メジャーリーグの第78回オールスターゲームが11日、サンフランシスコのAT&Tパークで行われた。試合はアメリカン・リーグが1点を追う5回、イチロー(マリナーズ)がオールスター史上初となるランニングホームラン(2ラン)で逆転に成功。その後もホームラン攻勢で得点を重ねたア・リーグが5−4で逃げ切った。MVPには本塁打を含め3安打を放ったイチローが輝いた。
ア・リーグ、球宴は10連勝アメリカン・リーグ 5 = 000021020ナショナル・リーグ 4 = 100001002
[ア] ハレン(アスレチックス)−○ベケット(レッドソックス)−サバシア(インディアンス)−バーランダー(タイガース)−サンタナ(ツインズ)−パペルボン(レッドソックス)−プッツ(マリナーズ)−Sロドリゲス(エンゼルス)
[ナ] ピービ(パドレス)−ペニー(ドジャース)−シーツ(ブルワーズ)−ハメルズ(フィリーズ)−●C.ヤング(パドレス)−コルデロ(ブルワーズ)−斎藤(ドジャース)−ワグナー(メッツ)−ホフマン(パドレス)
本塁打 [ア] イチロー(マリナーズ)2ラン、クロフォード(デビルレイズ)ソロ、マルティネス(インディアンス)2ラン
[ナ] ソリアーノ(カブス)2ラン
【イチロー成績】
3打数3安打
第1打席
右前安打第2打席
左前安打第3打席
ランニング本塁打 2打点
シーズン最多安打(262本)をはじめ、メジャー記録を塗り替えてきた男が、また歴史の1ページにその名を刻んだ。
オールスター7年連続出場のイチローは「1番・センター」で先発出場。初回、ナ・リーグ先発右腕のジェイク・ピービ(パドレス)の低めの直球をとらえ、ライト前にヒットを放つ。イチローにとっては2年ぶりの安打。過去6年間で15打数3安打、打率.200と相性のよくない球宴で幸先のよいスタートをきった。
勢いに乗ったイチローは3回に迎えた第2打席で技ありの一打をみせる。カウント2−2から、ベン・シーツ(ブルワーズ)の外角に落ちる変化球にうまくバットをのせた。地面にも届かんばかりのボールをすくい上げると、打球はレフトの前へポトリ。イチローにとってはオールスター初のマルチヒットをマークする。
そして、ファンを最も沸かせたのが5回の第3打席だった。この回からマウンドに上がったクリス・ヤング(パドレス)の初球、内角ストレートを振りぬいた。「打った瞬間、入ったと思った」と本人が語った打球はグングン右中間に伸びる。ところが右中間の広いAT&Tパークでスタンド越えはならず、ボールはフェンスを直撃。これが思わぬ方向に跳ね返り、ボールはライト方向に転がる。ライトが白球を追いかける間にイチローは一気に1塁から2塁、3塁とけって、悠々とホームベースを駆け抜けた。
78回のオールスター史上初となるインサイドパーク・ホームラン。日本人選手としても球宴初となる本塁打はイチローの魅力である打撃と足が合わせて堪能できる一打となった。7度目のミッドサマー・クラシックでイチローは猛打賞の働きをみせ、ベンチに退く。
イチローの逆転2ランでリードを奪ったア・リーグは6回にカール・クロフォード(デビルレイズ)のソロで1点を追加。8回にはビクトル・マルティネス(インディアンス)がレフトスタンドに2ランを叩き込んでリードを広げた。
しかし、引き分けを挟んでオールスター9連敗中のナ・リーグも意地をみせる。最終回、イチローの同僚、マリナーズの守護神J.J.プッツからアルフォンソ・ソリアーノ(カブス)がライトポール際に2ランを放ち1点差。なおも代わったフランシスコ・ロドリゲス(エンゼルス)を攻めたて、2死満塁のチャンスをつくる。逃げ切ればイチローのMVPが有力視されていただけにヒヤヒヤの展開だったが、最後はアーロン・ローワンド(フィリーズ)がライトフライを打ち上げて、ア・リーグがオールスター10連勝を達成した。
「やっぱり選手は結果を出さないとダメ。今回は6年間やってきた成果が出ているという喜びを感じられた」
文句なしのMVPに選ばれた背番号51はそう胸を張った。今季は松坂大輔、岡島秀樹(いずれもレッドソックス)、井川慶(ヤンキース)など、日本人ルーキーたちに注目が集まっている。イチローはリーグ2位の高打率をマークしながら、例年に比べると影が薄いことは否めない。
そんな中、年に1度の大舞台で存在を大きくアピールした。「日本の野球が着実に前に進んでいるんだなという実感がある」。前日の会見で岡島、斎藤の選出について感想を述べたイチローだったが、「3本(ヒットが)出たんじゃない、出しました(笑)」とおどけた姿に、日本の野球をリードするのは自分だという自負も感じられた。FAでオフの動向が注目されるメジャー屈指の安打製造機から、後半戦、ますます目が離せなくなることは間違いない。
<斎藤は1回三者凡退、岡島は登板なし> ロサンゼルス・ドジャースの斎藤隆はナ・リーグの7番手として7回に登板。日本人選手として6人目のオールスター出場を果たした。先頭のブライアン・ロバーツ(オリオールズ)に対して直球勝負を挑み、フルカウントからストレートでセカンドゴロに打ち取る。この日も速球の威力は十分で、次のホルヘ・ポサダ(ヤンキース)に対しては155キロのスピードボールを連発した。最後はポサダにスライダーを投じ、いい当たりだったがファーストライナー。続くトリー・ハンター(ツインズ)はスライダーで浅いレフトフライに仕留めた。斎藤は初の夢舞台を三者凡退で終え、ドジャースの守護神としての実力を披露した。
ア・リーグで「32人目の男」としてファン投票選出された岡島秀樹(レッドソックス)はブルペンで投球練習ををみせたが、出番なし。残念ながら祭典のマウンドに立つことは叶わなかった。
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