第90回東京箱根間往復大学駅伝競走は2日、第1日目となる往路5区間(108.0キロ)でレースが行われ、東洋大が2年ぶりに往路優勝を果たした。東洋大は序盤から3位、2位とひとつずつ順位を上げ、3区でトップに立った。残り2区間も先頭を譲らず、5時間27分13秒で芦ノ湖のゴールテープを切った。2位には59秒差で駒澤大、3位には5分9秒差で早稲田大が入り、連覇を目指す日本体育大は4位だった。
1区と2区の中継地点・鶴見中継所、先頭で襷を繋いだのは、連覇の懸かる日体大だった。そして2位には駒大、3位には東洋大と続いた。各校のスピードランナーが集う1区を任された日体大の山中秀仁(2年)が別府健至監督の期待に応え、区間賞に輝いた。1区の学生最速ランナーの早大・大迫傑(4年)、昨年1区区間賞の東洋大・田口雅也(3年)、3冠を狙う駒大4本柱の1人・中村匠吾(3年)らを抑えてのトップ通過。「ハイペースを予想していた」と、序盤は集団を引っ張る大迫について行き、終盤に田口や中村が仕掛けても離されなかった。最後の箱根となった学生ナンバーワンの大迫は5位という不本意な結果に終わった。
往路のエース区間“花の2区”では、駒大・村山謙太(3年)が5キロ過ぎに日体大の本田匠(4年)をとらえると、独走した。そのまま本田はズルズル順位を落とし、区間は10位タイで総合6位に終わった。一方で、その他上位陣も東洋大の服部勇馬(2年)が27秒差の2位、早大は高田(2年)が29秒差の3位と、いずれも1時間18分台のタイムで後続の走者に襷を渡した。注目の山梨学院大のエノック・オムワンバ(2年)は、序盤は5人抜きと快調に飛ばしたが、9キロ過ぎで一気にペースダウン。10キロ手前では完全にストップ、右脚の故障であえなく途中棄権となった。
1区は日体大、2区は駒大と先頭が次々と代わる中、3区では東洋大がトップに躍り出た。双子のWエースの弟・設楽悠太(4年)。「僕が優勝を決定づける走りをする」。昨年、砂塵舞う強風に苦しみながらも、区間賞を獲った設楽は今年も役目を十分に果たした。「後輩がいい流れできてくれたので、自分で首位に立って後続との差を広げることだけを考えて走りました」と、軽快なピッチで10キロ手前で油布を抜き去ると、湘南海岸沿いを颯爽と駆け抜けた。3区歴代4位となる1時間2分13秒の好タイムで襷をつなぎ、2位の駒大に1分近い差をつけた。
近年の優勝争いを占う中で、最重要区間と言っていいのが“山上り”の5区だ。先頭の東洋大は4区で2位・駒大に35秒つめられ、21秒のリードで5区を迎えた。往路のアンカーを任された設楽啓太(4年)が快走した。三大学生駅伝5大会連続の2位は、“山の神”と謳われた柏原竜二(現富士通)の引退後、設楽兄弟がエースとなってからだ。「今年こそは優勝を狙っていた」と、エースとして、キャプテンとしての意地を見せた。自身初挑戦の5区だったが、1時間19分16秒で日体大・服部翔大(4年)、法政大・関口頌悟(3年)と、昨年の山上り1、2位を押しのけて区間賞を獲得。チームを2年ぶり5度目の往路優勝に導いた。
「選手たちが想定の走りをしてくれた」。東洋大の酒井俊幸監督は学生たちを褒め称えた。各々の攻めの走りが次走者への好走をつなげた。「総合優勝のためには往路優勝」と、酒井監督も強気の采配をふるった。往路にWエースの設楽兄弟、田口、服部勇馬と主力をつぎ込んだ。設楽兄弟はいずれも区間賞の活躍。その他の選手も区間上位と安定した走りを見せるなど、策は功を奏した。リードは59秒。決して安心できる差ではないが、復路には高久龍(3年)、大津顕杜(4年)と、昨年に復路を経験している選手たちがいる。「明日は単独で復路優勝できるように」と、2年ぶりの完全制覇を目指す。
一方、出雲駅伝と全日本大学駅伝を制し、史上4校目の学生駅伝3冠を狙う駒大は2位につけた。4本柱のうち3本を序盤で起用したが、東洋大に先行を許したかたちとなった。ただ復路にはエースで主将の窪田忍(4年)が控える。おそらく8、9区あたりでの起用が濃厚。窪田に繋ぐまでに、どれだけ東洋大との差を縮められているかに駒大の6年ぶりの悲願は懸かっている。
昨年の王者・日体大は、1区でトップに立つも2〜4区は区間2ケタ順位とブレーキ。昨年逆転Vの立役者・服部翔大(4年)に襷を繋いだ時には首位と6分半以上の差をつけられていた。7位でスタートした服部は、昨年同様に力強い走りで3人を抜き、4位へと押し上げた。だが連覇へ向けては、依然として厳しい状況に変わりはない。復路にエントリーされている鈴木悠介、矢野圭吾、甲斐翔太はいずれも最後の箱根になる。まずは復路優勝を狙いにいく。
果たして、復路は東洋大がリードを守り切り、いの一番に大手町にやってくるのか。それとも3冠を目指す駒大が巻き返しを見せるのか。そして上位10校までに与えられるシード権の行方も気になるところ。明日の復路は8時から芦ノ湖をスタートする。
往路の順位は以下の通り。
(1)東洋大(2)駒澤大(3)早稲田大(4)日本体育大(5)青山学院大(6)拓殖大(7)明治大(8)大東文化大(9)東海大(10)日本大(11)法政大(12)帝京大(13)中央学院大(14)東京農大(15)神奈川大(16)上武大(17)中央大(18)国学院大(19)順天堂大(20)城西大(21)専修大(22)国士舘大
※山梨学院大は途中棄権のため記録なし
(文/杉浦泰介)