しかも、いきなりの銅メダルです。日本人のやり投げ選手といえば、私たちは溝口和洋さん(1987年世界陸上ローマ大会6位、87メートル60の日本記録保持者)を見てきましたが、彼の姿を見ていても「日本人にはメダルは遠いな」と感じていました。
村上: ただ、僕の中ではやり投げは日本人でも世界に通用するという考え方あるんです。そう考えないと、どこかで諦めが出てきて自分たちのラインを引いてしまう可能性がありますからね。やるからには世界の頂点を目指してやっていきたいという想いがあります。

二宮: これでロンドンの頂点が見えてきたんじゃないですか?
村上: 見えてきたというか、そこを目指していかなければしょうがないですからね。2年後の世界陸上(韓国・テグ)にしても、今の僕に求められるのはメダルだと思うんです。その期待をしっかりと受け止めて、やっていかなければいけないですよね。今回メダルを取ったわけですから。

 これまで世界大会で4大会連続で予選落ちという悔しい想いを味わった村上が、ベルリンで銅メダルを獲得した理由は何なのか? それはスタジアムの構造と村上の投法にあった。

二宮: 世界陸上では、やはり風の影響はあったんですか?
村上: そうですね。ベルリンのオリンピアシュタディオンは僕も初めて行った競技場だったんですが、あそこは特殊な構造をしている場所なんです。簡単に言うと、スタジアムが「掘ってある」んです。本来なら、お客さんがスタンドに行くには階段を上がらなくては行けませんよね。しかし、今回の会場ではスタジアムの外から普通に入っていくとそこが観客席です。つまりフィールドが地面よりも下がっているんです。

二宮: そうすると、風はどのように吹くんですか?
村上: フィールドにいると風は感じないんですが、少しでもスタンドの上に行くと強い風が吹いていたり、ある時は逆に止まってしまったりと、吹き方が安定していなかったんです。風が舞っていたので、僕のようなライナー性のやりでは影響を受けにくいですよね。

二宮: やり投げは風を読むのも仕事なんですね。ただ投げればいいというものではない。先ほど初めての競技場とおっしゃいましたが、そこで風を読むのは難しいのではないですか?
村上: 難しいこともありますが、僕の本来のやりの軌道がライナー性に近いやりなので、あの日のコンディションに向いていたということもあると思います。ただ、僕はどこの会場でも風をあまり気にしないタイプです。これはある意味、大きな武器になりますね。

 元・球児の快挙!!

二宮: 村上さんは私と同じ四国は愛媛県のご出身です。子供の頃は野球をやられていたそうですね。
村上: はい。小学4年からやっていました。

二宮: 球は相当速かったんでしょう?
村上: 肩が強いだけでしたね(苦笑)。

二宮: でも、肩が強いというのは基本ですからね。
村上: 地肩だけはありましたね。

二宮: それで途中からやり投げに転向された。それは中学校くらいから?
村上: そうですね。中学時代の恩師にやり投げを勧められました。最初は何を根拠に言っているんだろうと思いましたが、その先生は高校時代にインターハイチャンピオンだったんです。それで僕の素質を見抜いてくれたんですね。

二宮: やり投げでは世界3位になられたわけで、もちろん成功しているんですが、野球でも今頃何億円も稼いでいたんじゃないですか?
村上: と、周りはよく言ってくださるんですけどね(笑)。

二宮: いやいや、MLBに行って野茂英雄のようになっていたかもしれない。
村上: それはないですよ(笑)。

二宮: 村上さんの低い弾道というのは、野球の経験も生きているんですかね? 村上さんのやりはスーッと低く行くイメージがあります。今でも硬球を投げると140kmくらい出るそうですね。
村上: 142kmですね。横浜ベイスターズのスピードガンコンテストに出しました。

二宮: 普通に投げて142kmなら、トレーニングすればすぐ150kmは投げられますね。
村上: あの時は後ろにカメラマンの方がいらっしゃったので、実は思い切り投げていないんです。思いっきり投げたら150kmも行っていたかもしれませんけど、世界陸上の前ということもあり、少し力を抜いて投げました。

