「リオの風」は、株式会社アライヴンとのタイアップコーナーです。来年のリオデジャネイロ五輪、パラリンピックや国際大会を目指すアスリートを毎回招き、アライヴンの大井康之代表との対談を行っています。各競技の魅力や、アライヴンが取り扱うインヴェル製品を使ってみての感想、大舞台にかける思いまで、たっぷりと伺います。
今回は、グランドスラムをはじめ、ワールドツアーを転戦中のプロテニスプレーヤー添田豪選手の登場です。
 ジョコビッチ、錦織、強さの秘密

大井: テニスでは、ボールが常に違うところに飛んでくるだけに、瞬時の判断力が重要だと思います。そういった能力を高めるために、どんなトレーニングをしているのですか。
添田: トレーニングというよりも、練習や試合の中で相手と駆け引きをしながら、自分でつかんでいくものだと思います。相手とラリーをしていくうちに、ここが苦手だから攻めていこうと判断してプレーしていますね。

大井: そういった感覚はテニスを始めた頃からあったのでしょうか。
添田: そうですね。たとえば錦織(圭)や、世界ランキング1位の(ノバク・)ジョコビッチのプレーは、僕たち同じプロが見ても勉強になります。強い選手であればあるほど、状況判断や試合を読む力が優れているんです。そして、悪い点があれば、すぐに修正する。切り替えがうまく、いち早く改善できるからこそ負けないんです。

――強い選手は勝負どころを逃しませんね。
添田: 錦織はもちろん、ランキング上位の選手は勝負強いです。大事なところで、しっかり勝負を仕掛けられる。

――その勝負の分かれ目で、各選手がどんなプレーを見せるのか。ここがテニス観戦の見どころと言えるかもしれません。
添田: 試合では重要なポイントがあります。たとえばブレークポイントを迎えた時は、サーバーもレシーバーもお互いの集中力がグッと高まる。そこで硬くなってミスをする選手もいれば、いいサーブが入ったり、スーパーショットを打つ選手もいる。そういう部分をしっかり観てほしいですね。

大井: そこまで観られるとおもしろいでしょうね。テニスでは実力はもちろん、試合の流れをうまくつかむことが大事ではないでしょうか。
添田: そうですね。僕の考えでは試合までの準備によっても、流れは変わってくる。マイナスのことを考えていると、自分から負のエネルギーが出てしまうんです。それが勝ちを遠ざける結果になると思っています。

大井: では、普段からマイナス思考にはならない?
添田: 思考はもちろん、怒りの感情も抑えるようにしています。たとえ嫌なことがあったとしてもプラスにとらえる。感情をコントロールすることが試合で勝つためには重要です。

 質の高い睡眠でパフォーマンス向上

大井: とはいえ、感情をコントロールするのは簡単ではないですよね。
添田: はい。なのでテニス以外のプライベートの時間は良いものを食べたり、良い本を読む。大きな大会だと、会場の雰囲気にのまれて試合で硬くなってしまうので、心を落ち着かせるように心がけています。

大井: 良い本とは具体的にどんなものでしょうか。
添田: スポーツ選手の書いた本はよく読みます。野球選手やサッカー選手が試合に対して、どんな考え方で臨んでいるのかを参考にしていますね。

大井: リラックスするためにどんなことをしますか。
添田: 遠征先でもホテルに帰ったら、テニスからなるべく離れるようにします。テニスのニュースや映像は見ないようにして、本を読んだり、映画を観る。気持ちをうまく切り替えられた時には練習も試合も、いい調子で臨めています。

大井: 切り替えをうまくする上でも、日々の睡眠が大切です。質のいい睡眠をとることで、テニスのコートインの確率が42%上昇するというデータもあります。
添田: 42%も!? それだけアップしたら、世界が変わりますよ。

大井: ある世界的なトップ選手は1日12時間、ぐっすり眠ることで体の機能を高めているそうです。良い睡眠を続けることで、筋肉のつくりが良くなるそうですよ。
添田: 僕は8時間くらいですね。本当はもう少し寝たいのですが、次の日に眠れなくなりそうなので……。

大井: しっかり睡眠をとる上でインヴェルのリチャージスリムがおすすめです。飛行機の座席にも敷けるので、長時間のフライトでも活用できます。アイマスクも合わせて使うと、後頭部まで包み込む形状ですから、頭がすっきりリラックスするはずです。
添田: 僕は腰の状態があまり良くないことが多いので、寝る時にこういうものがあると助かります。ベテランになってきて、いかに長く続けられるかも年齢とともに重要なテーマです。睡眠には気をつけていましたが、その重要性が改めてわかりました。

