28日に開催されたプロボクシングの試合で、期待の19歳・知念健太(ピューマ渡久地ジム)がデビュー戦を白星で飾った。ライト級の知念は立ち上がりから優位に試合を運び、3−0の判定で過去11戦5勝(3KO)6敗のタイガー森町(相模原ヨネクラジム)を下した。知念は沖縄尚学高校時代、インターハイで準優勝し、アマ全日本ランキング1位の実績を持つ。将来性豊かなボクサーがプロでの第1歩を華麗に踏み出した。
(写真:積極的に攻めた知念)
「今日の点数は20点くらいですかね。反省点はたくさんあって言い切れない」
 勝利後の控え室、デビュー戦の自己採点は厳しかった。

 中神孝二トレーナーの試合前の指示はただひとつ。「自分の力を全部出せ!」。その言葉通り、知念は1Rから前に出た。左のジャブからワンツーを繰り出し、相手をロープ際に追い込む。「リズムがいい。当て勘を持っている」とトレーナーが評するように、軽快な動きで早くも主導権を握った。

「緊張はしなかった。倒す勢いでいった」と攻める知念にアクシデントが起こったのは2R。右の拳を痛め、左手1本でのファイトを余儀なくされる。「左のジャブだけになったので焦りました」。それでもアマチュアで全国の舞台を何度も踏んだだけに、慌てたところはなかった。狙いを相手の顔面に定め、3Rには左のカウンターでぐらつかせるシーンもあった。

 課題が見えたのは、高校では未経験の4R以降の戦い方か。本人曰く「頭が当たって痛くて、ちょっと動きが止まりました」とのことだったが、明らかに3Rまでの勢いとは動きが違った。リズミカルなパンチと、時折みせる連打は観客を沸かせたものの、うまくクリンチに逃れる相手を仕留めきれなかった。

「もう少しアグレッシブに動いて、手数を出して崩していけば楽に勝てた。アマチュアで経験していない6Rだったから、きついところがあったのかな」
 中神トレーナーはスタミナ不足を一番の課題に挙げた。

 沖縄からやってきた19歳が目指すのは、当然ながら「相手を倒すボクシング」だ。そのためには、相手をより上回るスピードを磨き、手数を増やすことが大切になる。「バーッと相手を落としこめるようなパンチの手数、そして強弱。とりあえずデビュー戦が終わったので、更に進化するためにも身近な課題をひとつずつクリアさせていきたい」。中神トレーナーも次のステップを見据えている。
(写真:試合後、あどけない表情で痛めた右手をみせる)

 同郷の渡久地隆人会長は現役時代、ピューマ渡久地の名前で鬼塚勝也(元WBA世界スーパーフライ級王者)、辰吉丈一郎(元WBC世界バンタム級王者)と並び、平成の三羽烏と称された。インターハイで準優勝し、プロ入りした経歴は知念と同じだ。その後、渡久地は10連続KO勝利で日本王座にのぼりつめた。

 知念も当面は日本チャンピオンが目標になる。「会長とも相談しながらだが、2年くらいをメドにチャンピオンになってほしい」(中神トレーナー)。勝った者だけが生き残るプロの世界で、大きな夢を拳ひとつでつかめるか。クールな顔立ちの新鋭ファイターに周囲は熱い期待を寄せている。

※Photo by Selene

(石田洋之)