ダルビッシュ有も黒田博樹もイチローも青木宣親も、来春のWBC出場辞退を相次いで表明した。どうやら山本浩二監督率いる侍ジャパンのメンバーは国内組が中心となり、ドリームチームには程遠い代表となりそうだ。18日まで行われた侍ジャパンマッチ(対キューバ戦)で球場の盛り上がりがいまひとつだったように、世間的にも「今回はあまり期待できなさそう」という空気が広がっている。
 主力のメジャーリーガーが相次いで辞退を表明するような大会の是非はともかくとして、東京ヤクルトのファンにとっては、侍ジャパン以外の部分でも楽しめるWBCとなりそうだ。

 まず現在、予選で快進撃を見せているブラジル代表には、松元ユウイチ、ラファエル・フェルナンデス、金伏ウーゴの3選手が名を連ねている。残念ながら今季限りで戦力外となってしまった曲尾マイケや、1999年から5年間在籍したツギオ佐藤もブラジル代表だ。

 予選初戦では現役メジャーリーガーを擁するパナマ相手に3−2と接戦を制す番狂わせを起こした。4番のツギオが3打数1安打、5番のユウイチは4打数1安打だった。2回戦でもコロンビアを破り、日本時間20日に敗者復活から勝ち上がったパナマを下せば、本戦出場が決まる。

 既に本大会出場を決めているチームではオランダ代表に主砲のウラディミール・バレンティンが選ばれ、オーランド・ロマンがプエルトリコ代表に選出されている。もしブラジルが出場を決めれば、所属5選手がWBCの舞台でプレーすることになるのだ。

 もしかしたら本戦でフェルナンデスvs.バレンティン、ロマンvs.ユウイチというスワローズ対決が世界大会で見られるかもしれない。それだけでも燕党にとっては興味が増す話だ。

 問題は肝心の侍ジャパンに何名選ばれるか。今回のキューバ戦では村中恭兵、中村悠平と若いバッテリーが代表のユニホームを着たが、本戦でもそのまま選ばれる可能性は高くなさそうだ。現状、最も有力なのは館山昌平か。サイド気味の変則投法は初顔合わせの外国人は慣れないはずだ。WBCは球数制限があるため、長いイニングを投げられるリリーフ投手は必要不可欠。その点、先発、抑えの両方を経験している右腕は十分、代表の戦力になりうる。

 もうひとりはキャッチャーの相川亮二だろう。2004年のアテネ五輪、06年のWBCと国際大会は経験済。いずれも控えキャッチャーだったが、裏方としてチームに尽くす姿勢は高く評価されていた。今回もキャッチャーは阿部慎之助が文字通り扇の要として代表を引っ張るかたちになりそうだが、彼も足に不安を抱えている。バックアップ要員として実績のある選手は必要になるだろう。

 ただ、残念なのは、内野手、外野手で代表に入りそうな期待を抱かせる選手が少ないことだ。内野の要として大ベテラン宮本慎也が代表入りする可能性はゼロではないが、中堅、若手で侍ジャパンのメンバーに加わりそうな名前が挙がってこない。

「国際大会の緊張感は、日本シリーズや普通のレギュラーシーズンとはまた違う」
 WBCや五輪に参加した選手たちは異口同音にそう話す。11年間、優勝に見放されたチームはクライマックスシリーズを除き、しびれるようなゲームを体感する機会が少なくなっている。たとえレギュラーで出られなくても、WBCの雰囲気を味わうだけでも、その後のシーズンにプラスになるはずだ。外国の代表では所属選手が躍動する一方で、日本代表は燕戦士の影が薄い……という事態が今後も続かないためにも、次世代を担う中心選手の育成は急務である。

(次回は12月3日に更新します)

(石田洋之)
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