今年の独立リーグ日本一を決定する「日本独立リーグ・グランドチャンピオンシップ2009」が24日、開幕する。対戦するのは四国・九州アイランドリーグを4年ぶりに制した高知ファイティングドッグスと、BCリーグを参入2年目で初制覇した群馬ダイヤモンドペガサス。過去2回のグランドチャンピオンシップではアイランドリーグ王者の香川オリーブガイナーズがBCリーグの優勝チームをいずれも下し、日本一に輝いた。3回目を迎えた“もう1つの日本シリーズ”に臨む両チームの戦力を分析する。
高知ファイティングドッグス
★今季成績
前期 17勝21敗2分 勝率.447(5位)
後期 22勝12敗6分 勝率.647(1位)
リーグチャンピオンシップ 3勝0敗(対長崎)

 最多勝左腕・吉川、本塁打王のカラバイヨがキーマン

 今季は強い闘犬がよみがえった1年だった。アイランドリーグの初代王者ながら、前期は故障者続出で球団ワーストの5位に沈む。しかし、シーズン中にNPB復帰を目指す伊代野貴照や伊良部秀輝(いずれも元阪神)を獲得。伊良部は故障で退団を余儀なくされたが、伊代野はチームのクローザーに定着し、9セーブをマークした。その中で、開幕前までは練習生契約だった左腕の吉川岳(登美丘高−桃山学院大)が成長。14勝をあげて最多勝と最多奪三振のタイトルを獲得した。

「第1戦は吉川で行きます。(宮崎の)フェニックス・リーグに参戦していましたが、(第1戦の)24日に合わせて調整するよう伝えていました」
 定岡智秋監督もエースとして信頼を寄せている。身長172センチと決して大きくはなく、ストレートの球速も140キロ前後だが、コントロールがよく大崩れしない。キレのあるスライダーも武器で、主力に右打者が多い群馬打線はインコースにくいこむボールに苦労しそうだ。
(写真:他球団の首脳陣からも「打者をみて駆け引きができる」と評価が高い吉川)

 長崎とのリーグチャンピオンシップでは第1戦、第3戦と2試合連続で完投勝利。優勝に大きく貢献した。このシリーズでも同様に第1戦、第3戦と先発することが濃厚で、吉川の出来が戦いの行方を大きく左右する。第2戦は伊代野か山隈茂喜(九州学院高−函館大−熊本ゴールデンラークス)か。高知にとって大きいのは、昨季15勝をあげた野原慎二郎(桜宮高−摂南大)の復帰だ。ひじを痛めて後期の途中から戦線を離れていたが、17日の四国銀行との練習試合でマウンドに戻ってきた。「まだ制球は定まらなかったが、その後の練習ではいい感じになってきた」と定岡監督はリリーフでの起用を示唆する。

 攻撃ではリーグ盗塁王(41個)のトップバッターYAMASHIN(関西創価高−創価大−佐川急便(軟式))、18本塁打、76打点で打撃2冠に輝いた4番のカラバイヨが軸になる。YAMASHINが塁に出てかき回し、打者への集中がそがれたところを、ベネズエラの主砲が長打で仕留める。カラバイヨは宮崎でのフェニックス・リーグでもNPB相手に1試合2発を放つなど、その破壊力はリーグでもズバ抜けている。3番の古卿大知(柳ヶ浦高−中山硬式野球クラブ)がリーグチャンピオンシップで2本塁打を記録し、3戦連続で打点をあげており、脇を固める打者も好調だ。

 地味だが守りも固い。強肩のセンター梶田宙(享栄高−愛知大)を中心に、外野からの素早い返球で走者をタッチアウトにするケースがよく見られる。新人のショート・西本泰承(日南学園高−奈良産業大)は全試合に出場し、センターラインは盤石だ。「守備は(アイランドリーグの)6球団で1番穴がなかった」と指揮官も自信をみせる。

 走攻守いずれもスキがない中で、チームが実戦から遠ざかっているのが不安材料だ。10月3日にリーグ優勝を決めて以降、他球団や地元の社会人チームに練習試合を申し込んだが、実施できたのはわずかに1回。「練習だけだと試合勘がどうしても鈍る。チーム状態は決して良くはない」。定岡監督も、この話題になると表情を曇らせる。

 加えて対戦する群馬の情報があまり得られていない。「ほとんど、ぶっつけ本番です。行ってみないとわからない」。事前に傾向と対策ができないだけに、選手個々の能力が一層、問われる試合になると指揮官はみている。「こっちの野球をするだけです。それは向こうも同じでしょう」。言葉の裏にのぞかせた自信が、アイランドリーグ勢3連覇にチームを導くはずだ。


群馬ダイヤモンドペガサス
★今季成績(上信越地区)
前期 20勝14敗2分 勝率.588(1位)
後期 22勝13敗1分 勝率.629(1位)
上信越チャンピオンシップ 1勝0敗(対新潟)
リーグチャンピオンシップ 3勝1敗(対石川)

 総合力でリーグ悲願の日本一を目指す!

