5日、Jリーグ最終節が全国各地で行なわれる。J1注目の優勝争いは鹿島アントラーズと川崎フロンターレに絞られた。鹿島は浦和レッズと、川崎は柏レイソルとそれぞれアウェーで戦うこととなる。注目の両カードは15:30に同時キックオフされる。
まず、現在の順位表を見てみよう。首位を走る鹿島は19勝8敗6分けで勝ち点63。30節以降連勝が続き、一時期の不調から完全に脱した感がある。前節では3位ガンバ大阪との生き残りを懸けた試合で5対1と相手を圧倒し、ガンバの優勝を消滅させている。
一方、2位の川崎は18勝8敗7分けで勝ち点61、鹿島とは2ポイント差だ。32節の大分トリニータ戦で黒星を喫し4節ぶりに首位から転落したが、ここ7試合は6勝1敗とチーム状態は悪くない。両クラブともに主力に故障者や出場停止を抱えておらず、ベストメンバーで最終節に臨むこととなる。
ここで気になるのは両者の対戦相手だ。鹿島と対戦する浦和には今季開幕戦で2対0と勝利している。鹿島にとって厳しい条件は、なんといっても埼玉スタジアムでのアウェー戦という点。6位に低迷しているとはいえ、ホーム最終戦に詰め掛ける5万を越えるサポーターの前でレッズは無様な試合はできないはず。目の前で優勝を決定されるのは選手、サポーターにとって屈辱以外の何物でもない。さらにこの試合はフォルカー・フィンケ監督との確執が囁かれている田中マルクス闘莉王にとって、最後のホームゲームになる可能性が高い。今季は高いモチベーションを維持することができなかった闘莉王だが、ホームラストゲームとなれば話は別だろう。鹿島にとって頭の痛い存在になりそうだ。
一方、川崎と戦う柏は前節の大宮戦を引き分けたことで、最終節を待たずにJ2降格が決定した。こちらもホーム最終戦とはいえ、J1残留の望みは絶たれておりモチベーションを維持することは難しいかもしれない。敢えて強調材料を挙げるならば、来季も続投が決まっているネルシーニョ監督の下、ホームサポーターの前で質の低いサッカーが出来ないことと、J2行きとなることで放出不可避となりそうなフランサの大爆発に期待がかかることか。
ここで優勝の条件をおさらいしておこう。2ポイントビハインドの川崎は勝ちが絶対条件となる。川崎が勝利した上で、鹿島が浦和に負けか引き分けると川崎の逆転優勝となる。川崎が引き分け以下ならば鹿島の優勝だ。この条件だけをみると、鹿島の圧倒的有利なようにも思える。
しかし、実際に置かれている立場は鹿島も川崎も大差はない。川崎は無論勝ち点3を積み重ねる以外に方法はないわけだし、鹿島にとっても川崎が勝利すれば自分達も勝たない限り優勝はない。引き分けでも勝ち点では並ぶが、得失点差で優位に立つ川崎が優勝となる。
両クラブとも勝ちが必要となる条件があるだけに、優勝の確率は五分五分といえよう。
鹿島には史上初のリーグ3連覇がかかっている。今季は序盤から独走したものの、8月中旬から10月にかけての急激な失速で一気に他クラブから追い上げられた。しかし、小笠原満男を中心とした中盤がここ一番で踏ん張りを見せ、見事立て直しに成功してきた。ガンバ戦で2ゴールを挙げた興梠慎三の出来が最終節でも勝敗の行方を左右するだろう。
鹿島にとって気がかりなのは、3位以内の可能性がなくなった浦和にとって最終節の結果次第では4位の可能性が残っている点。ACL出場権は本来3位以内に与えられるが、天皇杯優勝クラブが鹿島、川崎、G大阪のいずれかとなった場合、リーグ戦4位にACL出場権が与えられる。4位サンフレッチェ広島、5位FC東京の結果次第では浦和にも出場のチャンスは残っている。今シーズンはいいところなく最終節まできた浦和だけに、最後の最後までACLへの可能性を残すべく勝ち点3を奪いにくるだろう。
ここで鹿島に有利なデータも一つ紹介しておこう。1シーズン制に移行した05年以降、鹿島は最終節を全勝しているのだ。昨年も優勝のかかった札幌戦を1対0で勝利し2連覇を達成している。鹿島にあって川崎にないもの、それは優勝経験だ。これは想像以上に大きいものかもしれない。
川崎にとってJリーグ優勝はまさに悲願だ。あと一歩のところまで迫りながらも、いまだタイトルに届いていない。その川崎に追い討ちをかけたのは11月3日に行なわれたヤマザキナビスコカップ決勝だ。FC東京に0対2で敗れただけでなく、準優勝の表彰式での態度が問題となり、大きな話題となってしまった。優勝を逃がした悔しさを露にした選手たちにも非はあるが、事のほか問題が大きくなってしまった感もある。その後も集中を切らさず難しい試合で勝ち点3を積み重ねてきた姿は素直に評価すべきで、31節でジェフユナイテッド千葉のJ2降格を決定した試合では、ロスタイムにレナチーニョが決勝点を叩き込んだ。崖っぷちに立たされながらも、ここまでよく凌いでいる。06、08年はリーグ戦2位、00、07、09年はナビスコカップ準優勝とナンバー2の座につくこと6度。無冠の帝王にもそろそろ春がやってきてもいい頃だ。
J1優勝争い以外では、J2の昇格争いが熾烈を極めている。3位湘南ベルマーレと4位ヴァンフォーレ甲府の勝ち点はわずかに1差。湘南が勝てば文句なしで11年ぶりのJ1復帰だが、甲府が勝って湘南が引き分け以下ならば逆転の昇格となる。J1優勝争い同様、熱い最終節となりそうだ。
(大山暁生)
【J1第34節】
浦和レッズ × 鹿島アントラーズ(埼玉)
柏レイソル × 川崎フロンターレ(柏)
他7試合 15:30キックオフ
【J2第51節】
水戸ホーリーホック × 湘南ベルマーレ(Ksスタ)
ヴァンフォーレ甲府 × ロアッソ熊本(小瀬)
他7試合 12:30キックオフ