
レスリングの男子フリースタイル55キロ級の湯元進一、同66キロ級の米満達弘、陸上の男子50キロ競歩の山崎勇喜ら自衛隊に所属するロンドン五輪代表内定10選手が17日、防衛省で田中直紀大臣らから激励を受けた。湯元、米満は大臣を前に、五輪の目標を「金メダル」と高らかに宣言。田中大臣は「練習の成果を発揮して、確たる成績を残していただきたい。我々に感動と勇気を」と選手たちにエールを送った。
(写真:自衛隊から五輪へ出場する各競技の代表選手たち) 自らにプレッシャーをかけるための決意表明だ。
五輪初出場で頂点を狙う米満は、昨年の世界選手権で、日本男子では16年ぶりとなる銀メダルを獲得。「金メダル以外に満足するものはない」と言い切る。昨年の決勝ではカウンター狙いに徹したイラン人を崩せず、涙を飲んだ。その反省を生かし、この半年間は受けに回った相手をどう倒すかを研究してきた。練習を重ねるうちに「答えは出た」と断言する。
残るテーマはコンディションづくり。「本番までにやるべきトレーニングは決まっている。それがきちんとできれば頂点は見えてくる」と頼もしい。大舞台への重圧も「プレッシャーはガソリンになる。お腹がすくからご飯を食べようと思うのと一緒で、プレッシャーがないとモチベーションにはつながらない」とプラスに捉えている。
「今は金メダルだけを目指していますが、獲れても100%の満足はしないと思います。金メダルを獲ってからが本当のスタート。終わりはない」
米満にとって、あくまでもロンドンはレスリング人生の通過点。頂点に立って、新たな景色が見えることを本人は待ち望んでいる。
女子の近代五種で日本勢初の代表となった山中詩乃は、競技を始めてまだ2年半しか経っていない。昨年5月のアジア・オセアニア選手権で5位に入り、出場権を確保。本人も驚きの代表入りだった。高校時代までは陸上の長距離選手で、フェンシングや馬術、射撃は近代五種に取り組むまでは経験がなかった。それだけに喫緊の課題は最初の種目であるフェンシングの強化。4月のW杯(ハンガリ)、5月の世界選手権(イタリア)では、体調を崩したことに加え、第一種目のフェンシングでつまづき、決勝に進めなかった。
それでも世界選手権では「攻撃の仕方や間合いの取り方などは修正して冷静に臨めた」と収穫を口にする。彼女の強みは長距離走と射撃を組み合わせたコンバイント。この最終種目まで、いかに踏ん張れるかが上位進出のポイントになる。
「世界の選手もコンバイントのレベルを上げている。得意の分野を活かせるようにしっかり練習したい」
出身の高知県では女子初の五輪出場(モスクワ大会で女子バレーの代表選手がいたが、日本はボイコット)とあって、地元の期待も大きい。故郷の声援に応える試合をして近代五種を多くの人に知ってもらう。それがロンドンでの第一目標だ。
今回、自衛隊から代表入りした選手は12名。10名以上の選手が五輪切符を手にしたのは88年のソウル大会(13名)以来、24年ぶりのことだ。今回、選手たちは人一倍、強い思いを胸に秘め、大舞台に向けて戦っている。
「昨年の東日本大震災で被災地支援に行かないといけないなか、僕たちは試合に出させてもらった。自衛官としては申し訳ない気持ちがある。だからこそ結果を出して隊員の皆さん、被災地の皆さんを励ましたい」
そう心境を明かすのは競泳男子200メートル個人メドレーで2大会連続の代表に選ばれた高桑健だ。北京では5位入賞を果たし、ロンドンでは表彰台を目指す。彼に代表されるように、各選手は異口同音に被災地への思いを口にした。とりわけボクシング男子フライ級代表の須佐勝明は福島県出身。「福島ではいいニュースがないので、メダルを獲って、いいニュースを届けたい」と意気込んでいる。
自衛官の制服に身を包んだ選手たちは田中大臣をはじめ、省内の職員から大きな拍手とともに見送られ、会場を後にした。今後はそれぞれ国内、海外で最終調整を行い、決戦の地へ乗り込む。
自衛隊所属で五輪代表が内定している他の選手たちは以下の通り。
【レスリング】
女子48キロ級 小原日登美
男子グレコローマンスタイル66キロ級 藤村義
【ボクシング】
男子バンタム級 清水聡
男子ウェルター級 鈴木康弘
【ライフル射撃】
男子50メートルライフル伏射 谷島緑
【近代五種】
男子 富井慎一