
民主党の代表が鳩山由紀夫さんに代わり、2009年度補正予算案の審議も参議院でスタートしました。僕は予算委員会のメンバーではありませんが、国会対策副委員長として審議日程を調整する立場。審議の模様は常にチェックしています。
今回の補正予算案はご存知の通り、規模が15兆円。過去に例のない大型補正予算です。100年に1度の不況に対する緊急経済対策と政府はアピールしていますが、その中身は問題だらけ。国会での審議を聞けば聞くほど、これは「100年に1度のムダ遣い」だとの思いを強くしています。
たとえば話題になっているエコポイント制度。省エネ家電を購入するとポイントがつき、他の商品などと交換できるシステムになっています。電化製品の買い替えを促して景気を刺激するとともに、環境対策にも役立たせる。これが制度導入の目的です。
しかし、報道でも明らかなように、制度の細かい点はこれから詰める段階。既にエコポイント対象商品の販売が全国で始まっているにもかかわらず、大事な部分が何も決まっていません。そもそも省エネ商品に買い換えれば、エコにつながるとの発想には首をかしげる部分があります。買い替えで大量廃棄される家電が出てくることを考えれば、今あるものを大事に使うほうが、よっぽど環境対策になるでしょう。正直、“エコ”と聞こえのいいバルーンを上げただけという印象です。
さらに問題なのは小学校入学3年前までの子ども1人ずつに3万6000円を支払う「子育て応援特別手当」。こちらも少子化対策といえば聞こえはいいのですが、支給するのは今年度限り。子育ては今年だけで終わるものなのか、との疑問が沸いてきます。子育ては今年だろうが、来年だろうが、再来年だろうが、大変なのは一緒です。本気でお父さん、お母さんを支援する気があるのなら、単発的なバラ撒きではなく、恒常的な施策を考えるべきです。これでは少子化対策というより、自己満足の選挙対策と言わざるを得ないでしょう。
そして、もっとも納得がいかないのは、国民の生活に直接かかわりがないような分野に多額の予算が詰まれていることです。たとえば各省庁に使い道が委ねられる46基金には全体の約3割にあたる4兆3000万円がまわされます。政府は複数年度にまたがる施策のために資金を積み立てることが目的だと説明しています。しかし、その基金で実施する政策をみると緊急性、実効性のないものも少なくありません。
僕が委員会に所属している文教科学部門では3000億円の基金が独立行政法人の学術振興会に設立させる案が出ています。最先端の科学技術研究を支援することが主な目的です。国際競争力を高めるため、研究者をサポートすること自体に異論はありません。
とはいえ、今回の補正予算は緊急経済対策を主眼としたもの。趣旨とは少しズレているように感じます。政府が本当に研究支援が大事だと考えているなら本予算に組み込めば良かった内容です。そもそも、この案は経団連が政府へ提案した内容を丸呑みしたものと言われています。基金に組み込まれた研究者の海外派遣事業にしても短期留学を後押しするもので、どこまで現場のニーズに沿ったものかわかりません。
官僚の天下り先となる独立行政法人にも厚く予算が配分されています。施設の改築や修繕などの費用として計上されたのは、2.8兆円。本予算では6700億円の規模でしたから、わずか数カ月で施設が老朽化したのでしょうか(苦笑)。
現在、独立行政法人は整理、合理化が進められています。この先どうなるか分からない施設を新しくする発想が、どうして出てきたのか。そこには官僚の再就職先としての独立行政法人をなんとか残したいというメッセージがこめられているように思えてなりません。
このように今回の予算には、何でもいいから金額をつけたような項目が多すぎます。そこには「景気回復で日本をこんな国にしよう」というプランも、「実際に何が景気対策につながるのか」という視点も感じられません。15兆円のうち、約11兆円は赤字国債を発行して捻出します。多額の借金を背負いながら見返りは少なく、いずれは増税……。最悪のシナリオが透けてみえます。
国民のみなさんは本当にこんな政策を望んでいるのでしょうか。本来ならば、予算案の是非を問うために総選挙を実施してもいいような問題です。民主党が代表の進退で揺れていたこともあり、衆議院では予算案があっさり通ってしまいました。参議院では、そうはさせません。ここで徹底的に審議しなければ、議員をやっている資格はない。そのくらいの覚悟で政府、与党と対決していきたいと思っています。
友近聡朗(ともちか・としろう):参議院議員
1975年4月24日、愛媛県出身。南宇和高時代は全国高校サッカー選手権大会で2年時にベスト8入りを果たす。早稲田大学を卒業後、単身ドイツへ。SVGゲッティンゲンなどでプレーし、地域に密着したサッカークラブに感動する。帰国後は愛媛FCの中心選手として活躍し、06年にはJ2昇格を達成した。この年限りで現役を引退。愛称はズーパー(独語でsuperの意)。07年夏の参院選愛媛選挙区に出馬し、初当選を果たした。
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