谷亮子(民主党)、堀内恒夫(自民党)、中畑清(たちあがれ日本)、江本孟紀(国民新党)……。今夏の参院選に向け、オリンピックメダリストや元プロ野球選手が続々と名乗りをあげている。彼らは異口同音にスポーツ省、スポーツ庁の創設を、と語るが、実際はそう簡単ではない。そこで今回は、日本のスポーツ政策に力を及ぼしてきた日本体育協会会長の森喜朗元首相に二宮清純がロングインタビュー。その一部を紹介したい。
(写真:「国民誰にもスポーツする権利がある」と主張する森元首相)
二宮: 日本では、「障害者スポーツ」というと、リハビリの一環というような考えが根深く残っています。そもそもスポーツは健常者だけのものではありません。ところが、どうも日本人は障害者スポーツをスポーツとは見ず、また選手をアスリートとして見ていない傾向があります。それは日本代表としてパラリンピックに出場する選手に対しても同じ。例えば、ナショナルトレーニングセンター(NTC)は、オリンピック強化選手は使えても、パラリンピック強化選手はなかなか使用許可がおりません。

: そのことは私も大事な問題だと思っています。まずNTCは何のためにつくられたものなのか、ということをもう一度考えてみるべきです。選手が技術力を磨くために、充実した練習が存分にできるようにということで、国が国民の税金を使ってつくったわけです。ということは、そもそもNTCは国民のものなんですよ。
 ところが、NTCの管理・運営を日本オリンピック委員会(JOC)が行っているために、オリンピック強化選手のためだけにつくられた、と考えられてしまっている。もちろん、基本的にはオリンピック強化選手のために、という考えは間違いではありません。しかし、と同時に同じ日本代表として戦っているパラリンピックの選手だって使っていいはずです。もっと言えば、24時間、365日、埋まっているわけではないでしょうから、空いている時には一般の人たちも使用できるようにするのは当然だと思いますよ。

二宮: 森さんのお考えではNTCは一部のオリンピック候補選手のものだけじゃないと。国民みんなの財産だと。

: そうです。予算をくんだ当初からそういう考えでしたよ。

二宮: ところが、パラリンピックの代表選手を取材すると、「使いたくても使わせてもらえない」というのが実態のようです。

: 私もその話を聞いて「パラリンピックの選手には使わせてもらえない、という苦情が出ていると聞いたんだけど、どういうことだ?」とJOCに質したんですよ。そしたら「いや、改善しました」と。「改善した」と言っても、使えるようにしたのか、そうでないのか......。「そういう問題はきちんとしておかないと社会問題になるよ」と注意したんだけどね。


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