16日、FIFAクラブワールドカップ2012の決勝が横浜国際競技場で行われ、コリンチャンス(南米代表、ブラジル)がチェルシー(欧州代表、イングランド)を1−0で下し、2000年大会(当時FIFA世界選手権)以来、2度目の世界一に輝いた。前半はともにチャンスをつくりだす一進一退の攻防が続いたが、スコアレスのまま試合を折り返す。迎えた後半24分、コリンチャンスはFWパオロ・ゲレーロのゴールで先制に成功する。その後、決定的なピンチを招いたものの、GKカッシオを中心に1点を死守した。コリンチャンスが06年大会のインテルナシオナル(ブラジル)以来、6年ぶりに南米へ世界一の座を持ち帰った。また、大会MVPにはカッシオが選出された。

 ゲレーロ、値千金の決勝弾!(横浜国際)
チェルシー 0−1 コリンチャンス
【得点】
[コ] パオロ・ゲレーロ(69分)
 必勝パターンで栄冠を掴んだ。コリンチャンスはボールポゼッションを高めて押し込んでくるチェルシーの攻撃に粘り強く対応し、時には体を張って跳ね返した。攻撃ではカウンターから相手守備陣を脅かし、訪れた最大のチャンスをモノにした。そして、リードを奪ってからも全員が最後までハードワークし続け、逃げ切った。

 最初にピンチを迎えたのはコリンチャンスだった。前半10分、右CKからDFガリー・ケーヒルが頭で合わせる。こぼれ球を再びケーヒルに打たれたが、これはGKカッシオがしっかりとセーブした。
 反撃したいコリンチャンスは、ボールを奪ってからの速攻でチャンスをつくりだしていく。しかし、シュートの精度を欠いた。29分、FWエメルソンがゲレーロのスルーパスに抜け出し、PA内右からシュートを狙うもゴール上へ。さらに35分、ゲレーロがPA内右サイド深くからシュートを放つ。DFに当たってファーサイドへこぼれたところをエメルソンが押し込むがサイドネットに外れた。

 度重なるチャンスを決めきれないでいると、徐々に流れはチェルシーに。39分、FWエデン・アザールにカウンターから右サイドをドリブル突破され、左サイドでフリーになったFWヴィクター・モーゼスにパスを通される。ゴール右を狙われたが、ここはGKカッシオが横っ飛びしながら右手の指先で弾き出すスーパーセーブ。41分にも、FWフアン・マタにPA手前から強烈なシュートを打たれたが、これもカッシオががっちりとキャッチした。失点していれば、完全にチェルシーに主導権を握られていただろう。守護神の活躍で、スコアレスのまま試合を折り返した。

 迎えた後半、再びカッシオが好守でチームを盛り立てた。9分、PA内に抜け出したアザールがシュートを打つ前に飛び込んでブロック。ボールはアザールに当たってゴールラインを割り、コリンチャンスボールとなった。前半から続くファインセーブ。スタジアムからは大きな拍手が起こった。

 カッシオの活躍に触発され、フィールドの選手も活力を取り戻す。パスを回す相手に素早いプレスをかけ、攻撃を寸断。ボールを奪ってから速攻で相手ゴールに迫った。19分には、MFパウリーニョがPA内でエメルソンからボールを受け、右足を振り抜く。これはわずかにゴール右に逸れたが、久しぶりに得点の匂いが感じられた。
 そして、待望の瞬間は24分にやってきた。PA内左でパスを受けたDFダニーロが、中にスライドしてシュート。DFに当たって高く浮いたボールをゲレーロが頭で押し込んだ。コリンチャンスサポーターが雄叫びをあげ、ベンチの選手を含めたチームメイトはゴールを決めた背番号9に駆け寄って祝福。ゲレーロは準決勝に続くゴールとなった。

 先制してからは攻勢を強めるチェルシーに押し込まれた。だが、先行逃げ切りはコリンチャンスの勝利の方程式。素早いプレスを継続し、ボールを簡単には前に運ばせない。41分、右サイドからのロングスローがPA内で混戦となり、FWフェルナンド・トーレスにシュートを打たれたが、これはカッシオがブロック。45分には、ケーヒルがエメルソンを殴ったとして、一発退場となって数的優位にも立ち、さらに勝利が近づいた。
 終了間際には、運も味方につけてピンチを脱した。ロングボールからマタに抜け出され、飛び出したカッシオもかわされる。しかし、PA内右からのシュートはポストに当たってピッチ外へ。直後、長いホイッスルが吹かれ、コリンチャンスが2度目の歓喜の瞬間を迎えた。

「サッカーでは助け合いが最も大切だし、それが今日の勝利の要因」
 チテ監督はこう試合を振り返った。個々の選手の能力、実績はチェルシーの選手のほうが上だった。しかし、南米王者は「個」に対して、「組織」で対抗。特に光っていたのが守備面だ。ボールに近い選手が素早くアプローチをかけ、周囲の選手は空いたスペースのカバーに走った。チェルシーの選手は裏へ抜け出す機会をそれほど与えてもらえなかった。指揮官は「コリンチャンスの勝利はチームワークが個人技を上回るということを証明したと思う」と誇らしげに語った。

 そして、2度目の世界一を大きく後押ししたのはサポーターの存在だ。コリンチャンスサポーターの数はチェルシーのそれをはるかに上回っていた。「コリンチャンス!」の声が轟く横浜国際競技場は、彼らのホームスタジアムである“パルケ・サン・ジョルジ”さながらだった。
「全サポーターに恩返しができた。彼らはチームを励まし、日本までついてきてくれた。ここまで来られなかったサポーターもいるが、気持ちではついてきてくれた」
 チテ監督はサポーターへの感謝も忘れなかった。世界一のチームワークとサポーター。これらを併せ持ったコリンチャンスは、勝利にふさわしかった。

 モンテレイ、快勝で3位

 同日に行われた3位決定戦では、モンテレイ(北中米カリブ海代表、メキシコ)がアル・アハリ(アフリカ代表、エジプト)を2ー0で下した。モンテレイは前半3分、MFヘスス・コロナのゴールで早々と先制。その後、アル・アハリに押し込まれたものの、堅守でゴールは割らせない。逆に後半21分、FWセサル・デルガドが速攻から抜け出し、チップキックで飛び出てきたGKの頭上を抜く芸術的な追加点。結局、相手に得点を許すことなく、快勝で3位の座を掴んだ。メキシコ勢が3位になるのは01年大会のネカサ以来となった。

 アル・アハリ、シュート17本も不発(横浜国際)
モンテレイ 2−0 アル・アハリ
【得点】
[モ] ヘスス・コロナ(3分)、セサル・デルガド(66分)