日本トライアスロン連合は1日、都内で臨時理事会を開き、ロンドン五輪の男女日本代表5名を発表した。代表に選ばれたのは、既に選考基準を満たして内定を得ていた男子の細田雄一(グリーンタワー・フェリック・稲毛インター)、田山寛豪(NTT東日本・NTT西日本/流経大職)、女子の上田藍(シャクリー・グリーンタワー・稲毛インター)に加え、北京五輪5位入賞の井出樹里(トーシンパートナーズ・チームケンズ)と足立真梨子(トーシンパートナーズ・チームケンズ)。細田、足立は初の代表入りで、上田、井出は2大会連続、田山は3大会連続の出場となる。都内で会見に臨んだ飯島健二郎監督は「これまでもメダルを目標に掲げてきたが、よりリアリティを持って女子はメダル、男子は入賞に向かっていける。あと2カ月、すべてをロンドン五輪にフォーカスしたい」と抱負を語った。
(写真:五輪にちなみ、全員で5つの輪をつくる代表選手たち)
 ロンドン五輪の各国・地域の代表枠は国際大会の成績に基づいた五輪ランキングによって決定し、5月27日付の順位で男子は2枠、女子は3枠が確定した。日本連合では昨年より、男女それぞれの選考基準で代表選びを実施しており、昨年8月の五輪テストレースとなったITU世界選手権シリーズ・ロンドン大会では上田が3位と24秒差の11位。条件(3位と30秒以内)をクリアし、第1号の内定者となった。また男子では4月のASTCアジア選手権で細田がデッドヒートを制し、代表の座をゲット。選考対象の最終レースとなった5月27日のITUワールドシリーズのマドリード大会で田山が7位入賞を果たし、内定を勝ち取った。

 この日の理事会では女子の残り2枠について選考を実施。4月のアジア選手権に優勝し、ITUワールドシリーズのマドリード大会では9位に入るなど好調な足立と、実績のある井出を代表に選んだ。初の代表入りとなった足立は「4年前は代表選考レースにも臨めなかった。北京での井出選手の走りを見て、私もあの舞台に立ちたいと思って、4年間走り続けてきた」と感極まった表情。9位に入ったシドニー大会では最初のスイムでトップに立っており、「(ロンドンのコースは)ブイからブイの間の直線が長く、一定ペースで泳げる持ち味をいかして前のほうで泳げるのでは」と本番への自信をのぞかせた。

 2度目の五輪となる井出は「8歳の頃から思い描いていたキラキラの1番に向かって走りたい」と目を輝かせた。前回は本格的に競技を始めてわずか2年で大舞台を経験。スイム、バイクで上位につけると、得意のランでもメダルへの期待を抱かせる走りで日本勢初の入賞を収めた。しかし、北京後は故障が続き、成績が低迷。昨年の日本選手権東京湾大会で2年ぶりに優勝し、今年はケガの痛みも消えて調子が戻ってきた。前回以上の成績に期待がかかる28歳は「北京では落ち着いてレースができた。腹が据わるとはこういうことだと思った。あの時のような心が持てればメダルが見えてくる」と明鏡止水の心境でスタートラインに立つつもりだ。

 3大会連続出場の田山は崖っぷちから一発逆転でロンドン行きのチケットをつかんだ。アテネ、北京と五輪を経験した30歳も近年はケガに泣き、ナショナルチームからも外れた状態だった。それでも諦めず、優勝すれば代表に内定するアジア選手権では最後の直線まで熾烈な先頭争いを展開。1秒差で細田に惜しくも敗れたが、「1秒で負けたことで、改めて時間と思いの大切さを知った」と、その後のレースでは「全てを出し切る」ことに専念した。先日のマドリードでのレースでは「スイムはきつかったが、“攻めとけ”と強い思いでいった」と最初から飛ばし、ラン勝負に持ち込んで7位に。「この4年間は本当に苦しかった」と振り返った田山は「テーマは完全燃焼。最後の1枠を争った仲間のためにも頑張るのは使命」と活躍を誓った。

 また昨秋に五輪行きを決めていた上田は武器のランニングにさらに磨きをかけている。4月のアジア選手権ではバイクまで出遅れていたものの、ランで一気に追い上げ、3位に入った。「ランは33分30秒台で走らないとメダルにつながらない。(アジア選手権の)館山では34分7秒と自己ベストが出た。目標が見えてきた」と本番へのトレーニングは順調だ。4月にロンドンへの搭乗券をつかんだ細田は「入賞の目標を達成するためにも、メダル獲得という高い目標を設定したい」と意気込みをみせた。

 代表メンバーは早速、2日から合同の強化合宿に入り、その後は各自で調整、レース出場を続け、女子は8月4日、男子は同7日に本番を迎える。スイムで好位置につけてバイクでバッキンガム宮殿などロンドンの街並みを颯爽と駆け抜け、満面の笑顔でハイドパークのゴールテープを切る――。日本トライアスロン界の悲願達成へ、5名の精鋭たちが残り2カ月、勝負をかける。