このコーナーでもたびたび取り上げてきたスポーツ基本法が、今国会の成立に向けて大きく前進しました。超党派でつくるスポーツ議員連盟で法案のとりまとめ作業が完了し、27日、総会で了承されたのです。国会議員になって約4年、ずっと取り組んできた仕事がようやく実を結びそうです。
 今回の法案では「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことはすべての人々の権利」という考え方の下、トップアスリートによる競技スポーツのみならず、誰もが楽しめる地域スポーツにも軸足を定めた内容になっています。

 前文は「スポーツは世界共通の人類の文化である」との書き出しから始まります。スポーツの役割、意義について触れ、「スポーツ立国の実現を目指し、国家戦略として、スポーツに関する施策を総合的かつ計画的に推進するため」と基本法制定の目的を書いています。

 法案では基本理念として以下の8つを掲げています。
1.自主的、自立的なスポーツ活動
2.学校、スポーツ団体、家庭、地域の相互連携
3.人々の交流促進、地域間の交流の基盤整備
4.スポーツを行う者の心身の健康の保持増進、安全の確保
5.障害者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるようにするための配慮
6.競技水準の向上に資する諸施策相互の有機的な連携、効果的な実施
7.国際相互理解の増進、国際平和への寄与
8.スポーツに対する国民の幅広い理解、支援

 これを踏まえる形で「スポーツ基本計画」を定めることを明記し、「スポーツ推進のための基礎的条件の整備」「地域スポーツの推進」「競技スポーツの推進」の3つの観点から基本的施策を盛り込みました。

 またスポーツ推進に係る体制として「スポーツ推進会議」を設けることや、スポーツ振興事業に対する国の補助についても定めました。多くのスポーツ関係者からあがっていたスポーツ庁の設置については、政府の行政改革の流れに配慮し、附則で触れるかたちに留めています。

 このスポーツ基本法は2009年の解散総選挙前に当時の与党だった自民党と公明党が法案を提出していました。今回は民主党内でたたき台となるものをまとめ、超党派のスポーツ議連で何回も会合を開き、内容を練っていきました。また、スポーツ団体の幹部や学者、元選手からなるアドバイザリーボードからも意見をヒアリングしています。

 最初に提出されていた自公案は競技水準の向上に関する項目が多く、トップレベルの部分に重きを置いた内容になっていました。また「スポーツ」そのものではなく、「スポーツに関する施策」が主語になっていたり、「スポーツ」と「体育」の違いがあいまいだったりと、修正すべき点がありました。民主党案では、底辺部分も重視し、基本的施策でも競技水準の向上より、「スポーツの推進のための基礎的条件の整備」や「多様なスポーツの機会の確保のための環境の整備」といった条文が先に列挙されています。

 各党ともスポーツを振興しようというスタンスは一緒でも、そこへのアプローチは考え方が微妙に異なります。民主党案では選手や指導者、スポーツ団体の役員などからなるスポーツ推進協議会を置き、現場の意見を施策に反映することを明記していたのですが、行政のスリム化などの観点から新たな組織に難色を示す党もあり、スポーツ庁同様、今後の検討課題として付記される形になりました。他にも、どの党にも受け入れてもらえるよう削除、追加が入り、細かい言葉づかいや文言の調整で苦労しました。

 ただ、議論を重ねる中で、スポーツ政策を進める上での共通理解が国会内でできたように感じています。100点満点とは言えなくても、21世紀の日本のスポーツ界において大きな一歩を踏み出せる内容になったのではないでしょうか。

 法案は議員立法として、近日中に国会に提出する予定です。野党による内閣不信任案提出の動きもあるため、状況は予断を許しませんが、何とか今国会での成立を目指したいものです。震災対応ですら、なかなか与野党の足並みが揃わない中、この時期に超党派でひとつの方向性を打ち出せたことは意義深いと感じています。各党のパスがつながって、ようやくゴール前まで運んだ法案です。しっかり決めて、日本のスポーツを前へと進めたいと強く思っています。 


友近聡朗(ともちか・としろう):参議院議員
 1975年4月24日、愛媛県出身。南宇和高時代は全国高校サッカー選手権大会で2年時にベスト8入りを果たす。早稲田大学を卒業後、単身ドイツへ。SVGゲッティンゲンなどでプレーし、地域に密着したサッカークラブに感動する。帰国後は愛媛FCの中心選手として活躍し、06年にはJ2昇格を達成した。この年限りで現役を引退。愛称はズーパー(独語でsuperの意)。07年夏の参院選愛媛選挙区に出馬し、初当選を果たした。
>>友近としろう公式HP
◎バックナンバーはこちらから