
2日、翌日に控えたヤマザキナビスコ杯決勝に出場する鹿島アントラーズのジョルジーニョ監督と岩政大樹、清水エスパルスのアフシン・ゴドビ監督とカルフィン・ヨンアピンが都内ホテルで記者会見を行なった。ナビスコ杯決勝で、両者が顔を合わせるのは今回が初めて。前年大会王者の鹿島は4度の優勝を誇り、今年は史上3クラブ目の連覇を目論む。対する清水は澤登正明らを擁して優勝した1996年以来、16年ぶり2度目の戴冠を狙う。
(写真:左から清水・ヨンアピン、ゴドビ監督、鹿島・ジョルジーニョ監督、岩政) ヤマザキナビスコ杯は今回で節目の20回目を迎えた。明日、国立のピッチに立つのは2年連続8回目の決勝進出を果たした鹿島と、4年ぶり5回目のファイナリストとなった清水だ。
大観衆で埋まる国立競技場で、優勝カップを掲げるのは果たしてどちらのクラブか。会見では両クラブの選手が、大一番への抱負を口にした。
「前年の王者という立場ではなく、チャレンジャーとして挑んで思い切りプレーしたい」
鹿島のDFリーダー・岩政がこう語ると、対する清水の守りの要・ヨンピアンも「明日はハードワークをして戦い、クラブにとって10年ぶりのタイトルをとりたい」と全力を尽くして勝利することを誓った。
チームを率いる鹿島のジョルジーニョ監督と清水のゴドビ監督は、同い年の46歳。ジョルジーニョ監督は相手の清水について「スピーディで、若さと勢いを持っている。相手を細かいパスワークやピッチを幅広く使いながら攻め込んでいく」と分析する。その上で「逆に我々には経験がある。そういった経験を試合で出し切りたい。それを試合で表現し、最後は勝ちたい意欲になってくる」と勝負のポイントを挙げた。
対するゴドビ監督は、鹿島について「日本のどのチームよりもタイトルを奪ってきた。彼らには経験のある国内外の選手と多くの代表経験者がいる」と持ちあげつつも、勝利へのプランは明確だ。
「カギとなるのは我々が組織をつくった戦いを最後まで続ける。次に集中力を高く持ち、最後はゴール前での効果的なプレーをしていきたい」
今季の対戦成績は清水の2勝1敗(ナビスコ杯予選リーグ含む)。前哨戦として注目された10月27日のリーグ戦では、清水が2−1で勝利している。だが、ゴドビ監督が「(これまでの)3試合とは全く違った対戦になる」と語れば、ジョルジーニョ監督も「過去の対戦が決勝に反映されるかといえばそうではない」とあくまで目の前の一戦を見据えた。
試合のキーマンとなりそうなのが、両チームの若き点取り屋だ。清水・大前元紀と鹿島・大迫勇也である。
大前はリーグ戦ではここまで得点ランク3位タイの12ゴールをマーク。先の鹿島とのリーグ戦でも決勝点を決めている。ナビスコ杯では準決勝第2戦でハットトリックを達成して、クラブを4年ぶりのファイナルへ導いた。今季は右サイドからゴール前に走り込んで得点を奪うかたちを確立しており、リーグ戦でのアシスト数もチームトップを誇る。清水としては、まさに攻撃の要である大前にボールを集めたい。
一方の大迫はナビスコ杯で得点ランクトップの7ゴールをあげている。準決勝では第1戦と第2戦合わせて3ゴール1アシストと爆発し、2年連続の決勝進出に貢献した。大迫の特徴を一言で表すと“万能型”。持ち前のDFラインの裏へ抜け出す動きに加え、ポストプレーからチャンスも演出する。昨年のファイナルでは決勝点を奪い、MVPを獲得した。若きエースが今年も試合を決める働きができるか。
ともに高校時代は冬の選手権で勝ち進んで国立でプレーし、得点王にも輝いている。いわば“国立男”とも言える選手同士だ。はたして、国立により愛されているのはどちらか。超満員に埋まる聖地で、その答えが出る。

会見後にはヤマザキナビスコ杯決勝前夜祭が開かれ、今年度のニューヒーロー賞が発表された。この賞は1回戦から準決勝までを通じて活躍が顕著だった23歳以下の選手に贈られる。今年、この賞に輝いたのは清水の18歳、石毛秀樹だ。18歳での受賞は史上最年少の快挙である。
(写真:決勝では「チャレンジャーとして鹿島にぶつかっていきたい」と語る石毛) 石毛は昨年のU-17W杯の日本代表に選出され、4試合3得点をあげて18年ぶりのベスト8進出に貢献。清水ユース在籍中ながら、今年、プロ契約を果たすと、ここまでリーグ戦13試合に出場し、ナビスコ杯では8試合で1得点を挙げている。豊かなスピードと高いテクニックを併せ持ち、前線からサイドバックまでこなすユーティリティー性も魅力だ。
「この賞を受賞できたのも、僕だけの力ではない。すべての人に感謝したい」とニューヒーローは謙虚に受賞の感想を語った。「デビューした時に比べれば、余裕ももてるようになってきたし、勝負できる部分も増えてきた。成長できていると思う」と試合を重ねるたびに自信はついてきている。
決勝でもスタメンが予想される18歳は「(自分は)ひとりでぐいぐいいけるようなタイプではないのでうまく回りも使いながらプレーしたい。でも、いざとなったらゴール前で仕掛けて、得点するのも自分の特徴。明日はそういう部分を出しながら結果にこだわりたい」と好プレーを約束した。過去、同賞を受賞した高原直泰(98年、磐田)、長谷部誠(04年、浦和)、原口元気(11年、浦和)などは後に日本代表へとステップアップしている。はたして、この決勝でさらなる活躍をみせ、スターへの階段を昇ることができるのか。見どころの多い一戦は13時5分、キックオフを迎える。