カナダのケベックシティで開催されている国際オリンピック委員会(IOC)理事会は現地時間23日、2020年の夏季五輪・パラリンピックの立候補都市を選定し、東京がイスタンブール(トルコ)、マドリード(スペイン)とともに選ばれた。東京は2016年五輪・パラリンピックにも立候補したが、最終選考で落選しており、それに続く招致挑戦。招致委員会委員長も務める東京都の石原慎太郎都知事は「奢っているわけではないが、(立候補都市に選ばれるのは)予想通りの結果。本当の戦いはこれから」と再チャレンジへ強い決意を示した。
(写真:「頑張るぞ!」と意気込む石原都知事(中央)、鈴木大地氏(右から2人目)、成田真由美氏(左から2人目)ら)
 今回の選考には東京、イスタンブール、バクー(アゼルバイジャン)、ドーハ(カタール)、マドリードの5都市が参加。開催計画概要などを盛り込んだ申請ファイルを元にIOCのワーキンググループが検証し、評価を行った。その結果、東京は14の評価項目のうち、宿泊施設や輸送、医療サービスやセキュリティー面などで7項目で5都市のなかで最高の評価点数を得た。

 ワーキンググループの評価レポートによると、2016年招致の経験を活かし、大会計画を改善している点、選手村から半径8キロ圏内に多くの会場を設けるコンパクトな計画が高く認められており、既に政府の支援があり、約4000億円の開催準備基金を用意している部分も評価された。バクーは国際大会開催経験のなさや宿泊施設の不足などが指摘され、落選。ドーハは猛暑を避けての10月開催を訴えたが、8月の実施を原則とするIOCには受け入れられず、選ばれなかった。

 今後は来年1月7日までにIOCに立候補ファイルを提出。IOC評価委員会による現地視察や、各都市によるプレゼンテーションを経て、来年の9月7日に開催されるIOC総会(アルゼンチン)でIOC委員の投票により、開催都市が決定する。

 本格化する招致レースにおいて東京のプラス材料は、同じアジアのドーハ、バクーが落選した点だ。日本オリンピック委員会(JOC)の福田富昭会長は「アジアの力を集中できるのではないか」と語る。一方でアジアでは2018年の冬季五輪の開催が平昌(韓国)で決まっており、“地域性”の観点からはマイナス要素だ。各項目の評価ポイントを単純計算すると、3回連続の挑戦となるマドリードがわずかにリード。イスタンブールも00年五輪から4大会連続で招致に失敗しており、“5度目の正直”を狙う。いずれも開催実現に向けては最大のライバルとなる。

 さらにIOCは前回の立候補都市選定作業ではなかった「エネルギー」の評価項目を追加。独自に調査を実施し、日本は最低が5点(10点満点)と立候補3都市のなかでもっとも低い評価をつけられた。これは原発事故に端を発する電力不足が懸念されているのは明らかだ。招致担当者は会見で「開催に伴う電力消費は、通常時の0.1%増。電力への影響は軽微である」と説明しているが、精査した上で、より説得力のあるプレゼンを行うことが大切だ。

 また前回の招致活動でもネックになった「世論の盛り上がりの低さ」も解消されていない。今回、東京は開催に賛成の割合が65%(東京都民)との資料を提出したが、IOCが独自に行った調査結果は賛成47%と過半数にも満たない。これは前回の申請時の賛成59%をも下回る。招致委員会評議会の小倉和夫事務総長は「悲観はしていない。支持の広さ、深さを求めている。いろんな階層の方に支持をいただき、熱意のある支持者を増やす」と話す。だが、マドリードが賛成78%、イスタンブールは同73%と大きく水を開けられており、前回同様、ウィークポイントとなることは間違いない。

「厳しい招致合戦になる」と石原都知事は改めて気を引き締めた。「なぜ2020年に東京なのか」という問いに、国内にも海外にも分かりやすく答えを提示することが招致への第一歩となる。