ボクシングのダブル世界タイトルマッチが行われ、神戸・ワールド記念ホールで防衛戦に臨んだWBC世界バンダム級王者の長谷川穂積(真正)は同級4位のネストール・ロチャ(米国)に1R2分28秒、TKO勝ちを収め、日本のジムに所属するチャンピオンとしては歴代2位タイとなる9度目の連続防衛に成功した。WBAミニマム級王者のローマン・ゴンサレス(ニカラグア)に挑んだ高山勝成(真正)は0−3の判定で敗れ、王座返り咲きはならなかった。また東京・後楽園ホールで行われたWBCフェザー級タイトルマッチでは、チャンピオンの粟生隆寛(帝拳)は挑戦者のエリオ・ロハス(ドミニカ共和国)に0−3の判定で敗れ、王座から陥落した。粟生は3月にオスカー・ラリオス(メキシコ)を下して初タイトルを獲得したが、防衛に失敗した。
本当に試合をやったのかと思うほど、チャンピオン・長谷川の顔には傷ひとつなかった。1R2分37秒で下した3月のブシ・マリンガ(南アフリカ)戦よりも9秒早いKO劇。国内ではフライ級の勇利アルバチャコフに並び、13度の連続防衛を果たしたライトフライ級の具志堅用高に次ぐ記録を打ち立てた。
試合開始のゴングが鳴るなり、長谷川はどんどん前に出た。プレッシャーをかけ、ロチャをロープに追い込む。そしてスタートから1分30秒、王者の左が挑戦者の顔面をとらえる。足元がぐらついた相手に対し、チャンピオンはガードを破って再び左のストレート。さらに右フックで追い討ちをかけ、あっさりと米国のボクサーをマットに沈めた。
なんとか立ち上がったロチャだが、もう勝敗の行方は明らかだった。過去8度の防衛戦で5度のKO勝利をおさめている日本のエースはすかさず連打で相手を倒し、レフェリーが試合を止めた。長谷川はこれで4試合連続のKO防衛となり、これは具志堅の6連続に迫る30年ぶりの記録。戦うたびに圧倒的な強さを示す王者は、次戦で大台となる10回目の防衛を目指すことになる。
○長谷川、喜びの声
地元・神戸で2回連続防衛できて良かった。1Rで倒せると思っていなかったのでビックリ。(4連続KO防衛は)たまたまの結果。今回は勝ちにこだわっていた。KOはおまけでついてきただけだ。ここまできたら2ケタ防衛を目指したいし、減量がキツくなってきたので、チャンスがあれば上の階級にも挑戦したい。とにかく、これからもボクシングを続けていきたい。
【粟生、最強挑戦者に完敗】
粟生はアマチュアで205勝3敗の実績を持つランク1位の挑戦者に自分のボクシングをさせてもらえなかった。序盤は互いに様子を見ながらの立ち上がり。どんどん右を伸ばしてくるロハスに対し、チャンピオンはカウンター狙いで応戦する。だが、ドミニカからやってきた最強ボクサーは徐々に左も使い、手数で粟生を圧倒し始めた。
ポイントでリードする相手に王者が反撃に転じたのは中盤7R。右フックがこめかみにクリーンヒットし、ロハスの勢いが止まる。続く8Rにかけて粟生は攻勢をしかけるが、挑戦者もひるまず打ち合い、有効打を与えることができない。
結局、最後までチャンピオンは攻め手を欠き、アマ時代も含めて1度もダウンを喫したことがないと豪語する難敵をキャンバスに沈められなかった。ジャッジでは8ポイント差をつけたものもあり、粟生にとっては完敗とも言える一戦だった。
【高山、持ち味出すも敗退】
高山は3度目の戴冠はならなかった。王者ローマンはデビューから16連続KO勝ちするなど、高いKO率を誇る相手。それでも2度の世界王座を経験した26歳は得意のフットワークで果敢に打ち合う。
6Rにはゴングが鳴るやいなや、相手の懐に全速力で飛び込み、会場を沸かせた。しかし、この回、チャンピオンの右ストレートを受け、左目の上をカット。視界をさえぎられて徐々に動きが鈍り、王者のパンチをまともに受ける場面が多くなった。ダウンこそなかったものの、大差をつけられての判定負け。再びベルトを巻く夢はかなわなかった。