 前後期ともに優勝を果たした群馬ダイヤモンドペガサスは地区チャンピオンシップでも昨季に続いて新潟アルビレックスBCを退け、地区連覇を達成。続いて行なわれた北陸地区覇者の石川ミリオンスターズを破って念願のリーグ優勝を果たした。

 群馬は投打のバランスがとれたチームだ。特に投手陣の安定感は抜群。最優秀防御率のタイトルを獲得した堤雅貴(高崎商高)を筆頭に防御率1点台が3人おり、チーム防御率は2.30とリーグトップを誇る。さらに与四球143はリーグ最少だ。先発投手さえも中継ぎ、抑えとフル回転の働きで、接戦では小刻みな継投策が可能な層の厚さも強みだ。

 投手陣の大黒柱は高卒ルーキーながらNPBスカウト陣からの評価も高い堤だ。夏以降、勝ち星を量産し、群馬のリーグ初制覇に大きく貢献。若干19歳にして今や堂々のエースだ。堤の最大の武器は最速150キロ超のスピードを誇るストレート。変化球のキレもよく、コントロールも十分にある。

 先発は堤のほか、高卒2年目、コントロール抜群の大木拓朗(利根商高)、前期途中から先発ローテーションを守り続けたキム・ジョンファンの三本柱が中心。そのほか、ともに防御率1点台を誇る清水貴之(世田谷学園高−日本大学−全足利クラブ)、越川昌和(多古高−上武大学−サウザンリーグ市原)など豊富なリリーフ陣がそろっているのも群馬の強みだ。その投手陣を支える女房役にはともにNPBスカウト陣から注目されている廣神聖哉(前橋育英高)と川村修司(帝京高−REVENGE99)がいる。両者ともに守備はもちろん、バッティングセンスもあり、開幕からレベルの高いレギュラー争いを展開してきた。廣神は打率(3割1分8厘)と打点(37)で、川上は本塁打(6本)でリーグトップ10に入っている。
 
 打線も強力だ。チーム打率2割6分9厘はリーグトップ。中軸にはパワーと勝負強さを兼ね備えた強打者がズラリと並ぶ。本塁打こそ44本の新潟にトップの座を明け渡したものの、リーグ最多の打点285は勝負強さを物語っている。だが、群馬の強さはこれだけではない。最大の武器ともいうべきは、実は他球団を圧倒した“足”にある。今季のチーム盗塁数はリーグ史上最多となる101。リーグ2位の福井ミラクルエレファンツが64であることからも、どれだけの数字かは一目瞭然だ。最後まで諦めない粘り強さもあり、相手投手は一瞬たりとも気が抜けない。

 その打線の柱はプロ3年目を迎える主砲の井野口祐介(桐生商高−平成国際大−富山サンダーバーズ)だ。パンチ力なら今季阪神に入団し、一軍デビューを果たした野原祐也(富山サンダーバーズ)にも遜色ない。その井野口がケガで欠場していた時期に4番に抜擢された小西翔(高田高−慶応大−新潟アルビレックスBC)にも注目したい。シーズン途中は自身もケガで戦線離脱を余儀なくされたが、リーグ優勝を決めたチャンピオンズシップ第4戦では貴重な先制タイムリーを放ち、チームを勢いづけた。長打力に加えて粘り強さもあり、簡単には三振しない。大事な場面での代打起用もありそうだ。

 また、盗塁王を獲得した青木清隆(前橋育英高−大東文化大)は積極的な走塁でチームを鼓舞する。現在、打順は9番が多いが、実質的なリードオフマンだ。現在バッティングも好調。リーグチャンピオンズシップではリーグ優勝に王手をかけた第3戦、9回に一時は勝ち越し点となったタイムリーを放つと、延長11回にも決勝タイムリー。さらに翌日の第4戦でも結果的に試合を決定づけた2点目を挙げた。塁に出れば、足でかきまわす青木。同じ俊足の1番・山田憲(東海大浦安高−日本ハム−サウザンリーフ市原)とともに、彼らの出塁率が勝負のポイントとなりそうだ。
(写真:守備でも内野の要を担う青木)


<グランドチャンピオンシップ概要>

【試合日程】
★BCリーグラウンド
第1戦 10月24日(土) 藤岡球場 18時
第2戦 10月25日(日) 上毛新聞敷島球場 17時
※雨天などで順延の場合、予備日程で実施(10月26日〜29日 上毛新聞敷島球場 18時)

★四国・九州アイランドリーグラウンド
第3戦 10月31日(土) 高知球場 12時
第4戦 11月 1日(日) 高知球場 12時
第5戦 11月 2日(月) 高知球場 12時
※雨天などで順延の場合、第5戦終了時で決着がつかない場合、予備日程で実施(11月3日〜5日 高知球場 12時)

【チケット】
大人:1,500円 小・中学生:600円
※いずれも全席自由、当日券のみ、未就学児は無料

【ルール】
・先に3勝、またはチャンピオンシップの勝ち越しを決めたチームがグランドチャンピオンとなり、以降の試合は行わない(5試合を終えて2勝1敗2分などの場合も勝ち越したチームが優勝)。
・9回を終了して同点の場合は延長戦を行う。延長戦は原則として決着がつくまで行う。ただし、高知球場は照明設備がないため、日没の場合はコールドゲームとし、同点の場合は引き分けとなる。
・5試合を終えて、両チームの勝敗が並んだ場合(2勝2敗1分など)は予備日程で1試合を実施し、その試合に勝利したチームを優勝とする。
・予備日も含めて、全日程を消化できなかった場合は、その時点での対戦成績で優勝を決定する(両チームの勝敗が並んだ場合は両者優勝)。