JBCが、それまで未公認だったWBO、IBFを承認し、加盟したのは昨年4月のことである。これにより、日本もWBA、WBCと合わせて“4団体時代”に突入した。既にIBFでは高山勝成、亀田大毅、WBOでは亀田和毅が世界王座に就いている。

ボクシングサークル以外では、あまり知られていない話だが、団体間で世界戦のルールは微妙に異なる。たとえば計量。WBA、WBC、WBOは前日計量をパスすればOKだが、IBFは、それに加えて当日計量もクリアしなければならない。リミットから10ポンド(約4.5キロ)以上の増量が認められれば、チャンピオンは王座剥奪、チャレンジャーは挑戦資格を失う。

「あの時は大変でした」。そう語るのは明治ザバスの管理栄養士・村野あずさだ。今年4月、長谷川穂積がキコ・マルチネス(スペイン)に挑戦したIBFスーパーバンタム級タイトルマッチは、村野にとって冷や汗ものだった。

「長谷川選手は減量がラクではない。あの時はかなり水分を落としていたので、最初の食事で2、3キロ増えちゃったんです。結局、食事の後に半身浴をして、もう一度、水分を出しました。計量後の食事も、翌日(の計量)のことを考えると注意しなくてはいけない。精神的なストレスが大きかったと思います」

村野は暮れに2階級制覇を狙ってWBO世界スーパーフライ級王者オマール・ナルバエス(アルゼンチン)に挑戦する井上尚弥の栄養指導も行っている。一気に2つ階級を上げての複数階級制覇となれば、日本人では長谷川、亀田興毅、八重樫東に次いで4人目だ。

WBC世界戦のリングに2度立っている井上にとって、これまでとは勝手が違う点がある。WBCではスーパーバイザーとコミッションの許可があれば、ラウンド間の電解質飲料の摂取が認められていたが、WBOを含む他の3団体はNGなのだ。要するにスポーツドリンクはダメということである。その点を本人に質すと、「日本タイトルの試合などでは水だけだったので問題ない」と気丈に語っていた。

計量にしろ、ドリンクの問題にしろ、独自のルールを設定する団体には団体なりの論理と思惑がある。ダウン制や公開採点の有無なども異なる。しかしボクサーの側に立てばルールはできるだけ統一されていた方がありがたい。歩み寄れる部分もあるのではないか。

<この原稿は14年11月19日付『スポーツニッポン』に掲載されています>
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