福岡ソフトバンクの新監督・工藤公康は「報道ステーション」のキャスターを務めていたこともあり、若いファンの間には爽やかなイメージが浸透している。
 球場でも笑顔を絶やさず、選手を呼び捨てにはしない。メディアの評判も上々だ。


 その工藤が「ざまあみろ!」と叫んだからファンはびっくりした。

 事の発端は4月3日、敵地での埼玉西武戦。1点を追う8回1死一塁の場面で、5番・李大浩の打球はセンターへ。これを秋山翔吾がスライディングしてグラブにおさめようとした。三塁塁審は捕球アウトと判定したが、一塁塁審はワンバウンドキャッチの判定。最終的には一塁塁審の判定が採用され、一塁に戻っていた一塁走者の内川聖一は二塁でアウトになった。

 さぁ、工藤は怒った。2人の塁審のジャッジが食い違っていたら、選手はどちらを信じていいのかわからない。抗議は当然である。
 指揮官の怒りが伝わったのか、2死満塁から高谷裕亮のタイムリー二塁打が飛び出す。余程、うれしかったのだろう。新監督の口から、先の5文字が飛び出してしまった。

 試合後、報道陣に、この“非紳士的発言”について聞かれた工藤はあっさりと事実を認め、バツの悪そうな表情を浮かべたという。

 それでこそ、工藤だ。

 というより、元々、彼はヤンチャで鳴らした男である。紳士然としている今の姿に、むしろ違和感を覚える者は少なくないだろう。
 西武時代は試合が終わると後輩の渡辺久信やデーブ大久保(博元)を誘って新宿の繁華街に繰り出すのが常だった。

 当時を知る者によると、空が白むまで飲みまくっていた。
 他球団の先輩の中には、派手に遊びまくる工藤を苦々しい思いで見ている者もいた。

 そのひとりが、現ソフトバンクコーチの佐藤義則だ。
「彼がまだ若い頃かな、オフのテレビ番組の企画でゴルフをした時、バスに遅れて乗って来たことがあった。新人類なんて言われて、ちゃらんぽらんなことをやっているように映った。
 ところが、オレが引退する時には花束が届いた。急にしっかりし始めたんだ。人間というものは変われば変わるものだと感心しましたよ」

 さしずめ今の私は次のような心境だ。
 ♪あなたは あなたのままで 変わらずにいて下さい
 そのままで(風の『22才の別れ』より)

 もうそろそろ、カミシモを脱いでもいいのではないか。

<この原稿は2015年5月8日号『週刊漫画ゴラク』に掲載されたものです>


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