プロ野球球団は野球協約で明確に「公共財」と謳われている。つまり「企業の私物」ではないということだ。しかしファンの意向が無視されるかたちで昨年、オリックスと近鉄が合併した。水面下では縮小再編構想が進行していた。
 もし縮小均衡路線が既成事実化していればどうなっていたか。球界は衰退の一途をたどるだろう。その意味で縮小を食い止めた選手会のストライキには一定の意味があったと私は考えている。

 「銀行だって合併が相次ぐ時代、なぜプロ野球の合併はダメなのか?」。私にこう迫った経済評論家がいた。
 「公共財」と「企業の私物」はまるで別物と断った上で私は答えた。「檀家が少なくなったからといって日蓮宗と浄土真宗のお寺が合併しますか?それと同じことなんですよ」

 スト決行前夜の一部始終がこの本には収められている。巻末のインタビューで選手会長の古田敦也がこう語っている。
 「一部の経営者は、ファンのことには目もくれず(中略)本社から言われたことをトップダウンで実行することばかり考えている」。久しぶりに“社畜”という言葉を思い出した。
「スト決行」(朝日新聞スポーツ部 著・朝日新聞社・1200円)

 2冊目は「カワハギ万歳」(嵐山 光三郎 著・PHP新書・850円)。カワハギのことを瀬戸内の人間は「貧乏人のフグ」と呼んだ。しかし味はフグに比べて勝るとも劣らない。キモのおいしさときたら、これはもう例えようもない。

 3冊目は「科学する麻雀」(とつげき東北著・講談社現代新書・740円)。誰もが信じていた根拠なき経験則を、膨大なデータと執念の数値解析で覆す痛快さ。人は理性と知性によってしか真理に迫れないことを教えてくれる。

<この原稿は2005年1月20日付『日本経済新聞』夕刊に掲載されたものです>
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