私はその時の気持ちを、おおよそ以下のような内容で本誌にも書いている。
――ミスターは普通のノッカーがそうするように右手でボールをトスしない。左手でトスし、素早くその手でグリップエンドを握るのだが、この時のトップの位置が恐ろしいほどピタリと決まるのだ。
さらにスイングした瞬間、右肩から左腰にかけてユニホームに流線型のシワが寄る。このシワこそは動的な美しさのシンボルであり、まさにバットを振り抜いたその直後、私たちの目は背中の「3」に釘付けになる。
長嶋茂雄と松井秀喜。5月5日、日本プロ野球界に偉大な足跡を残した師弟が揃って、国民栄誉賞を受賞する。長嶋は、超高校級スラッガーと騒がれた松井の指名権をドラフト会議の抽選で引き当て、プロ入り後は、付きっきりの指導で球界を代表する4番打者に育て上げた。その中で生まれた師弟愛は、昨年末の松井の引退会見でのコメントからも明らかだ。松井は、一番の思い出に「長嶋監督と一緒に素振りした時間」をあげている。ミスタージャイアンツの存在は、松井にとっても特別なものだった。戦後最大のヒーロー・巨人の背番号3の実像を、12年前の原稿で映し出そう。
昨季、大分トリニータはJ26位からの“下剋上”でプレーオフを勝ち抜き、J1復帰を果たした。この立役者は、指揮官の田坂和昭である。現役時代は守備的MFとして、ベルマーレ平塚などで活躍し、日本代表にも選出された。現役引退後はセレッソ大阪、清水エスパルスのコーチなどを経て、11年から大分の監督へ。だが就任当時の大分は、まさにどん底の状態にあった。前年にはJ2に降格。財政難などにより主力選手はチームを離れていった。そんな逆境下でも、田坂はコンバートなどでやり繰りを重ね、見事、クラブを立て直した。
大分を率いる闘将の熱き魂を、新人王を獲得したばかりの94年当時の原稿で振り返る。
22日に春のセンバツ高校野球大会が開幕する。出場36校の注目校のひとつは9年ぶりの2度目の出場の愛媛・済美高校だ。指揮を執るのは名将・上甲正典。監督として、宇和島東と済美を春夏合わせて15度の甲子園出場に導いた。センバツでは88、04年と両校で1度ずつ頂点に立っている。今大会は、MAX152キロの直球を誇る1年生エースの安楽智大を擁し、上位進出に期待がかかる。初戦は広島・広陵との対戦(26日)が決まった。
試合中のベンチでは笑顔を絶やさない“上甲マジック”の秘密を、済美で初出場初優勝を成し遂げた04年の原稿で振り返る。
WBCが2日、開幕した。3連覇を目指す日本は、1次ラウンド初戦でブラジルを下し白星スタートした。今大会、日本の最大のライバルになりそうなのがベースボール大国アメリカだ。今回にかける意気込みは、ジョー・トーリを監督に据えたことでも窺い知れる。トーリは、1996年から名門ヤンキースを率いて4度のワールドシリーズ制覇を果たした名将。歴代5位となる通算2326勝をあげた名指揮官が、ジョー・マウアー(ツインズ)、マーク・テシェイラ(ヤンキース)、R.A.ディッキー(ブルージェイズ)らスター軍団をまとめ上げる。
そんなトーリの人心掌握術を、11年前の原稿でチェックしよう。








