二宮: 昨シーズンは大活躍でしたね。チームのクライマックスシリーズ進出に加え、個人でも打率.327で初の首位打者に輝きました。おめでとうございます。
鉄平: ありがとうございます。


二宮: さぞかし試合後の一杯もおいしかったでしょう?
鉄平: 実は、ここ数年シーズン中は禁酒をしているんです。お酒は基本的に好きなので、飲み始めるとついつい遅くなって、次の日に支障が出てしまう。中日時代は明け方まで盛り上がって、ほとんど寝ずに試合に出たこともありましたけどね(苦笑)。さすがにこれでは野球ができない。ですから今は我慢して、シーズンオフのお酒をとても楽しみにしています。

二宮: 今日は「ザ・プレミアム・モルツ」をたっぷり召し上がってください。
鉄平: おいしいので何杯でも飲めそうですね。いただきます!

 大切なのはバランスと間の取り方

二宮: 中日時代から「素質のある選手だな」と感じていたのですが、昨季、一気に開花した要因はどこにあったのでしょう?
鉄平: メンタル面が変わりました。以前は気持ちに左右されて調子の波が激しかったんです。いい時はいいけど、悪くなると全く打てなくなってしまう。それで考え込んでしまった。だから、昨シーズンからは発想を変えて、あまり考え込まないようにしたんです。自分がどういう状態であろうと、シンプルに要点だけを考えるようにしました。そうすると悩まなくなったんです。

二宮: その要点とは?
鉄平: 打撃のポイントですね。自分の場合ですと上半身と下半身のバランス、そして間の取り方。ここだけは毎日チェックするようにしました。

二宮: もう少し具体的に教えてください。
鉄平: まず上半身と下半身のバランスですが、打席でタイミングを取るときに上半身は後ろに残し、下半身は前に出す。つまり身体が割れた状態になることを意識しています。上半身が後ろに引っ張られるのを下半身が我慢して、下半身が前に引っ張られるのを上半身が抑える感覚ですね。この状態から、いざバットを振るときには上半身が前に出るのを下半身が抑える。上半身と下半身の動きを逆にするんです。

二宮: 体をねじらせ、その反発力をボールに伝えて飛ばすと?
鉄平: はい。上半身も下半身も同じ方向に動いてしまうと、体が前に突っ込んだり、後ろに残りすぎたりしてしまう。そうすると変化球にも対応できないんです。

二宮: では、もうひとつのポイント、「間の取り方」も教えてください。
鉄平: 打撃でよく言われる“間”とは足を上げたところから着地するまでのボールのとらえ方、つまり距離感のことを指しています。この“間”がうまくとれないと、きっちりボールをとらえることができない。当然、その日の調子や相手投手によってボールの見え方は違ってきます。ただ、右投手だろうが、左投手だろうが、オーバーハンドだろうかアンダースローだろうが、常にちょっと斜め上からボールを見ることを変えないように気をつけています。

二宮: なるほど。いい間をつくるにはボールを見る姿勢が重要だと?
鉄平: はい。目の位置が下がってくると状態は悪いですね。バットのヘッドも一緒に下がって球威に押されてしまいますから。同じ投手でもボールは曲がったり落ちたりしますし、高さもまちまち。その中で顔の位置を一定に保つことは難しいのですが、できるだけ変えないことで、ボールとの距離感がつかめやすくなるんです。

二宮: それは一流打者ならではの視点ですね。少年野球の指導者や選手にも参考になる話ではないでしょうか。この2つのポイントを昨シーズンから意識するようになったと?
鉄平: いえ、これまでも意識していたんです。ただ、今までは他のポイントも合わせて、いろいろ考えすぎて、自分の打撃を自分で分からなくしていました。それを昨シーズンはこの2点にチェック項目を絞ったことで重点的に取り組めた。それさえできていれば、結果が出なくてもあまり悩まなくなりました。

 原因不明の9打席連続三振

二宮: そんな鉄平さんも中日から楽天に移籍した1年目(2006年)には野手としては史上ワーストの9連続三振を記録しているんですよね。
鉄平: もう、あの時は全然、バットに当たらなかったですね。当てに行ってもファウルになるし、追い込まれると空振り……という状況が続きました。

二宮: それは、先程のボールを見る位置が狂っていたと?
鉄平: 何が原因なのかさえ、よくわからなかったですね。とにかく打てる気がしませんでした。実は打てなくなった前の試合に守備でダイビングキャッチをして首を痛め、ムチ打ちのような症状を起こしていたんです。おそらくそれが一番の原因ではないかと……。

二宮: 痛みもあって、自然とフォームが崩れたんでしょうね。
鉄平: とにかく首が動かない状態でしたからね。先程の上半身と下半身のバランスの話と関連しますが、スイングの瞬間に上半身と下半身がガッと逆の動きをしてくれないとメリハリがなくなってしまう。この点で首を痛めていると動きに制限が出るので、スイングスピードが出ないんですよ。

