開幕から10試合を終えて3勝4敗3分。やはりリーグ戦は勝ち星を先行させて戦いたいだけに、苦しいスタートです。ここまでの収穫は先発投手の3本柱が確立できたこと。一方、課題は4番手以降の先発と中継ぎの整備、そして打線のテコ入れです。
 先発は前回も紹介した新人の福永春吾吉田嵩、そして外国人のエドワード・ウィリアム・ブランセマがゲームをつくっています。福永は2試合連続無失点で9イニングを投げ切り、順調なデビューを果たしました。3試合目の香川戦では2失点したものの、3試合連続の完投。しかも球数は107球でまとめました。初戦、2戦目は無失点でも140球以上投げており、長いシーズンを乗り切るには球数を減らすことも重要です。実質はサードのエラー(記録はヒット)で連続無失点が途絶えたのは残念でしたが、記録はいつかは止まるもの。今後、「0点に抑えなければ」と余計な意識が働いて球数が増えてしまうよりは良かったかもしれません。

 吉田は前回指摘したように荒削りですが、球威で押して3試合で失点はわずかに1。実戦の中で、うまく力を抜く投げ方を覚えれば、もっといいピッチャーになるでしょう。未完成の素材だけに今後が楽しみです。

 もちろん、シーズンは始まったばかり。ここからが本当の勝負です。相手も対策を練ってきますし、登板が続けば、コンディション管理も重要な要素になってきます。壁に当たることもあるでしょうが、これを乗り越えて成長してほしいと望んでいます。

 ブランセマは外国人特有の動く球が武器。最初はコーナーを狙いすぎて四球が多かったものの、最近は低めにボールを集め、ストライクゾーンで勝負できるようになり、持ち味が生きてきました。欲を言えば、球速が140キロちょっとですから、これを速く見せる緩い変化球を覚えてほしいですね。そうすれば、もっとラクにバッターを抑えられるでしょう。

 バッターから見て厄介なのはスピードではなく、球速差。キレとコントロールがあれば、135キロの真っすぐでも打てません。しかし、ピッチャーの多くは、そこを勘違いしているのが多いのが実情です。それだけに、ブランセマには緩急でリーグに旋風を巻き起こしてほしいと思っています。

 問題は3本柱以外のピッチャーです。16日の香川戦では20失点、17日の愛媛戦は10失点と崩壊状態に陥ってしまいました。正直、勝ちパターンの中継ぎ、抑えも固まっておらず、ピッチャー陣の再編は不可欠です。今後、練習生との入れ替えを考えています。

 昇格の第一候補は木下雄介(生光学園高−駒澤大(中退))です。140キロ強のストレートとフォークで三振がとれるピッチングが強み。ただ、大学中退から1年半が経っており、まずブランクを取り戻す時間が必要でした。ここにきて、バッティングピッチャーとして登板できる状態になり、そろそろ試合でも投げられそうです。

 そして今季の軸として期待していた宍戸勇希も調子が上がってきました。本人も開幕で登録を外されたことが悔しかったのでしょう。近々、チャンスを与えるつもりですから、そこで結果を見せてほしいと思っています。

 また右腕の卯名根口東(宮古高ー日本ウェルネススポーツ専門学校)も中継ぎの一員として登録の機会があるでしょう。低めにスプリット、ツーシーム、カットを投げ、打たせて取るスタイル。バッターに向かっていく気持ちも強く、短いイニングを任せたいピッチャーです。

 ピッチャーをリードするキャッチャーは高島優大宮下直季を併用しています。今後も基本的には2人を争わせながら使っていくようです。かつての近鉄の有田修三さん、梨田昌孝さんによる“アリナシコンビ”のように高いレベルでしのぎを削り、守りの要になってほしいものです。 

 投手陣以上に、打線を何とかしないといけません。開幕10試合のチーム打率は.216。22得点はリーグワーストです。開幕戦で1軍実績のある福岡ソフトバンク3軍の千賀滉大の手玉にとられ、各バッターの調子が狂ってしまったように感じます。

 主力の松嶋亮太増田大輝が打率1割台。昨季の打点王・小林義弘鷲谷綾平も2割そこそこです。19日の試合後には松嶋から電話をもらい、「スイングを見てほしい」と頼まれました。本人は今年に賭ける思いが強く、オフから打撃改造に取り組んできただけに悩みは深いでしょう。

 その時、松嶋に指摘したのは「踏み込みの弱さ」。これは他の不調の選手に共通しているポイントです。結果が出ないせいか、バッティングが受け身になり、思い切りがありません。積極性を欠くと、早めに追い込まれてしまいますし、強い打球も放てません。

 特に2年目の増田、小林、鷲谷は、気持ちだけが空回りしているようにも感じます。いわゆる2年目のジンクスでしょう。これを乗り越えられなければ、上のレベルには到達できません。まずは向かっていく姿勢を出してほしいものです。

 幸い、新人の1番・寺田奨が好調で、3番の橋本球史(城西大附城西高−城西国際大−日本ウェルネススポーツ専門学校)も守備中のフェンス激突によるケガから近々、復帰見込みです。打線がある程度、固定されれば、各バッターも腰を据えて打てるでしょう。

 選手にも話をしていますが、連覇はもう過去の話。現時点では昨季と比べてもミスが多く、強いチームではありません。しかし、昨季も開幕してから徐々にチーム力が上がり、最終的には日本一を達成しました。負け越しとはいえ、まだ借金1。ここからチャレンジ精神をいかに持って戦うかが大切です。

 今季は前後期とも2カ月間の短期決戦です。ぐずぐずしているとあっという間に終わってしまいます。僕も何とか投打を上向きにし、チーム全体で前期制覇に挑むつもりです。

中島輝士(なかしま・てるし)プロフィール>:徳島インディゴソックス監督
1962年7月27日、佐賀県出身。柳川高時代はエースとして3年春の甲子園に出場。プリンスホテルに進んで野手に転向する。87年のソウル五輪予選で日本代表に選ばれて活躍。本大会でも好成績を残し、チームの銀メダル獲得に貢献する。89年に日本ハムにドラフト1位で入団。1年目に史上2人目となるルーキーの開幕戦サヨナラ本塁打を放つ。92年はオールスターに出場し、打率.290、13本塁打をマークした。96年に近鉄に移籍後、98年限りで引退。その後は近鉄や日本ハムで打撃コーチ、スカウトを歴任。11年には台湾の統一セブンイレブンでコーチとなり、12年途中からは監督に昇格する。14年は徳島のコーチを務め、15年から監督に就任。
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