26日、フジゼロックススーパーカップが横浜・日産スタジアムで行われ、10年Jリーグチャンピオンの名古屋グランパスと10年度天皇杯王者の鹿島アントラーズが対戦した。試合は後半9分に名古屋がセットプレーから先制する。対する鹿島も21分に直接フリーキックを決め、試合を振り出しに戻す。その後は、両チームとも無得点に終わり決着はPK戦へ。名古屋はGK楢崎正剛が3本のシュートを止める活躍を見せて3対1で鹿島を下した。
守護神・楢崎、好セーブ連発(日産ス)
名古屋グランパス 1−1 鹿島アントラーズ
(PK 3−1)
【得点】
[名古屋] 増川隆洋(54分)
[鹿島] 野沢拓也(66分)
昨年のJリーグMVPは今年も健在だ。PK戦までもつれた試合、名古屋の守護神・楢崎が鹿島のPKを1本目、3本目、4本目と止め、勝利に貢献した。本人は「たまたまです」と笑ったが、日本代表を引退した今も日本屈指のGKとして改めて存在感を示した。
試合は、昨季のリーグ王者・名古屋の新戦力・藤本淳吾がいかにフィットするかに注目が集まった。トップ下の位置に入った藤本にはボールが集まったが、効果的なパスを配給するまでにはいたらない。また、得意のプレースキックも決定機にはつながらず、持ち味を生かせぬまま前半を終える形となった。
かわって目立っていたのは右ウイングに入った金崎夢生だ。昨季もサイド攻撃を牽引したアタッカーはスピードを生かしたドリブルで敵陣を切り裂く。前半24分にPA内でボールを受けると、さらに中へと侵入しシュートを放つ。ボールは枠上に外れたが、鋭い突破で鹿島守備陣に驚異を与えた。
対する鹿島は、昨季までのエース、マルキーニョスが抜けた穴を埋める存在が必要不可欠だ。この日のスタメンには興梠慎三と大迫勇也の若い2人がトップに入り、ブラジル人の長身FWカルロンはベンチスタート。そんな中、レギュラー定着へ大きくアピールしたのは3年目の大迫だった。29分に左サイドでボールを受けると、中へと切り込み強烈なシュートを放つ。惜しくもバーを叩きゴールはならかったが、積極的にシュートを放ち、得点への強い意欲を見せた。結局、前半は互いにチャンスを作ったものの、決め手を欠きスコアレスで折り返した。
後半に入ると試合は動く。9分、名古屋がゴールから約40メートルの位置でフリーキックを得た。キッカーは藤本。日本代表のレフティーは柔らかいボールをペナルティエリア中央へと送る。そのボールに合わせたのは191センチの長身DF増川隆洋だ。「精度の高いボール。合わせるだけでよかった」と振り返ったように、GKが触るより先に高く跳び、ヘディングでゴールへと叩き込んだ。新戦力・藤本がようやく得意のセットプレーをみせ、名古屋に先制点をもたらす。
先制を許した鹿島もセットプレーでお返しする。21分、ゴールほぼ正面で得たフリーキック。蹴るのは野沢拓也だ。右足から放たれたボールは壁を越えると鋭く落ち、ゴール右隅に吸い込まれるようにネットを揺らした。敵将ドラガン・ストイコビッチも「美しいゴールだった」と称賛する鮮やかなフリーキックで鹿島が同点に追いつく。
その後は、鹿島が押し気味に試合を進めるが、楢崎を中心とした名古屋守備陣を最後まで崩せず、1対1でタイムアップ。スーパーカップは昨年に続き、PK決着にもつれこんだ。昨年はキッカー5人全員が決めてPK戦を制した鹿島だったが、今回は3人のキッカーがゴールを阻まれ、スーパーカップの連勝は2で止まった。
試合後、勝った名古屋のストイコビッチ監督は「どんな内容でも勝つことができれば、いい気分」と今季の好スタートを喜んだ。試合内容についても「パーフェクトではないが、しっかりと守備ができた」と守備陣に一定の評価を与えた。
一方、敗れた鹿島のオズワルド・オリベイラ監督は「自分たちがやりたい形を出していた。主導権は握っていたと思う」と内容には満足している様子。だが、「心配なのは去年から引きずっている決定力不足」と、試合を支配しながら勝ちきれなかったことに不安をのぞかせた。
昨季の公式戦では鹿島に3戦全敗だった名古屋が雪辱を果たす形となった今カップ。名古屋は苦しみながらも勝利し、連覇に向けていい弾みができた。今後は「自分で点を取りたかった」とシュートを打てなかったことを反省した藤本がフィットできるかが、リーグ連覇とアジアチャンピオンズリーグ(ACL)制覇に向けたカギとなるだろう。
いよいよ来週3月5日にJリーグが開幕する。昨季、圧倒的な強さを見せた名古屋が黄金期に突入するのか。それとも他のクラブがそれを阻止するのか。長い戦いがキックオフを迎える。