
11日、FIFA(国際サッカー連盟)バロンドール授賞式で2011年の女子年間最優秀選手賞に輝いた女子日本代表(なでしこジャパン)の澤穂希(INAC神戸)と女子年間最優秀監督に選ばれた同・佐々木則夫監督がスイスから帰国し、会見を開いた。会見には年間フェアプレー賞を受賞した日本サッカー協会を代表して小倉純二会長も出席した。アジアで初のバロンドールを獲得した澤は「賞はとったが、チームとしてロンドン五輪でメダルを取りたい」と決意を新たにした。
(写真:左から小倉会長、澤、佐々木監督) 女子年間最優秀選手賞、女子年間最優秀監督賞、フェアプレー賞――会見場の机に並んだ3つのトロフィー。その中でも一際まばゆい輝きを放っていたのが女子バロンドールのトロフィーだ。
「授賞式に行って隣に(リオネル・)メッシ選手がいて、自分の名前が呼ばれた時に頭が真っ白で何がなんだかわからなかった」
澤は世界一のプレーヤーになった瞬間をこう振り返る。受賞の実感はメディアの多さ、反響の大きさから少しずつ湧いてきた。日本人初の快挙が日本女子サッカー界に与える影響は決して小さくない
「(賞をとって)たくさんの子供たちに目標や夢を持ってもらえたらいいと思う。日本人でも不可能はないということも証明できた。今の子供たちに、こうやって目標ができたのはすごくよかった」

受賞の決め手となったのは何と言っても昨年のW杯初制覇だ。キャプテンとしてチームを引っ張った澤はもちろん、選手たちを伸び伸びとプレーさせた佐々木監督の手腕も大きくクローズアップされた。澤は改めて佐々木監督について問われると、こう答えた。
「どんな試合でも緊張するところを監督の一言で笑いにしてくれたり、みんながサッカーをやりやすい雰囲気づくりをしてくれる。一緒にサッカーをやっていてすごく楽しいし、もっと一緒にやりたい。各選手のいいところを引き出してくれるというのが佐々木監督。また、自分の中でもロンドン五輪で一緒に監督と世界一になりたいという思いもできた」
(写真:「今まで支えてくれたすべての方々に感謝」と語る澤) それを横で聞いていた佐々木監督からは「マル!」と声が飛び、会見場は笑いに包まれた。この雰囲気の良さこそが世界一のチームの強みだ。佐々木監督は“世界の澤”を称えつつ、次なる戦いへ目を向ける。
「僕が女子サッカー界に入って来た時に、(澤は)象徴みたいな選手だった。僕もプレーを見て、中心的な存在だと確認できた。チームは攻守に連動してアクションするサッカーを練習する中で、各選手が生かされたと思う。選手1人1人、そして澤が僕のイメージ以上にやってくれました。北京五輪から積み上げてきたものを、澤を中心に、五輪で完結したチームにしていきたい」
授賞式の会場ではアレックス・ファーガソン監督(マンチェスターU)やジョゼップ・グアルディオラ監督(バルセロナ)ら世界の名将と交流し、大きな刺激を受けた。グアルディオラ監督には「(W杯期間中に外国の)メディアがバルサのような女子チームと評価してくれたが、どう思うか?」と直接質問。「我々、以上だ」との言葉に「すごく持ち上げてくれた(笑)」と笑顔を見せた。
佐々木監督はなでしこの営業部長を自負している。澤同様、頭にあるのはやはり女子サッカーの発展だ。
「全国で(女子サッカーの)受け皿、システムを構築しなければならない。(今回の受賞は)指導者にも女子に目を向けていただくいい機会。本当に女子サッカーを、いい選手を育てあげようというようになるきっかけになればと思う。ブームや流行ではなく、これから女子サッカーを一貫した中でやっていく大きなきっかけになってほしい」
過去、女子サッカーではW杯と五輪を連続制覇したケースは皆無。女子バロンドールを受賞した選手のチームが、その年の五輪で優勝したこともない。だからこそ昨年以上に、2012年は大事になる。澤も受賞翌朝から現地でトレーニングを再開するなど慢心はない。
「女子サッカーはまだこれから。皆さんに支援していただいて、これを糧にまい進していきたい」
佐々木監督率いるなでしこジャパンは、日本女子サッカーの未来のため前人未到の偉業にチャレンジする。