3日、富士ゼロックススーパーカップが東京・国立競技場で行われ、11年Jリーグチャンピオンの柏レイソルが11年度天皇杯王者のFC東京を2−1で下した。柏は前半26分、MFジョルジ・ワグネルのゴールで先制する。その後、MFレアンドロ・ドミンゲスの追加点でリードを広げると、守ってはFC東京の反撃を1点に抑えて今季初タイトルを獲得した。

  ワグネル、勝利導く25mミドル弾(国立)
柏レイソル 2−1 FC東京
【得点】
[柏]  ジョルジ・ワグネル(26分)、レアンドロ・ドミンゲス(43分)
[F東] 長谷川アーリアジャスール(65分)
“VITORIA”(勝利)をスローガンに掲げるチームらしい勝ち方だった。柏はリズムが悪い中でも焦ることなく、FC東京のアグレッシブなサッカーをいなし続けた。そして、昨シーズン、Jリーグベストイレブンに輝いたワグネルの一撃で勝利という結果を手繰り寄せた。

 柏は前半の立ち上がり、FC東京の攻撃的なサッカーに押し込まれる展開が続いた。FC東京の両サイドの選手に高い位置を取られ、DF酒井宏樹とDF橋本和の左右サイドバック(SB)はオーバーラップをかけられない。ボールを持っても、攻撃のキーマンであるレアンドロが2人以上の選手に激しいアプローチをかけられる。昨年のリーグMVPは何度もレフェリーにファールをアピールするなど、苛立ちを隠せなかった。

 しかし、攻撃にリズムが生まれない中でも、守備陣が落ち着いてゲームを崩さなかった。MF石川直宏などにサイドを突破される場面はあっても、日本代表DF近藤直也とDF増嶋竜也が中央で体を張って失点を許さない。近藤は「ボールを回されても、最後のところでやらせない。ゴールさえ許さなければいいと考えていた」と振り返る。

 迎えた26分、先制点をあげたのは劣勢を強いられていた柏だった。決めたのはワグネルだ。味方のクリアボールをピッチ中央で受け、すかさず前を向く。相手選手にプレスをかけながら左足を一閃。シュートは弓から放たれた矢のように、一直線にゴール右下の隅に突き刺さった。国立競技場全体がどよめく圧巻の一撃だった。

 この先制点が試合の流れを変えた。同じブラジル人の活躍に触発されたのか、レアンドロが速く力強いドリブル突破を仕掛ける。FC東京は、ファールでしかそのドリブルを止められず、劣勢に陥る。さらにレアンドロが前に出られるようになったため、同じ右サイドの酒井もオーバーラップをかける回数が増えた。黄色のユニホームが一転してFC東京陣内になだれ込む。

 そんな43分、追加点は相手のファールで生まれる。PA外右サイドからのFKにワグネルが頭で合わせたボールがポストを直撃。クリアボールがゴール前で上空に上がる。競りにいったFW北嶋秀朗が倒され、判定はPK。これをレアンドロが落ち着いて沈めた。柏が2−0とリードを広げて前半を折り返した。

 後半に入るとFC東京は再び激しいプレッシングを仕掛けてくる。柏はボールをうまくキープできず、前半同様に押し込まれる展開が続いた。そして20分、1点を返される。左サイドを崩され、ゴール前でMF長谷川アーリアジャスールにボレーで合わせられる。これはGK菅野孝憲がブロックしたものの、こぼれ球がゴール方向へ。増嶋が必死にクリアを試みるも長谷川に頭で押し込まれた。

 1点差に迫られた柏だが、守りに入るのではなく、攻撃的に試合を進める。25分にはFWリカルド・ロボとMF沢昌克と攻撃の選手を同時に投入。これは昨季も貫いたスタイルだ。前日会見でネルシーニョ監督が昨季からの継続性を重視すると話していたが、その覚悟がうかがえる采配だった。

 さらに攻勢を強めるFC東京に対して、柏の選手たちは指揮官の指示したサッカーで対抗する。ボールを奪うとFC東京の裏のスペースへすかさずロングボール。ここにフレッシュなロボや沢が絡んでいくことで相手の最終ラインを押し下げていく。ネルシーニョ監督はハーフタイムに「うまくつなげられない時は、無理につなぐ必要はない」とロングボールを送って、裏のスペースを突くよう選手たちに話していた。加えて最終ラインでパスを回す相手へのプレスを強め、ミスも誘った。

 32分には、フリーでMF羽生直剛に頭で合わせられる危ない場面もあったが、これはゴール右に外れた。FC東京はチャンスはつくるも、決定力不足で追いつけない。結局、柏が逃げ切り、シーズン開幕前の一戦を制した。

 勝ったとはいえ、柏の試合内容は決して良くはなかった。特に立ち上がりの悪さは、リーグ戦やACLに向けての改善点だ。勝利を呼ぶゴールを決めたワグネルも「今季は多くの大会に出場するが、Jリーグでは自分たちを倒そうとやってくる。(勝ち続けるために)自分たちのコンディショニング、ポジショニング、戦術面、全てにおいて改善していくことが大事」と改めて気を引き締めた。

 ただ、自分たちのサッカーができなくても、結果を出せるのは強豪の証でもある。まず今年最初の“VITORIA”(勝利)を達成し、柏が王者の風格を漂わせて、いよいよシーズンが開幕する。