開幕まで残り2週間ちょっと。18日の北海道日本ハム2軍との交流戦を皮切りに実戦も増えてきました。日本ハム戦では堤雅貴、町田翔司がともに無失点ピッチングをみせ、今季もこの2人が先発の軸になりそうです。
2人ともさらに上を目指すために必要なのは球のキレ、変化球の精度。自主トレからフォームも含めて、それを可能にするための練習をしてきました。最初の登板でNPB相手に結果を残し、いい方向に向かいつつあるのではないでしょうか。あとは実戦の中でバッターとの駆け引きや状況に応じたピッチングを磨いてくれればと思っています。
昨季はリーグ優勝したものの、チーム防御率が4.54でリーグ5位。一方、チーム打率.298、チーム本塁打83本は1位で打高投低の成績でした。今季は中日や横浜DeNAで活躍したエンジェルベルト・ソト、元DeNAの菊池和正兼任コーチ、伊藤拓郎が加わり、投手力はアップしました。
特に伊藤はまだ21歳。DeNAではいろいろとプロの指導を受けて混乱し、自分を見失ってしまった部分があったようです。故障して戦力外になったわけではなく、能力は十分にあります。実際、いいボールを投げており、大いに期待できるでしょう。開幕から抑えのレビ・ロメロにつなぐセットアッパーとしての起用を考えています。また適性をみながら先発をやってもらうケースもあるかもしれません。
菊池兼任コーチはヒジの手術を受けた影響で、現状はコーチ業がメインです。ただ、キャッチボールは再開しており、温かくなれば、もっと投げられるようになるでしょう。かつて中継ぎでフル回転していた右腕ですから、若い選手をピッチングでも導いてほしいと思っています。またソトは先発で起用する予定です。
投手陣をサポートするキャッチャーも元福岡ソフトバンクの八木健史が復帰しました。育成選手だったとはいえ、NPBを経験した選手ですから、大きな戦力です。扇の要の選手としてキャプテンも務めてもらうことになりました。グラウンド内外でのリーダーとして、チームを引っ張ってほしいと願っています。
打線は3冠王のフランシスコ・カラバイヨがオリックス入りし、打率.351のリードオフマン、安田権守も分配ドラフトの地元枠で新球団・武蔵に移籍しました。さすがにカラバイヨの33本塁打を埋めることは不可能でしょうが、新外国人は3Aでプレーした実績のあるヘスス・メルチャン、アンヘル・カスティーヨが入団します。また、もうひとり助っ人を獲得する予定です。彼らのパワーを借りれば、攻撃力はそこまで落ちないとみています。
また安田の抜けたトップバッターは新人の森岡大和(福井工大付福井−常葉大浜松)が座りそうな勢いです。バッティングがうまく、選球眼もあり、高い出塁率が望めます。
昨年はリーグ優勝は達成しましたが、独立リーグ日本一はアイランドリーグ王者の徳島に奪われました。今季は連覇はもちろん、日本一奪回を念頭にチームをつくっていくつもりです。昨季の独立リーグ・グランドチャンピオンシップでは最終回に内野のミスから決勝点を奪われ、敗れました。この合同自主トレ、キャンプでは高橋雅裕臨時コーチを招き、内野守備を指導してもらっています。高橋コーチにはシーズン中も継続して内野手を鍛えてもらう考えです。
そして、もうひとつの目標はドラフト指名。投手では町田、堤にサウスポーの山崎悠生、野手では茂原真隆あたりはスカウトから注目されています。たとえば左の山崎なら、よりスカウトに印象づけるには左バッターを徹底して抑えることが要求されます。そのためには球の出どころが見にくいフォームや球威、変化球といった武器を磨き、相手に嫌がられるピッチャーになることが大切です。
そういったNPB行きに大切なポイントもアドバイスしながら、チームとしても個人としても、いい成績を収められる1年にしていこうと考えています。今季も引き続き、よろしくお願いします。

<
川尻哲郎(かわじり・てつろう)>:群馬ダイヤモンドペガサス監督
1969年1月5日、東京都生まれ。日大二高、亜細亜大、日産自動車を経て、94年にドラフト4位で阪神に入団。2年目にプロ初勝利を挙げると、翌年には自己最多の13勝(9敗)をマーク。98年5月26日の中日戦で史上66人目となるノーヒットノーランを達成し、同年オールスターゲームにも出場した。2004年に近鉄に移籍し、翌年には楽天へ。05年シーズン限りで現役を引退した。13年より群馬の投手コーチを務め、14年より監督として指揮を執っている。
◎バックナンバーはこちらから