
11月1日、さいたまスーパーアリーナで「戦極〜第六陣〜」が開催され、ライト級ワンマッチに登場した五味隆典 (久我山ラスカルジム)は セルゲイ・ゴリアエフ(TEAM BUSHIDO)に判定2−1で敗れた。また、この日行われたグランプリファイナルでは、ライト級で北岡悟(パンクラスism)、ミドル級でジョルジ・サンチアゴ(アメリカン・トップチーム)がそれぞれ優勝した。
(写真:判定結果に肩を落とす五味) タイトルマッチの調整試合。五味にとってゴリアエフ戦は、勝って当然の試合のはずだった。
1ラウンド、ムエタイロシア王者のジャブが冴える。キレとスピードがある左で五味を近寄らせない。「スタンドで倒す」と宣言した五味だが、グラウンド勝負に切り替えるざるを得なかった。それでもゴング間際には腕十字を極めかけるおしい場面をつくった。
続く2ラウンド、衝撃の瞬間が訪れる。スタンドでのパンチの応酬のなかで、ゴリアエフの左フックが顔面をとらえ、五味は崩れ落ちた。さらに、その際、ヒザを痛めてしまう。五味はロシア人の猛攻をなんとか凌ぐが、足取りは明らかにおかしかった。
迎えた最終ラウンド、五味が意地をみせる。フットワークはおぼつかないが、それでもプレスをかけ続け、迫力あるパンチでムエタイ王者を圧倒した。しかし、2ラウンドに失ったポイントを取り返すには至らず、ジャッジの判定は2−1。PRIDEライト級王者は約2年半ぶりの黒星を喫した。
五味は「試合を止められてもおかしくないぐらいの攻撃を受けたのでしょうがない」と判定結果を受け止めた。そして、「いいクスリです」と反省し、タイトルマッチへ気持ちを切り替えた。
その五味と戦極初代ライト級のベルトをかけて激突するのは、グランプリを制した北岡だ。
北岡は光岡映二(和術慧舟會RJW)との準決勝をわずか76秒で終わらせた。相手を持ち上げてテイクダウンしてからの、流れるようなヒールホールド。“パンクラスの寝技師”が3戦連続の秒殺一本で決勝にコマを進めた。
もうひとつの準決勝は横田一則(GRABAKA)対廣田瑞人(GUTSMAN・修斗道場)。ストライカー同士の一戦は、相手を警戒してか両者踏み込めず、動きの少ない試合になった。それでも試合を優勢に進めた横田が判定で勝利を掴んだ。
秒殺一本で終えた北岡と15分戦い抜いた横田。日本人ファイターが激突した決勝は、スタミナが勝負を分けた。北岡は序盤からタックルを仕掛け、積極的に足を取りにいく。2ラウンドにはサイドポジションを奪い、細かいパンチを顔面に落としてダメージを蓄積させた。横田に自慢のパンチを放ち続ける力は残っていなかったが、なんとかフルラウンドを戦い抜いた。判定は3−0で北岡。アグレッシブに攻め続けて、流れを一度も離さない完勝だった。

試合後、北岡は「攻める気持ちを持ち続けてやれたので合格点。これで戦極を代表する選手になれた」と満足気な表情を浮かべた。しかし、北岡が得たのは賞金500万円とメダル。チャンピオンベルトはタイトルマッチの勝者が巻く。「今の五味選手より、自分の方がきついことをやっている。試合でも練習でも」。北岡はライト級グランプリ覇者のプライドを胸に1月4日のリングに上がる。
(写真:関係者への感謝の言葉を繰り返した北岡) 迎え撃つ五味は「一番やりにくい相手」と北岡のグラップリグを評価した。しかし、「やればわかるよ」と自分の勝利を信じて疑わない。ライト級の第一人者として連敗は許されない状況だ。
ライト級と併せて行われたミドル級グランプリではサンチアゴが決勝で中村和裕(吉田道場)をKOで下し、頂点に立った。
サンチアゴは準決勝でシアー・バハドゥルザダ(ゴールデン・グローリー)をわずか70秒で仕留める。あっという間の秒殺劇で無傷で決勝に勝ち進んだ。
