今シーズン前半の日本球界の話題を独り占めしたのは前田健太(広島カープ)だった。彼の持ち球をご存知だろうか。ストレート、カーブ、スライダー、ツーシーム、チェンジアップ、カットボール……。もう少し簡略に言えば、要するにカーブ、スライダー、チェンジアップである。
何かが抜けているでしょ? そう。フォークがない。投げようと思えば投げられるのかもしれないが、一軍の試合の重要な場面で、彼がフォークを使うことはない。
時代の流れというものを感じる。おそらくは、この背景にはメジャーリーグの趨勢があるだろうからだ。
もうだいぶ以前のことのような気がするが、サッカーW杯南アフリカ大会が閉幕して間もない頃、釜本邦茂さん(日本サッカー協会名誉副会長)のこんなインタビュー記事が出ていた。
<岡田監督は、オシムさんから続く「人とボールが動くサッカー」という理想を捨て、守備をかためて数少ないチャンスで得点して勝つサッカーに切り替えた。これは大英断だった。W杯という大会は、勝たなければ意味がない。試合から1週間もたてば、みんな内容なんて忘れている。>(「朝日新聞」7月2日付「W杯を語ろう」)
海の向こうに怪物が出現した。それも超弩級の怪物が……。
昨年、メジャーリーグのドラフト全体の1位でワシントン・ナショナルズに入団したスティーブン・ストラスバーグである。
彼の売りは、なんといっても100マイル(約160キロ)を超す速球である。とはいえ、速いだけでコントロールのかけらもない剛球投手は数多い。どうせそういうタイプなのだろうと高をくくっていたら大違いでした。
たとえばアストロズの松井稼頭央は解雇されて、現在ロッキーズ傘下のマイナーでプレーしている。今季パイレーツに移籍した岩村明憲は、松井同様に不振が続いている。別に、松井稼や岩村にメジャーリーグで活躍する能力がないと言っているのではない。松井稼ならロッキーズ時代、岩村ならレイズ時代に、輝いているシーズンもあった。このような状況を、彼らはメジャーに「消費されている」と表現してきた。
今季、開幕からスタートダッシュを決めたのは、セ・リーグは、やっぱり読売巨人軍、そして、パ・リーグは意外にも千葉ロッテだった。セ・パともまだまだ首位戦線は混沌としているが、この2チームが今季の主役であることは、おそらく、間違いあるまい。
ま、巨人の場合は当然だろ……と思うでしょ。実は当然というより、ある起爆剤があったと見ているのだが、その話はまた後で。






