麻生太郎首相が誕生して、約1カ月。本会議場のひな壇に並ぶ内閣の顔ぶれこそ変わりましたが、中身はまったく変わっていません。すぐにでも実施されるだろうと思われた解散総選挙もいつになるか読めない状況です。
 就任以来、麻生首相の発言を聞いていて感じるのは、一国のトップらしからぬ“言葉の軽さ”です。解散を巡る言動にしても、「まず国民の審判を仰ぐのが最初の使命」との論文を執筆しながら、「いつ解散をやるなんてことは一切書いてない」と発言しました。確かに解散権は事実上、内閣に与えられた権限です。だからといって、その権限をもてあそぶように態度を明確にしない総理の姿勢は、国民のことを本当に考えているとは思えません。

 米国発の金融不安が押し寄せ、実体経済への悪影響が懸念される中、景気対策を優先しなくてはいけない事情があることは理解できます。また、支持率が期待していたほど伸びず、このままでは勝てないという“内向きの理由”もあるのでしょう。しかし、少なくとも総理自身が解散を決意していた以上、そのことに対する説明責任があるはずです。「解散時期についてのウソは許される」。永田町ではそんな常識があると聞きました。それは世間の非常識であることを忘れてはいけません。

 国会での答弁を聞いていても、総理は自分の言葉で答えようとしない態度が目立ちます。
「総理の見解を?」
「○○大臣が先程、答弁した通りです」
 こんな発言では、リーダーシップがないも同然です。前任の福田康夫首相は、その答弁内容には賛成できなかったとはいえ、自分なりの見解を述べようとする意思は感じられました。質問者である議員は、それぞれ多くの国民から一票を託されて仕事をしています。その質問をはぐらかすことは、国民をはぐらすこととイコールです。

「麻生がやりぬく」
 新総裁誕生に伴い、自民党のつくったキャッチコピーです。でも、現状は「麻生が逃げぬく」。こちらのほうがピッタリきています。「逃げぬく」ことができないよう、国会ではしっかり問題点を追及する。これが野党の仕事でしょう。

 ところが現状はちょっと違います。政府の出した補正予算が短期間の審議で成立したのをはじめ、昨年は海上自衛隊が一時、撤退に追い込まれるほど野党が抵抗したテロ対策特別措置法も衆議院を賛成多数で通過しました。結論からいけば、本会議であっさり採決しても、委員会で徹底的に追及しても、衆議院の「3分の2」再可決条項がある限り、法案は通ってしまいます。

 しかし、早期解散を促そうと野党がスピード審議に応じすぎるのも国会のチェック機能を放棄していると言われかねません。1年間延長したインド洋での給油活動に、いったいどんな成果があったのか。これ以上、活動を継続する意義はあるのか。昨年、与野党で大いに議論を戦わせたテーマはもう解決したのでしょうか。国会運営が選挙に向けての駆け引き道具にされていることに議員のひとりとしてジレンマを感じています。

 先日、宇和島のリアス式海岸を巡っていると、あるおばあさんに出会いました。僕があいさつをすると、こんなことを言われました。
「自民党と民主党、どっちに入れたらええんかわからん」
 これこそ多くの国民の本音かもしれません。果たして、このまま自民党中心の政権でいいのか、それとも政権交代を実現すべきなのか。有権者のみなさんに判断していただくためには、まず国会の場で与野党が深みのある議論をすることが大切です。それが結果的によい政策につながり、よい社会をつくることにつながります。

 いずれにしても解散総選挙はそう遠くないうちにやってきます。僕も今の日本をどう変えればいいのか、みなさんに本音で分かりやすく伝えていくつもりです。ぜひ、行く先々で僕を見かけたら、意見、提案、疑問なんでもぶつけてください。ぜひ、みなさんとともに、旧態依然とした政治の世界を変えていきましょう。


友近聡朗(ともちか・としろう):参議院議員
 1975年4月24日、愛媛県出身。南宇和高時代は全国高校サッカー選手権大会で2年時にベスト8入りを果たす。早稲田大学を卒業後、単身ドイツへ。SVGゲッティンゲンなどでプレーし、地域に密着したサッカークラブに感動する。帰国後は愛媛FCの中心選手として活躍し、06年にはJ2昇格を達成した。この年限りで現役を引退。愛称はズーパー(独語でsuperの意)。07年夏の参院選愛媛選挙区に出馬し、初当選を果たした。
>>友近としろう公式HP
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