二宮: 野球とやり投げでは投げ方が違いますよね。
村上: はい。野球の場合はまずヒジが前に出ますよね。やり投げの場合はこう、胸から出して腕は後ろにあるんです。やりを離す高さも距離に影響が出ますから、前で投げてしまうとどうしても高さが出ないんですね。ですからできるだけ、一番高い位置でやりを離すんです。野球は上から下ですが、僕らの場合は下から上に投げます。

二宮: やりを投げるときには、角度は関係あるんですか?
村上: 理想的な角度は31度や32度といわれていたんですが、今では40度近くまで上げて投げる人が多いですね。今はフィンランドのテロ・ピトカマキ選手が39.6度という投げ方でトップにいます。僕は31度くらいです。

二宮: それは科学的な根拠のある数字なんですか?
村上: 科学的な根拠では31度と言われていたんです。もちろん物理学上では45度が一番いいですよね。ただ僕らは人間なので、45度では絶対に投げられませんから。まだまだ研究の余地があるのかもしれません。

二宮: 村上さんと海外の選手との角度の違いは肉体的なものですか?
村上: いや、世界陸上に行っても、彼らと僕の体格は横幅も身長もあまり変わらなかったですね。やはり技術的な面で違いがあるんでしょう。今はその部分を探っているところです。

二宮: 室伏さんはよく、回転するイメージを練習されていますが、村上さんも頭の中でイメージトレーニングはされますか?
村上: これから先は、広治さんがやられているような領域にはいっていかなければと感じています。頂点に届くためにはどれだけ自分を研究できるかだと思うんです。自分が映っている映像と自分自身が感じる映像。この二つをどれだけあわせていくか、これがピタリと理想的に合った時に、さらにステップアップできると感じています。

「日本人でも勝負はできる」。世界の強豪との戦いを通じて手応えを感じている村上は、力強く語った。身長185センチ体重98キロの屈強な体は、世界の大男を相手にしても全くヒケを取らない。村上には体づくりをする上で「あるこだわり」がある。

二宮: 小さい頃から体は大きかったんでしょう?
村上: 実は、小さい頃はガリガリだったんですよ。高校に入学した時点でも、身長178センチで体重が65キロくらいでした。それをどんどんと増やしていって大学を卒業するくらいでやっと89キロ、今では98キロです。今が一番いいくらいですね。僕は他の選手がよく口にしているプロテインを一切飲まないんです。自分の中のこだわりで、ナチュラルな体を作りたいと思っているんです。自然なものを食べながら体に入れていくことで、競技寿命もコツコツと延ばしていけると考えています。記録も一気に伸びることはなくても着実に少しずつ上がっていけばいいという感じです。将来は指導者になりたいという気持ちもありますから、自分が経験したことで色々と教えてあげられればと思っています。あともう一つこだわっているのは、お水ですね。

 アスリートにとって「酸素」と「水」は必要不可欠である。しかし、現代社会はさまざまな要因で「酸素」が不足がちだ。そんな中、「酸素」と「水」をコラボレーションさせた株式会社ラクデスの「高濃度酸素水」が今、注目を集めている。業界最高レベルの酸素含有量80〜120ppmを実現した “スーパー酸素水”を村上に試してもらった。

二宮: このお水はいかがでした?
村上: 今日も朝にトレーニングをした後に飲んでいたんですが、非常に飲みやすかったです。カラダにすーっと入り込んでいく感覚があります。水は唯一といっていいほど、生活の中で気を配っているところなんです。東京の水道水は絶対に飲まないですね。妻も料理をする時にも水をろ過してから使うようにしています。ポットに水を入れる時も、ミネラルウォーターを買ってきて入れ替えるくらい。それくらい、水はこだわっていますね。