二宮: しかし、移籍1年目の打率は.303。9連続三振する最悪の状態からよく高打率をキープできましたね。
鉄平: 本当にそうですよね。9連続三振を挟んで26打席ノーヒットだったんですから……。移籍して最初の1年で結果を残せたことがひとつの自信になりました。

 チーム一練習熱心な男

二宮: 昨シーズンは夏場が非常に好調でした。8月は球団記録となる24試合連続ヒットを達成し、月間打率はなんと.402。月間MVPも受賞しました。鉄平さんの活躍とともにチームも浮上した。夏場には強いタイプですか?
鉄平: いや、それほど得意ではなかったです。昨年に関していえば、夏前に草野(大輔)さんと一緒に走りこみをした。それで体のキレとスタミナが持続できたように思います。疲れが溜まっている時期に走るのはつらいですけど、何日か繰り返すとただ休むよりも体が軽くなる。
(写真:対談1週間後(12月27日)が鉄平選手の誕生日だったため、ケーキをプレゼント)

二宮: 前監督の野村克也さんも言っていましたよ。チーム一練習熱心だと。
鉄平: チーム一かどうかはわからないですけど……。これまでは今日打てなかった理由を考えて、試合後によく練習していました。たとえ練習できなくても「何で打てなかったんだろう」とずっと頭で考えて、翌日は自分なりに形を変えて試したり……。でも先程、話したポイントが絞れていなかったので、途中で何をやっているのか分からなくなってしまうこともありました。そうなると、どんどん頭の中がグチャグチャになる。完全な悪循環に陥っていましたね。昨シーズンはどちらかといえば量よりも内容にこだわっていました。毎日、練習はしましたが量だけならもっと多い選手はいるはずです。

二宮: 今まで、さまざまな打者を取材してきましたが、打撃開眼すると普通の人とは異なる境地に至るようです。たとえば川上哲治さんなら「ボールが止まって見える」とか、掛布雅之さんなら「打つ前から打球の行方が分かる」とか。鉄平さんの場合はいかがですか?
鉄平: 調子のいい時は、ボールが大きくなった感じがして、それこそ縫い目までくっきり見えます。フォークボールだと回転がかかっていないので、縫い目がそのまま見えたり、シュートなのか、スライダーなのか軌道もはっきりと見えます。

二宮: 似たようなことを横浜の内川聖一選手も言っていましたね。射撃のスコープで獲物をとらえるように、ピューッとボールに焦点が合って、はっきり大きく見えると。そのような感覚でしょうか?
鉄平: はい。ボールが自分の振ろうとしていたところといいますか、振りたいところに来ますね。ボールが逆に吸い寄ってくる感じがします。一方、調子が悪くなると、まったくボールは見えません(苦笑)。

二宮: 先程、チームメイトの草野選手と走りこみをした話が出ましたが、春先は草野選手の調子がよかったですよね。そのまま首位打者を獲りそうな勢いでした。よい刺激になったのでは?
鉄平: それはありましたね。「あ、草野さん、また打ったな。僕も打たないと」って。バッティング自体、参考にしている部分も多いです。

二宮: 野村さんは草野選手を「天才」と評していましたが、同じ左打者として学ぶべきところは?
鉄平: ゆっくりタイミングをとって、長くボールを見られるところが素晴らしいですね。そして手先が強い。リストワークが柔らかくて、低目の変化球にもしっかり対応できる。

二宮: 打撃の奥義はつかみかけてきましたか?
鉄平: いえいえ、まだそのレベルには(笑)。ただ、昨シーズンのような感覚をずっと持ち続けることができれば、首位打者は分かりませんが、そこそこ打てる自信はつかめました。でも、こういった感覚はすぐになくなってしまいます。バッティングは水ものなので、維持するのが難しい。その点、今シーズンは不安といえば不安ですよね。感覚を忘れないうちに早くシーズンが始まってほしいという気持ちもあります。

(後編につづく)


<鉄平(てっぺい)プロフィール>
1982年12月27日、大分県出身。右投左打の外野手。本名は土谷鉄平。津久見高時代は甲子園の出場経験はなかったが、通算打率.551、32本塁打をマークし、“九州のイチロー”と呼ばれる。01年ドラフト5位で中日へ入団。04年にはファーム日本選手権ではMVPを獲得する。06年より楽天に移籍。103試合に出場し、打率.303を残してチームの主力に躍り出る。09年はいずれも自己最高となる打率.327、12本塁打、76打点の好成績で初の首位打者、ベストナインを獲得。3番打者として球団創設初のクライマックスシリーズ出場に大きく貢献した。昨季までの通算成績は打率.287、29本塁打、209打点。
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(構成:石田洋之)
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