前期の全日程が終了し、愛媛マンダリンパイレーツは19勝10敗2分けで、徳島インディゴソックスにわずか0.5ゲーム差で優勝に輝くことができました。終盤から徳島にだいぶ追い上げられましたが、マジック2で迎えた5月28日に愛媛が勝ち、徳島が負けたことで最後はなんとか優勝できたような感じです。
打つ方では4番ミッチ・デニングが打率3割8分9厘、3本塁打、23打点とチームを引っ張ってくれました。あとは、ルーキーの活躍が目立ちましたね。ピッチャーでは佐藤宏樹が12試合に登板し、野手では林敬宏と古川敬也がいいところで打ってくれました。彼らが想像以上に活躍してくれたことも勝因の1つです。
投手陣は、誤算もありました。開幕投手を務めた東風平光一が開幕戦後に肩を痛めてチームから離脱。シーズン序盤からずっと先発が1枚足りない状態だったので、正直きつかったですが、東風平の代わりを5年目の伴和馬が担ってくれました。
伴は3勝2敗と多くの勝ち星は挙げられませんでしたが、先発で投げた試合は崩れることなくきちんとゲームメイクをしてくれた。先発だけでなく、時には中継ぎでも起用しました。11試合に登板し、49イニングを投げるなど、彼はきつい役回りをよく頑張ってくれた。東風平が抜けた穴を伴が埋めてくれたので、チームはだいぶ助かりましたよ。
伴の他に、正田樹、佐藤、四戸洋明が3勝を挙げました。このデータから分かるように、ピッチャーは1人のエースに頼るのではなく、全員がまんべんなく頑張ってくれました。佐藤は1年目ということもあり、開幕当初は慣らすために中継ぎで投げさせていました。しかし、いい球を投げるので先発で使わないともったいないと思いました。
佐藤は身長181センチと長身でピッチャーらしい体形をしています。コントロールもそんなに悪くないですし、フォアボールで崩れるようなタイプではありません。やはりフォアボールから失点につながるパターンが多いので、佐藤のピッチングは見ていて楽ですよ。彼はもう少しスピードが出るようになれば面白い存在になります。後期は140キロ後半ぐらいを目指して欲しいです。
1番・吉田に注目!
打線は「1番吉田圭志、2番四ツ谷良輔、3番ラファエル・ポロ、4番デニング」の並びがうまくハマっていたので、開幕から最終戦までほとんど変えませんでした。5番と6番は少しいじりましたが、後期も前期の打順を基本に組んでいく予定です。野手は戦力がそこそこ揃ってきていて得点力がありますが、前期は外野守備でのエラーが目立ちました。後期に向けて守備力を重点的に鍛えていきたいと思います。
後期の注目株は1番の吉田です。彼は前期、打率2割8分1厘を記録しました。昨季のシーズン終了時の1割台に比べると、だいぶバッティングがよくなってきています。彼は守備もいいし、スチールもできる。これからが楽しみです。どちらかというと早打ちするタイプですが、フォアボールも選べるので、トップバッターに適任だと思います。
後期優勝、完全優勝、独立リーグ2年連続日本一を目指していく上でカギとなるのは、故障者の復帰です。東風平はようやくキャッチボールをできるまでに回復しましたが、後期に間に合うかどうか難しい状態。彼がローテーションに加われば先発陣は盤石になるので、早く戻ってきて欲しいですね。そのほかの怪我人も帰ってきてくれたら、ウチは結構いけるんかなと思います。
これからもチームは「守りの野球」を徹底していきます。前期と同じように投手が良い流れを作って、攻撃でリズムに乗る。1点の重みを感じながら勝てるゲームをしていきます。引き続き、後期も応援よろしくお願いします!
<弓岡敬二郎(ゆみおか・けいじろう)プロフィール>:愛媛マンダリンパイレーツ監督
1958年6月28日、兵庫県出身。東洋大姫路高、新日鐵広畑を経て、81年にドラフト3位で阪急(現オリックス)に入団。1年目からショートのレギュラーとなり、全試合出場を果たすと、84年には初の打率3割を記録してリーグ優勝に貢献。ベストナインとダイヤモンドグラブ賞を獲得する。87年にもゴールデングラブ賞に輝き、91年限りで引退。その後もオリックス一筋で内野守備走塁コーチ、2軍監督、2軍チーフコーチ、スカウトなどを歴任。13年をもって33年間在籍したチームを退団し、愛媛の監督に就任した。現役時代の通算成績は1152試合、807安打、打率.257、37本塁打、273打点、132盗塁、240犠打。
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