二宮: ポットもですか?
村上: 沸騰させたら大丈夫とか言いますが、ダメですね。

二宮: 外国でも必ず水を持っていく?
村上: はい。海外にも必ず持って行きます。飲むための水でないと嫌ですね。

「ナチュラルな体を作るためには自然のものを取り込まなくてはいけない」。村上の考え方はまさに「有酸素生活」のコンセプトとも一致する。水という人間が必ず欲するものに、自然界にある酸素を多く加えることで、人間はより自然な生活を営むことができる。また、陸上選手にとって体調管理は非常に重要だ。仮に体調を崩してしまっても、彼らは風邪薬を飲むことはできない。体の抵抗力を高めるためにも「有酸素生活」は力を発揮する。疲れた現代人にとって、回復力を高めることは一番の体調管理となる。水道水の30倍の濃度を持つ「有酸素生活」は、まさに現代人に与えられた活力の源なのだ。

 疲労回復効果を望める「高濃度酸素水」はアスリートの強い味方にもなる。やり投げのような投てき種目でも、実は持久力が問われているのだ。1回の試技で全力を振り絞った後、インターバルでできるだけ体力を回復しなければならない。「高濃度酸素水」には筋肉内で発生する乳酸を減少される効果があり、試技を重ねるごとに溜まっていく疲れを和らげることができるのだ。回復力増強に力を発揮する「高濃度酸素水」はアスリートたちのベストパフォーマンスを陰で支える存在となっている。

 普段口にする水にこだわりを持つ村上がもう一つ、こだわるものがある。それはシューズだ。国内メーカーの技術の粋を結集させた特注品は、左足用がやり投げ選手のシューズなのに対し、右足は三段跳び用のシューズとなっている。これはやり投げの一連の体重移動を意識したことによって、生み出されたアイディアだ。さらに左用の靴は内側に傾斜が作られている。左足で踏ん張る力を外側に逃げないようにするための工夫が施されている。

 やり投げというと豪快な種目というイメージがあるが、実は非常に繊細な部分に注意しながら行なわれているのだ。スパイクのポイント位置一つとっても、少しでもズレが生じればやりの距離に影響する。体づくりと足元の研究こそ、村上の競技に対するこだわりの成果なのかもしれない。

 目指すは五輪頂点と日本記録

二宮: 記録はご自身の中で、どこまで伸ばしたいと考えていますか?
村上: 今の僕が立てている目標は日本記録の87メートル60です。これが僕にとって人生最大の目標です。この記録は世界のどんな大会でもメダルの取れる記録ですからね。

二宮: 投てき種目でも砲丸やハンマーは重いものですよね。片や、やりは軽く、風やコンディションに影響されるものです。結果を残すことはもちろん力があってこそだとは思いますが、最後には運も味方につける必要がありますよね。これはスキーのジャンプ競技に似ているところがある。
村上: やりもその点では一緒ですね。風に乗ってそのままメダルを取った選手もいますし。投てきの種目では、群を抜いて予測のしにくい競技でしょう。砲丸、ハンマーは7キロもありますから風の影響はほとんど受けませんし、円盤も少しは影響しますが、やりは高校生とかだと風の状況で5、6メートルは平気で変わってきますから。

二宮: そうなると、運を味方につけるためのゲンかつぎなどやっていますか?
村上: いいことを10個すれば、1つくらい返ってくるんじゃないかという風に考えています(笑)。悪いことをしていたら、悪いことしか返ってこないだろう、と。ゴミ箱の横にゴミが落ちていたら、それを拾って捨てるとか(笑)。そういうことです。

二宮: 一日一善運動みたいですね(笑)。
村上: やはり運がないと勝てない競技ですからね。

二宮: それでは運も味方につけて、3年後のロンドンでは金メダルを期待しています。
村上: はい、みなさんの期待に応えられるようにがんばっていきます。

<村上幸史(むらかみ・ゆきふみ)プロフィール>

1979年12月23日、愛媛県出身。陸上やり投げ。スズキ所属。中学時代は軟式野球部に所属。高校野球の強豪から勧誘をうけるも、今治明徳高等学校に進学し、やり投げの道へ。めきめきと頭角を現し、97年、インターハイで優勝。2000年日本選手権で優勝以降、同大会では10連覇中。五輪、世界選手権では04年アテネ大会から4大会連続予選落ちも、5度目の挑戦となった09年ベルリン世界選手権予選で自己ベスト83メートル10を記録し決勝進出。決勝でも87メートル97で3位となり銅メダルを獲得した。185センチ、98キロ。

(構成:大山 暁生)

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