第90回東京箱根間往復大学駅伝競走最終日は3日、複路5区間(109.9キロ)が行われた。往路を2年ぶりに制した東洋大は復路になってもトップを一度も譲らなかった。東洋大は10時間52分51秒で2年ぶり4度目の総合優勝。2位には駒澤大が入り、昨年の王者・日本体育大は3位だった。上位10校までのシード権争いは、早稲田大、青山学院大、明治大、日本大、帝京大、拓殖大、大東文化大の順で入った。往路12位の帝京大は復路3位で総合8位と順位を上げ、逆転で勝ち取った。7位の日大と10位の大東大は5年ぶりのシード権を獲得した。
東京・大手町の読売新聞社前に、鉄紺の襷はどの色よりも先に帰ってきた。仲間たちからの「顕杜(けんと)」コールに迎えられて、ゴールテープに飛び込んだ東洋大の大津顕杜(4年)。4度目の箱根路制覇は10時間52分51秒と、歴代2位の好タイムでの優勝で飾った。
59秒――。東洋大は総合優勝に向け、わずかな貯金で復路をスタートした。今シーズン掲げたスローガンは“その1秒を削り出せ”。王座奪還を誓った2年前と同じものだ。3位の早大には5分9秒の差をつけていたため、序盤から東洋大と駒大のマッチレースの様相を呈した。
復路スタートの6区は、山下りのスペシャリスト区間。東洋大はこれまでの4年間は市川孝徳(現トヨタ紡績)が務めていた。市川が卒業し、抜けた6区には東洋大の日下佳佑(4年)が入った。日下は「1秒でも差をつけて走りたい」と最初で最後の箱根駅伝で、きっちりと仕事を果たした。区間4位の走りで2位の駒大に1分17秒と、その差を広げたのだ。それでも前を行く東洋大を追う駒大は、復路のエース区間9区に窪田忍(4年)を据えていた。1分半ほどの差ならば、逆転も十分にあり得る。9区まで、東洋大はその差をどこまで広げられるかが、焦点だった。
続く7区はルーキー対決。東洋大は服部弾馬、追う駒大は西山雄介。昨年の全国高校駅伝では同じ1区を走り、わずか1秒差で西山が先着した。都大路で凌ぎを削ったライバルと、舞台を箱根路に変えての競走となった。そんな状況でも「楽しく走れました」と服部弾馬。往路の2区で好走を見せた服部勇馬(2年)の弟は、力みないピッチで1時間3分27秒のタイムで区間賞を獲得した。小田原中継所から平塚中継所までで、その差を37秒広げた。
服部弾馬から襷を受けたのは高久龍(3年)。「後ろとの差も気になりましたが、前だけを見て走りました」と下級生がつけた勢いをさらに加速させ、1学年下で初の箱根を走る上村和生に襷を渡した。高久は「最低でも区間賞」と自らに課したノルマを見事に遂行した。歴代4位の1時間4分35秒で走り、2区連続の区間賞で、2位の駒大とは3分40秒もの差をつけた。
一方の駒大は9区を任せた窪田が大量リードを詰めるため、1キロ2分44秒と突っ込んだが、その差はあまりに大き過ぎた。窪田は区間2位の走りで、差を28秒縮めるにとどまった。駒大の史上4校目の3冠の可能性が霞んでいく。10区アンカーの差は3分以上。東洋大の酒井俊幸監督もこのあたりで勝利を確信したという。10区の大津の23.1キロは「しっかりと繋いでくれた。みんなが待っているゴールまでいこう」と、もはやウイニングランに近かった。大津も終盤まで区間記録も狙えるペースで快走。1時間9分8秒と、区間新には9秒届かなかったが区間賞を獲得した。復路の5時間25分38秒は2年前の東洋大の記録を塗り替え、優勝した。
「闘争心あふれる走り。想定よりも頑張ってくれた」と、東洋大の酒井監督は前日に続き選手を称えた。東洋大の区間賞は復路で3つ。全10区間でも5つと半分を占め、その他の区間も4位以内と抜群の安定感を見せた。他校に付け入るスキをほとんど与えなかった。往路と復路を制す完全優勝。来シーズンはWエースの設楽兄弟が抜ける。「次は自分がエースになる」と覚悟を見せた服部勇馬を中心に、新たな時代を築けるか。東洋大を追いかける他校も黙ってはいないだろう。絶対王者なき、戦国時代へと突入している箱根駅伝。次代の号砲は、もう撃ち鳴らされている。
総合成績は以下の通り。
(1)東洋大(2)駒澤大(3)日本体育大(4)早稲田大(5)青山学院大(6)明治大(7)日本大(8)帝京大(9)拓殖大(10)大東文化大(11)法政大(12)中央学院大(13)東海大(14)東京農大(15)中央大(16)順天堂大(17)国学院大(18)神奈川大(19)城西大(20)上武大(21)専修大(22)国士舘大
※山梨学院大は途中棄権のため記録なし