逆ブロックの準決勝は、中村が佐々木有生(GABAKA)を判定3−0で下した。実力者同士激突で試合は膠着状態が続いたが、スタンドでの打撃戦に分があった中村に軍配が上がった。

迎えた決勝は中村が優勢に進める。スタンドでの打ち合いを押し気味に展開し、テイクダウンしてからグラウンドでも先手をとった。しかし、3ラウンドに入り、中村のスタミナが切れて動きが鈍くなった時に悲劇が起きた。サンチアゴは左から右のコンビネーションをクリーンヒットさせ、中村が崩れた落ちたところをパウンドで押し潰した。3ラウンド49秒、衝撃の失神KO。中村は救急車で病院に運ばれた。
(写真:パウンドで中村を葬ったサンチアゴ)「思っていた通りの展開になった。中村の顔が疲れていたのでいけると思った」と喜んだサンチアゴ。しかし、「なぜベルトがもらえないのか理解できない」と不満も口にした。ミドル級のベルトを巻くには三崎和雄(GRABAKA)とのタイトルマッチに勝利しなければならない。三崎戦については、「ずっと三崎と試合したいと思っていた。今夜にでも戦える」と余裕の発言。戦極4戦連続KO・一本勝ちと波に乗るブラジル人は三崎をも飲み込んでしまうのか。
秒殺とフルラウンド戦っての判定決着。ライト級、ミドル級ともに準決勝を無傷で終えたファイターがグランプリを制した。ニューイヤーイベントで北岡は五味と、サンチアゴは三崎とチャンピオンベルトをかけたタイトルマッチに臨む。五味、三崎は、トーナメントを免除された立場なだけに、圧倒的な強さを見せての勝利が求められる。すべての答えは1月4日、さいたまスーパーアリーナで出る。
<第1試合>※ミドル級グランプリシリーズ2008セミファイナル
○ジョルジ・サンチアゴ(アメリカン・トップチーム)
1R1分10秒 TKO(ヒールホールド)
×シアー・バハドゥルザダ(ゴールデン・グローリー)
<第2試合>※ミドル級グランプリシリーズ2008セミファイナル
○中村和裕(吉田道場)
3R判定 3−0
×佐々木有己(GRABAKA)
<第3試合>※ライト級グランプリシリーズ2008セミファイナル
○横田一則(GRABAKA)
3R判定 3−0
×廣田瑞人(GUTSMAN・修斗道場)
<第4試合>※ライト級グランプリシリーズ2008セミファイナル
○北岡悟(パンクラスism)
1R1分16秒 TO(ヒールホールド)
×光岡映二(和術慧舟會RJW)
<第5試合>※ミドル級グランプリシリーズ2008リザーブマッチ
○ジョー・ドークセン(チーム・エクストリーム)
3R4分13秒 TKO(レフェリーストップ)
×竹内出(SKアブソリュート)
<第6試合>※ライト級グランプリシリーズ2008リザーブマッチ
○ホルヘ・マスヴィダル(アメリカン・トップチーム)
3R判定 3−0
×ハン・スーファン(CMA KOREA)
<第7試合>※ライトヘビー級ワンマッチ
○アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ)(チーム・ノゲイラ)
3R判定 3−0
×モイス・リンボン(ヨーロッパ・トップチーム)
<第8試合>※ライトヘビー級ワンマッチ
○キング・モー(チーム・クエスト)
3R41秒 TKO(レフェリーストップ)
×ファビオ・シウバ(シュート・ボクセ・アカデミー)
<第9試合>※ライト級ワンマッチ
○セルゲイ・ゴリアエフ(MMA BUSHIDO)
3R判定 2−1
×五味隆典(久我山ラスカルジム)
<第10試合>※ミドル級グランプリシリーズ2008ファイナル
○ジョルジ・サンチアゴ(アメリカン・トップチーム)
3R49秒 KO
×中村和裕(吉田道場)
<第11試合>※ライト級グランプリシリーズ2008ファイナル
○北岡悟(パンクラスism)
3R判定 3−0
×横田一則(GRABAKA)