 重要なコーチとの相性

――テニスを始めたきっかけは?
添田: 母親に勧められました。サッカーもやっていましたが、小学5年の時にテニスの方が自分に向いていると思ったんです。

――プロ選手になりたいと思ったのは?
添田: 当時から、プロに「なりたい」ではなく「なれる」と思っていました。常に自信過剰でしたね(笑)。

大井: 今、コーチから重点的に指導をうけていることは何でしょうか。
添田: コーチはイタリア人のダビデ・サンギネッティ。現役時代はウィンブルドンでベスト8の実績もあります。現状の僕の課題は2つ。ひとつはサービスのスピードだけでなく、精度を上げること。もうひとつは攻撃的にプレーすること。この2つをコーチと一緒に取り組んでいます。

大井: コーチからよくかけられる言葉は?
添田: 日本語で「攻めろ」「動け」「一本集中」と言われます。プレーしていると、ついつい基本を忘れがちになってしまう。シンプルな言葉で、それを徹底させてくれるので助かっています。

大井: コーチとの相性も大事でしょうね。
添田: 相性が悪いと1、2週間で別れてしまうケースもあります。僕の場合は、今のコーチと組んで4年になります。細かくあれこれ言わず、必要なポイントを的確に指摘してくれるところがわかりやすい。彼のおかげで勝ち切れるようになり、ランキングも100位以内に入ることができました。

――プロ選手は自らを高めるために、コーチやトレーナーと契約しています。トレーナーとは、どのような点を重視して体づくりをしているのでしょうか。
添田: 年齢とともに疲労から痛みが出やすいので、今はケアにかなりの時間を割いています。トレーナー任せにせず、自分でも気をつけていますね。

 ランキング60位以内で再び五輪へ

――ラケットも他の選手とは違うこだわりがあるのでは?
添田: 市販より長くて、重いラケットを使っています。重いラケットを使うことでパワーが出る。振りにくくなるので最初は扱いにくいのですが、その分、当たった時にはスピードが増します。

――コートの種類や状態によってもラケットは使い分けると?
添田: 形状は同じですが、ガットの締め具合は変えますね。この前のウィンブルドンではガットを少し緩くしていました。ちょっと緩い方がボールは飛びやすいので、芝生だと有利になると思ったんです。

大井: ラケットは1試合で何本くらい用意するのですか。
添田: 6本持って行きますね。1本1本、ガットのテンションは少しずつ変えています。ボールが試合中に何回か変わるので、新しくなるとボールが飛びやすくなる。その時は少しガットが硬いラケットに替えます。フィーリングが合わない時も替えますし、ガットが切れちゃった場合も交換します。

大井: 来年はリオデジャネイロ五輪が開かれます。出場への条件は?
添田: 世界ランキングで60位以内に入ることが求められます。ランキングは大会ごとに毎週変動するので、結果を残し続けないと順位を上げることができません。

――ウィンブルドンは「小さい頃からの憧れの大会」と話していましたが、やはり他とは雰囲気が違いますか。
添田: 違いますね。言葉にするのは難しいのですが、実際に会場に行ってコートに立ってみると独特のものがある。長い歴史の中で、選ばれた人しか立てないという空気感が強い。その中でプレーすることでパワーをもらえるんです。

――結果は初戦敗退と残念な結果でしたが、どう自己分析していますか。
添田: 敗れはしましたが、久しぶりに強い相手といい試合ができました。持ち帰れたものは大きかったです。ここから今後のグランドスラムやリオ五輪に向けて、どう上がっていくか、ヒントを見つけられました。今後も日々、努力をして試合で結果を出していきたいと思っています。

(おわり)

添田豪(そえだ・ごう)
1984年9月5日、神奈川県出身。4歳でテニスを始め、全国中学生テニス選手権シングルス優勝。藤沢翔陵高2年時にはインターハイでシングルス、ダブルスの2冠を達成。卒業後、2003年にプロ転向し、08、09年の全日本選手権を連覇。07年、全豪オープンで4大大会初の本戦出場を果たす。12年にはウィンブルドンで初勝利を挙げ、その年、自己最高の世界ランク47位に浮上。ロンドン五輪にも日本代表で出場する。13年は全豪とウィンブルドンで2回戦進出。同年9月のデビスカップワールドグループ入れ替え戦(プレーオフ)では日本のワールドグループ復帰に貢献。14年2月には史上初の同グループベスト8進出を決めた。15年も全豪、全仏、ウィンブルドンと本戦出場。5月のルコック・ソウル・オープンで今季初勝利。身長180センチ。

(写真/金澤智康、進行役・構成/石田洋之)
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